孤高の英雄は温もりを求め転生する

モモンガ

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【挿話】働きたくない神龍

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 私はユキ。神々に作られた空の神獣。

 私の他にも、陸の神獣フェンリル。

 海の神獣クリオーネ。

 遥か昔は、魔王と名乗る異界からの侵入者がこの世界に攻めてきた。

 私も、フェンリルとクリオーネから言われて、仕方なく倒した。

 あの頃は、休みも無くて私を生み出した神々に怒りを抱いたぐらい。

 働きたくない。休みをちょうだい…。

 そんな私の願いを聞き入れてもらえるはずも無く…私は、無償で働かされた。

 でも、そんなある日、突然フェンリルに向かって遥か上空から禍々しい黒い塊が落ちてきた。

 私はチャンスだと思った。

 このブラック企業みたいな所から、脱出出来るのではないかと…。

 …? ブラック企業って何? まぁいいや。

 敵に囲まれ、身動きが取れないフェンリルを庇い(様に見せかけて)私は、禍々しいその身を受けた。

 痛い…しかも、呪いも。

 これじゃあ、私は働けないよね。

 思わず笑みを浮かべそうになるが、何とか顔を引き締め…演技をする。

 もう、働かない為に。

 「フェンリル…私、もう駄目…呪い受けた。少し体を…休める」

 「すまぬ…我の為に…分かった。神龍よ、我がお主の分まで敵をなぎ払おう。ゆっくり休むがいい」

 「うん」


 作戦…成功。

 地上で最後に見た光景は、フェンリルが空へと駆け上がり…宣言通り、敵をなぎ払っていた。

 ん。私はいらない。

 仲間を庇って受けた傷なんだから、神々も許してくれるよね。


 そして、私は地中の深い所で眠りについた。



 自由って…いい。

 だって、こんなにも眠れる。

 私はもう、働かない。

 私に働いてほしいなら、対価を求む。

 Win Winの関係が1番。

 意味は分からないけど、間違ってない気がする。


 それから何十年、何百年、何千年経ったか分からないけど…ある時から、魔力が抜けていく感覚があった。

 古い魔力が、どんどん抜けていって気持ちいい。

 私が遠慮なく魔力を出すと、それだけで色んな災害が起きちゃうから、こうやって魔力が抜けていくのは便利。

 誰かは知らないけど、褒めてあげる。


 そして、後ちょっとで古い魔力が無くなりそうになった時…つい、美味しそうな匂いに釣られて、そこにあった肉まんを食べた。

 えっ? 肉まんじゃなくて、肉入りのまんじゅう?

 そう。

 私をポカポカとマッサージしてくれる、猫ちゃんネロに感謝を思いつつ…私の1/10の位の魔力を持った、子猫ちゃんパンに肉入りまんじゅうを、もっと欲しいと言った。

 何故か、この肉入りまんじゅうから、どこか懐かしい味で、涙が溢れそうになる。

 何で? 分からない。でも…きっと、子猫ちゃんパンから離れたら後悔する。

 猫ちゃんから、働かないと駄目って言われたから、働く事にした。

 本当は働きたくないけど、どこか懐かしい、美味しい物の為…我慢する。

 でも、守だけなら私が人型になって…抱きしめていれば安心。

 そして、私は子猫ちゃんから、いっぱい肉まんを貰った。

 美味しい…幸せ。

 猫ちゃんも欲しい? 駄目。これは私の。

 肉まんを完食した私は、早速役立つ事にした。

 ここから出たいの? じゃあこうする。

 私は上に向かってブレスを吐いて、大きな穴を開けた。

 空を見るのは、いつぶりだろ。

 久しぶりに外に出る私は、どこかワクワクしていた。

 今回は美味しいご飯もついてくるから、少しだけ働く事にしよう。
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