孤高の英雄は温もりを求め転生する

モモンガ

文字の大きさ
45 / 47

【挿話】次元斬りヴァイトの死後

しおりを挟む

 「して、あの空間使いは見つかったか?」

 偉そうに踏ん反り返り、玉座に座る肥満体型で頭に王冠をかぶった中年の男の後ろに魔法使いと思われる、フードを被ったら老人に、豪華な服を着て、膝をつく中年のの男が緊張した様子で口を開いた。

 「いえ、見つかりませんでした。我が国で炎龍王を討伐したのは確認したのですが…」

 視線を泳がせ…言いどもる男に、王は玉座を強く叩いた。

 「ではこれから我が国の危機にあった時どうする!? それに素材もだ!! あの男は定期的に纏めて素材を我が国に下ろしていた!! あの男が他国に拠点を移したらお前の責任だぞ!!」

 「そ、そんな!!」

 今まで、空間魔法を使う男をいいように使い…天災級や覇王級の素材を1/100にもならない格安で買い取り、高値で他国へ売り払い、いいように使ってきた張本人に言葉に理不尽を思わずにいられなかった。

 「だったら探せ!! 何がなんでも空間使いを探し出すのだ!! もし、見つけられなければお前の家は取り潰しだ!! それ嫌ならば死ぬ気で探したせーー!!」

 「はははいいいい!!」

 膝をついていた男は、急いで立ち上がり…転びそうになりながら玉座の間から走っていなくなった。

 「クソ!! 空間使いめ!! せめて素材を置いていけばよいものを…」

 イラだつ王を落ち着かせるように、フードの老人は回復性の魔法を使い口を開いた。

 「陛下。空間魔法を使う、あの平民が見つからなかった場合を考えなくてはなりませんぞ」

 王はそんなふざけた事を言う老人の胸を掴みかかった。

 「ふざけるな!! あの男は必ず見つけ2度と儂から離れられないように、奴隷の首輪を付けさせてやる!!」

 「しかし、最悪の状況を考えなくてはなられすまい。賢王とは、いくつも作を用意しておく物ですぞ?」

 そう言うと、王は老人を掴んでいた手を離し…鼻を鳴らした。

 「作はあるのか?」

 「勿論でございますぞ!」

 「ほう…よい、先程の無礼を許そう。話すがいい」

 「ありがたき幸せですぞ!」

 老人が頭を下げ…フードの中から、魔法陣が刻まれた、かなり古いせいか…焼けた紙を取り出した。

 「これはある遺跡から見つかった物です。調べた所、驚くべき事に、なんと! かつて勇者と呼ばれた者と同じ世界から、勇者の素質をある者を召喚出来る代物ですぞ! これがあれば何も心配はいりませんぞー!!」

 老人は興奮の余り、気持ち悪い笑みを浮かべ…腕を大きく広げ、王も大差ない笑みを浮かべた。

 「ほう…もう召喚した勇者が従わらなければ、奴隷の首輪をハメると」

 「そうですぞ」

 「よし、その作を採用しよう。速やかに動き出せ!」

 「かしこまりました。ですが…勇者を召喚するとなると、必要な物があるのですぞ」

 そう言うと、王は気分を悪くしたのか、眉を寄せた。

 「必要な物とは?」

 「なに、簡単ですぞ? この魔法陣を発動させる魔力…それも、最低でも5000人、確実なら10000人は必要ですぞ!」

 そう答えると、つまらなそうに鼻を鳴らした。

 「それなら奴隷を用意…いや、それなら金がかかりすぎるか…、我が国に巣を作るスラムのドブネズミ、それでも足りなければ、そこら辺の者を捕らえればよかろう」

 その言葉に老人は満足げに、笑みを浮かべ頭を下げた。

 「かしこまりました。
後は任せて下さい。ただ、大規模な召喚な為…3年の準備が必要ですぞ!」

 「仕方なし…か。よかろう迅速に行動せよ。くれぐれも他国に悟られるなよ?」

 中途半端な準備で召喚して、使えない者を召喚しては、元もこうもないと思ったのか…不服ながらも頷いた。

 「勿論ですぞ!」

 王は勇者が召喚し、この大陸を手中に収める未来を想像せずにはいられなかった…。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?

青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。 最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。 普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた? しかも弱いからと森に捨てられた。 いやちょっとまてよ? 皆さん勘違いしてません? これはあいの不思議な日常を書いた物語である。 本編完結しました! 相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです! 1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…

悪役令息、前世の記憶により悪評が嵩んで死ぬことを悟り教会に出家しに行った結果、最強の聖騎士になり伝説になる

竜頭蛇
ファンタジー
ある日、前世の記憶を思い出したシド・カマッセイはこの世界がギャルゲー「ヒロイックキングダム」の世界であり、自分がギャルゲの悪役令息であると理解する。 評判が悪すぎて破滅する運命にあるが父親が毒親でシドの悪評を広げたり、関係を作ったものには危害を加えるので現状では何をやっても悪評に繋がるを悟り、家との関係を断って出家をすることを決意する。 身を寄せた教会で働くうちに評判が上がりすぎて、聖女や信者から崇められたり、女神から一目置かれ、やがて最強の聖騎士となり、伝説となる物語。

無能と言われた召喚士は実家から追放されたが、別の属性があるのでどうでもいいです

竹桜
ファンタジー
 無能と呼ばれた召喚士は王立学園を卒業と同時に実家を追放され、絶縁された。  だが、その無能と呼ばれた召喚士は別の力を持っていたのだ。  その力を使用し、無能と呼ばれた召喚士は歌姫と魔物研究者を守っていく。

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

彼の巨大な体に覆われ、満たされ、貪られた——一晩中

桜井ベアトリクス
恋愛
妹を救出するため、一ヶ月かけて死の山脈を越え、影の沼地を泳ぎ、マンティコアとポーカー勝負までした私、ローズ。 やっと辿り着いた先で見たのは——フェイ王の膝の上で甘える妹の姿。 「助けなんていらないわよ?」 は? しかも運命の光が私と巨漢戦士マキシマスの間で光って、「お前は俺のものだ」宣言。 「片手だけなら……」そう妥協したのに、ワイン一杯で理性が飛んだ。 彼の心臓の音を聞いた瞬間、私から飛びついて、その夜、彼のベッドで戦士のものになった。

【完結】乙女ゲーム開始前に消える病弱モブ令嬢に転生しました

佐倉穂波
恋愛
 転生したルイシャは、自分が若くして死んでしまう乙女ゲームのモブ令嬢で事を知る。  確かに、まともに起き上がることすら困難なこの体は、いつ死んでもおかしくない状態だった。 (そんな……死にたくないっ!)  乙女ゲームの記憶が正しければ、あと数年で死んでしまうルイシャは、「生きる」ために努力することにした。 2023.9.3 投稿分の改稿終了。 2023.9.4 表紙を作ってみました。 2023.9.15 完結。 2023.9.23 後日談を投稿しました。

貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。

黒ハット
ファンタジー
【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。 この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。

処理中です...