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ウィルフレッドの嫉妬
しおりを挟む「1日も早く復帰して欲しいところですが、今は怪我を治すことに専念してください」
「あぁ、本当にすまないな」
「まぁ、普段中々休暇を取れずにいたのですから、ゆっくりされてください。それでは、私は騎士団に戻りますよ」
「引き続き頼む」
「承知しました。しかし・・・羨ましいですね。私もそんな風に女性に甘えてみたいものです」
「なっ!!シアはやらんぞ!・・・あっ・・・うぅぅ・・・いたい・・・」
「ウィル!無理に起きあがろうとしないのよ」
起き上がってレティシアを取られまいと抱きしめたかったウィルフレッドだったが、傷の痛みで空振りに終わる。そのままレティシアの胸に倒れ込んだ。レティシアはしっかりとウィルフレッドを抱きとめた。柔らかい感触にウィルフレッドは口元が緩むと、自身もしっかりと抱きつき甘え出す。
「・・・柔らかい・・・」
「以前の団長からは考えられない姿ですね」
「何とでも言え」
「はいはい、では、私は失礼します」
「副騎士団長様、わざわざありがとうございました」
「いえ、団長も、レティシア嬢も、命に別状なく何よりでした。失礼します」
副騎士団長レイバンは部屋を出て行った。
「ウィル、私のせいで大変な事になってしまったわ・・・」
「シアのせいではない。ヴィンセント殿下に諦めて貰うにはあのやり方でよかったと思っている。何より、俺は嬉しかったからな」
「そうなのかしら」
「そうだ。しかし、俺が目的なら、正面から向かってくればいいものを・・・回りくどい事をするものだな。それに比べてシアは、いつでも真っ直ぐに俺に向き合ってくれた。きちんと自分の意思を持って、俺と向き合った。こんなにも一生懸命になったのも、欲しいと願ったのもシアだけだ。シア・・・一生離すつもりはない。シアを害そうとする者は全て俺の敵だ。とことん戦うぞ」
「守られるのは嬉しいわ。でも、命を粗末にしないで・・・ウィルを失うかもしれないと思ったら・・・怖かった」
「それは俺も同じだ。攫われそうになったシアを見て、怒りが爆発しそうだった。焦ったさ・・・俺だって、シアを失うのはごめんだ」
レティシアの胸に甘えていたウィルフレッドだったが、背に回していた手に力が入る。もう離さない。そして、失いたくないと。
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次回
だが、俺は夜会でシアに一目惚れしたんだろう?
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