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そっけないレティシア

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「王女殿下が見舞いですか・・・そんなの断ってください」

「そうはいかんだろう。相手は王族だ、無碍に断る事は難しい」


父である公爵が、王女の来訪がある事を告げにきた。ウィルフレッドは怪訝な顔をして公爵を睨み付ける。


「ウィルフレッド・・・私にそんな目を向けてもダメだぞ?とにかく見舞いに礼を言えばいいだけだ」

「・・・ちっ・・・」


舌打ちしながら、あからさまに嫌そうな顔で態度にあらわすウィルフレッド。その隣では、何かを言いたげな表情でレティシアがウィルフレッドを見ていた。


「レティシア、大丈夫だよ。ウィルフレッドは間違いなくレティシア一筋だよ」

「お義父様・・・」


うつむくしぐさを見せたレティシアに、ウィルフレッドは口元が少し緩む。


「・・・もしかして、シア、ミシェリア王女殿下に俺を取られると・・・思っているのか?」


レティシアが不安を抱いているのかと気にする反面、自身を失いたくないと思ってくれているのだというのがわかり、口元が自然と緩んでしまった。しかし、それも一瞬、すぐに後悔する事になる。


「不安などはないわ」

「・・・えっ?」

「ウィルが王女殿下がいいって言うなら、私は身を引くだけだもの。あの夜会でも言ったけど、ウィルが私を必要としないならば、私は側にいる必要はないもの。一人で生きていくわ」

「シ、シア!?ま、待ってくれ!」


何でもないと言わんばかりに平然と答えるレティシアの言葉と態度に、ウィルフレッドは焦りを見せる。


「そ、そこは、王女殿下に取られるかもとか・・・私だけ、見て?とか・・・ないのか?」

「・・・ウィルはそういう女の子らしい人が好きなのね?そんな女の子じゃなくてごめんなさい」


ニコリと笑ってレティシアが言う。


「い、いやっ、そういうつもりで言ったんじゃない!もしかしてと・・・その、不安だったり嫉妬したりなど・・・期待してしまったんだ」

「期待・・・私は、婚約者の期待にも応えられないような女なのね・・・」

「ち、違う!そうじゃない!シアはいるだけでいいんだ、俺はそれだけで幸せなんだ!」

「いるだけね・・・何も・・・何もするなって事ね?わかったわ。私、今日から自分の部屋で寝るわ」

「シア、すまん!そんなつもりではなくて・・・あぁ・・・夜は一緒がいい。別々に寝るなんて嫌だ・・・一緒がいい!」


ウィルフレッドがレティシアを抱きしめようとするが、するりとかわして座っていたソファから立ち上がる。


「怪我もだいぶよくなってきたし、一人で何でもできるようになったでしょう?もう大丈夫ね。私は部屋にいるわ」


そう言うと、レティシアは部屋から出て行った。


「シ、シア・・・」


ウィルフレッドは、レティシアが出て行った扉をじっと見つめていた。




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次回

・・・私は側にいて欲しいの」



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