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宝箱
しおりを挟む今日も今日とて、僕たちはダンジョンに潜る。
モンスターを倒せば宝箱がドロップする。
ついさっき、エマ部長がトドメの一撃をお見舞いしてやっつけたワーウルフゾンビも、しっかり宝箱を落としていってくれた。
「おおー! しかも魔法の宝箱じゃない! レアドロップきたー!」
やったやった! と部長はピョンピョン飛び跳ねて喜んでいる。
確定でレアアイテムが入っている“魔法の宝箱”は滅多にドロップしないので、僕もすごく嬉しかった。
「ほらほら、創介! 早く開けちゃって! 今回のお宝はなっにかなー♪」
「部長、少し落ち着いてくださいってば。気持ちはわかりますけど、これは魔法の宝箱なんですから。こよみ先輩、お願いします」
「……うん。任せて」
こよみ先輩はひとつ頷くと、淡いブルーのツインテールをゆらしながら、魔法の宝箱の前に進み出た。
「あ、そっか。魔法の宝箱の場合はまず、こよみが魔力を遮断しなきゃいけないんだっけ」
魔法の宝箱にそっと右手をおいて、何やら呪文を唱え始めるこよみ先輩を見ながら、部長が言った。
「ええ。“魔法の鍵”があれば、盗賊の僕だけで開けちゃえるんですけどね。でも魔法の鍵は希少品だから」
「他の宝箱ならぜんぶ開けられるのよね?」
「もちろん。盗賊スキルでぜんぶいけます。魔法の宝箱だけが唯一ムリってことですね」
そんなことを部長と話している間に、こよみ先輩の詠唱は終わったようだった。
いつもこうして、淡々とやるべきことをこなすこよみ先輩は、とても頼もしい。
「……これでおっけー。あとはよろしくね、創介くん」
そう言って、こよみ先輩は僕のほうを見た。
彼女はあまり感情を表に出すタイプではないけれど、ちょっとした表情の変化で確かな気持ちの動きを伝えてきてくれる。
だから、僕は胸を張って返事をするんだ。
「ありがとうございます、こよみ先輩。あとは僕に任せてください」
――そして。
魔法の宝箱の中身は、すでに入手したことのある防具だった。
部長の機嫌がとてつもなく悪くなったのは言うまでもない。
「……エマちゃんのことも頼むね、創介くん」
「だめです。こよみ先輩も手伝ってください」
「えー」
やっぱり表情にほとんど変化はないけれど。こよみ先輩はとても不服そうだった。
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