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公爵家のお客様
しおりを挟む中々ウィルフレッドの甘えが収まらない。今朝、国王であるレオナルドとの話を聞いてしまったウィルフレッドが、レティシアをとられると思ったのか、甘えがより一層大きくなった。不安を一つでも取り除ければと、考えを巡らせる。一つだけ心当たりがある。だがそれには双方の気持ちも大事だ。
コンコンコン
ぎゅうぎゅうとウィルフレッドに抱きしめられたまま、考えていた。そこへノックの音がして、使用人が入ってきた。入ってきたのは公爵家の執事であるロベルト。
「レティシアお嬢様、お客様です」
「あら、早かったわね」
レティシアと歳が同じほどの女性がアバンス公爵家を訪ねてきた。
「レティ、久しぶりね!」
「えぇ、ご無沙汰しております、エリスティア様」
「もう、公の場ではなければエリスと呼んでと言ったでしょう?」
「そうだったわね」
「それよりも・・・後ろのは何?」
「後ろ?あぁ、もうすぐ夫になる、私の婚約者よ」
「それは話には聞いていたけど・・・随分とその・・・甘えん坊なのね?」
「ふふっ、いつもの事だから当たり前になっていたわ」
「いつもこうなの?」
「そう。一日中べったりね。それよりも、入って。こんな所ではなんだし、詳しく話をしたいわ」
「えぇ、聞かせてくれる?」
纏わりつくウィルフレッドの手をひいて、エリスティアと呼ばれる女性をレティシアは屋敷のサロンへと案内した。
「それが通常なの?」
「えぇ、慣れてもらうしかないわね」
サロンにつくと、ウィルフレッドは、すぐにレティシアを抱えて椅子に座り、膝に乗せた。レティシアを抱きしめて、髪に鼻先を埋めて甘える。
「まさかレティがこんな男が好みだったとは知らなかったわ」
「最初はこんな風じゃなかったのよ。段々とこうなってしまったのだけれど・・・可愛いでしょう?」
「えぇ、まぁ・・・悪くないと思うわ」
「そう言うと思ったわ。外ではしっかりしていても、私の前では弱い所を見せるし、甘えてもくる。エリスもそういうの好きでしょう?」
「・・・そうね、好きだわ」
「調教し甲斐のある男がいるわ」
「何?男を充てがうつもり?」
「いいえ、気に入らないなら捨て置いてくれていいわ」
「そう・・・まぁ、会ってみない事にはね」
「という事だから、ウィル、護衛ついでに、王宮に戻るわよ」
「ん?王宮にか?まぁ、シアが行くならついて行く」
結局、そう時間が経たないうちに、また王宮へと戻ってきた。レティシアとウィルフレッドは、エリスティアが王宮をうろつく少し離れた場所から見守る。エリスティアがしばらく庭園を散策していると、目的の人間がやってきた。
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次回
・・・私に興味がないのか・・・?
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