孤高の英雄は温もりを求め転生する

モモンガ

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35話 宝箱の中身

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 「ギルドマスター権限で、緊急クエストを発令する。アリーさん、パン君、ネロちゃん、どうか力を貸してほしい」

 「ふむ…まぁ、いいだろう。私もこの国の貴族ゆえ義務を果たさなくてはならないからな」

 堂々と告げるアリーに、やっぱり貴族の義務とかあるんだな…と思いつつ、俺はネロをチラッと横目で見て、エルフに意思を送った。

 (どちらにせよネロの力を知っておく必要がある。その為には更なる強敵が必要不可欠だ、俺達の後をつけたければ勝手にするがいい)

 そう伝えると、エルフはキョトン…と眼をパチパチさせクスクスと笑い出した。

 「ん? どうしたリスナール、パンは何て言ったんだ?」

 「いや? パン君は人間嫌いだと思ってたんだけど…優しくて、不器用なんだなぁ~って」

 (あ?)

 「パンが優しいのは見てれば分かるだろ?」

 「ご先祖様は優しいにゃー!」

 アリーは、エルフに何を言っているんだ? と言いだけな様子だった。

 んで、ネロ…何故お前は、涎を垂らしいる? お前絶対、飯の事を考えているだろ。

 「うん、そうだね。パン君が優しい猫ちゃんだと分かった所で…」

 ダンジョン出たらコイツエルフをシメるか。

 リスナールは背筋が凍るような感覚になったが、緊急事態ゆえ…後回しにした。

 「今から、迅速に最下層を目指す。ネロちゃんは僕の後ろをついてきて。先頭はアリーさん、僕、ネロちゃん、パン君。これからはスピードを上げるよ!」

 「分かった」

 (ああ)

 「分かったにゃ!」

 頷く俺達に満足したのか、エルフは短剣を左手で握った。

 「じゃあ、行くよ!!」

 「ご先祖様~あれはいいのかにゃ?」

 今にも走り出そうとしていた、エルフは出鼻を折られたかのように…躓いた。

 「ネロちゃん…」

 「にゃ?」

 空気を読めないネロに呆れつつ、俺はネロが指を差している方に眼を向けると…茶色の宝箱が置かれていた。

 (今度こそ罠か)

 「違う違う! ていうか階層ボス撃破のボーナスの事すっかり忘れてたよ…」

 「この階層で出てくる物なら、大した物ではないだろう」

 「じゃあ、みゃーが貰ってもいいかにゃ!?」

 (もう好きにしろ)

 疲れたように告げると、ネロは眼をキラキラさせ…宝箱まで走って行った。

 「何が出るかにゃ~~にゃ!」

 何も警戒をせずに近づき…パカリと宝箱を開け、キラリと光る物を取り出した。

 「ご先祖様~こんなのが出たにゃ!」

 そう言って、俺の眼の前に持って見せてきたのは、銀色の金属のインゴットだった。

 「うん、それは鉄のインゴットだね。それも純度がそこそこ高い物」

 「妥当だな」

 「ご先祖様? これいるかにゃ?」

 (いらん、取っておけ)

 そう言うと、インゴットを掲げ…くるくると回り出した。

 「にゃ~!!」

 「ンンッ! ネロちゃん? そろそろ出発してもいいかな?」

 エルフはどこか、気まずそうにしながら…下に続く階段に指を差した。
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