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【ウィルフレッドside】花に囲まれた君
しおりを挟む「殿下、見当たりませんよ」
「屋敷に戻られたのでは?」
わざわざ探しにこなくても・・・そこまでしてレティシア嬢と偶然の出会いを演出したいのか・・・俺だって、そんな機会があるなら欲しい。でも、俺とレティシア嬢の出会いは最悪だった。そして再会しても・・・なんの進展もないままだ。殿下はどんどん先へ進もうとする。このまますれ違いのまま見つからなければいいのに・・・無駄足に終わったなと後悔して屋敷に戻ればいいとさえ思ってしまう。
「そうか・・・入れ違ってしまったのかもしれ・・・なんだ、いるではないか!」
なに!?どこにだ?・・・いた・・・花に囲まれて・・・まるで君の為に花が咲いているみたいだな。いつまでも見ていられる光景だ・・・ん?あっ!殿下がレティシア嬢に声をかけているじゃないか!!
「偶然だね、レティシア嬢」
どこがだ・・・散々俺たちを使って探し回って。これを偶然というなら本当の偶然はとんでもない奇跡じゃないか
「・・・ヴィンセント殿下。どうなされたのです?」
「いや、街を見てみたくてね」
どこがだ・・・街なんか全然見て回ってもいないっていうのに・・・
「そうですか、ごゆっくり見て回ってください」
「レティシア嬢、この後の予定は?」
「なんでそんな事を確認されるのです?」
「よければ街を案内してもらえないだろうか?」
お願いだ、断ってくれ・・・
「それは姉のマリーリアが承っていると申しましたよね?本邸に行けば会えると思いますので、どうぞ姉に声をかけてください」
「つれないなぁ・・・私はね・・・君がいいんだよ」
「お断りします」
よかった・・・君がいいなんて言われてどう反応するかと思ったが、まったく興味がないみたいだな・・・殿下には申し訳ないが、俺はホッとしている・・・
「あれ?ウィルフレッド、今、断られた気がするんだが、気のせいかな?」
「いいえ、殿下、間違いなくお断りを受けました」
「・・・ほぉ・・・初めての経験だ」
フラれたんですよ。いつまでも長居しないで帰ればいいものを・・・
「まったく・・・ほら、行きますよ!」
えっ!?さっき断ったのでは?・・・嘘だろう?やっぱり殿下からの誘いが惜しくなったのか・・・君も殿下がいいのか?
「うむ、やっぱり私の誘いを断る女性はいないようだ」
嘘だ・・・嘘だと言ってくれ・・・
ーーーーーーーーーーーーーーー
次回
・・・迷惑
何か言ったかい?
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