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【ウィルフレッドside】夢か?幻覚か?
しおりを挟む今回の夜会はいつもに増して参加者が多いようだ。だが、やる事はいつもと変わらない。そろそろ参加者がフロアに揃った頃だろうか。警備は問題ないはず・・・
えっ・・・あれは!
俺はまだ夢の続きを見ているのか!?
それとも幻覚でも見えるようになったのだろうか・・・
いや、あの銀の髪は間違いなくレティシア嬢だ!
この夜会に参加していたなんて・・・
いつもの事だと参加者など大して気にしてなどいなかった己に腹が立つ。もし彼女が参加するとわかっていれば、騎士団長としてではなく、公爵家の令息として参加したものを・・・騎士団長という立場故、夜会の間、警護から離れる事はできない。なんたる失態だ・・・しかし、今だけでも、王族が入場する前の今だけなら!
うっ・・・警備の事で部下に呼び止められてしまった。職務を放棄はできないからな。
・・・彼女は・・・いない・・・どこに行ってしまったんだ・・・やっぱり気のせいだったのか?いや、そんなはず・・・
王族の入場だ。もう少し時間があったなら、レティシア嬢を探したかった。だが、それは叶わない。この時ばかりは騎士団長である自分を恨んでしまいそうになるな。陛下の警護の為につかなくてはな。
公爵家の挨拶が終わり、ベルモンド辺境伯が呼ばれた。そうか、挨拶にくるんだ、近くで彼女を見ることができる!
あっ・・・いた!レティシア嬢だ!間違いなく彼女だ。やはり彼女は美しい。しかし、会場中の男達が彼女に注目しているな。
「ベルモンド辺境伯、遠くからよく来てくれた」
「ありがたきお言葉でございます」
「当主には美しい娘が二人もおるのだな」
「はい、ありがとうございます。こちらが姉のマリーリア、そしてこちらが妹のレティシアにございます」
辺境伯当主が二人の娘を紹介しているが、俺にはレティシア嬢しか目に入らない。君が一番だ。いや、二番も三番もない。君だけだ。
「して、辺境伯、ご令嬢は二人とも婚約者がおらんと聞いておるが?」
陛下・・・その質問の意図はなんだろうか・・・もしや王子どちらかの妃にと考えておられるのか?だったら、レティシア嬢だけは辞めてくれ!彼女は俺が!
「えぇ、お恥ずかしながらまだ決まっておりません」
恥ずかしいと言いながらも、辺境伯当主は何でもない事のように言うんだな。まぁ、そうだろう。この美しさだ。夜会にでも出れば、縁談が殺到するに違いない。この夜会で事が進まなければ・・・君を手にする事は叶わないのだろうな。
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次回
ここで約束しようではないか、将来をな
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