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身勝手さが招いた結果

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「・・・あんたは恵まれてるな。運がいい」

「あぁ、それは同感だ。何一つ不自由な生活なんてしてこなかった。陛下からもよくして貰え、珍しい事に、我が家の両親は恋愛結婚だ。両思いのな。おかげで愛されて育ったと思っているさ。これまでの人生、何の不満もなかった。欲しいものなんてなくて、欲もなかった。だがな・・・欲しいものができると、案外俺もよく深い人間だったのだと思い知った。俺だって、立場は公爵家の嫡男だ。欲しいものは大概手に入る。だが、一つだけ簡単に手に入らないものがあった」

「・・・何だ」

「シアだ」

「は?」

「ふっ、簡単に手に入れたと思っているのか?俺だってな、シアに何度も振られた。最初の出会いも、再会も、全てが格好い悪いものだったし、何度もシアから怒られた。おかしな話だが、怒られる度、シアを好きになっていった。そして、欲しいという欲は益々強くなった。俺は本当に運が良かったと思っている。好きになったのがシアでよかったと思っている。シアはどんなに男が寄ってきたって靡かない。俺に対して、厳しくもあるが、甘いところもある。間違っている事は間違っているとはっきり言ってくれる。そんな女は俺の周りにはいなかった。出会えた事自体が幸運だ・・・君も・・・そんな女に出会えていたら、道を踏み外さず済んだのかもしれないな」

「自慢かよ・・・」

「あぁ、自慢だ」

「けっ・・・ムカつく。もういいだろう?早く帰れよ」

「そうしたいのは山々だ。屋敷でシアが心配して待っているからな。早く帰りたいさ。だがな、お前が単独で行動したかどうかの裏付けができない限り、警戒を解除はできないんだ。これだけ話したんだ。正直に離せ。単独で動いたのか?それとも、まだ仲間がいるのか?」

「それを教えて俺に何の利益があるんだ。情報だって金になる。タダで渡せるかよ」

「・・・話さないと言うなら、徹底的に城内を調べ尽くすだけだ。それに、今回の事でランドルスト公爵家には家宅捜索が入ることになった」

「はぁ!?家は関係ないだろう!?俺が勝手にやった事だ!父上には迷惑はかけられない!止めてくれ!」

「これは陛下の意向だ。俺の一存では止める事はできない」

「・・・また王族かよ・・・」

「君が屋敷を抜け出すなんてことしなければ、そして、陛下の寝所に忍び込むなんてことしなければ、公爵家は何のお咎めもなかったはずだ。事件を起こしたイザベラ嬢のことも、緘口令が敷かれ、君の事も公にはなっていない。子ども達の教育をきちんとできていないという評価は落としたかもしれんが、公爵家の家名に傷は入らないようにしていたのは陛下の温情だった。それを・・・君はいとも簡単に無碍にしたんだぞ?認めて欲しかった父上殿を、君の身勝手さで窮地に追いやったのは事実だ」

「・・・そんな・・・」

「そうだ、ひとつ教えてやる。イザベラ嬢は嫁ぎ先が決まって、今やもう人妻だ。王都にはいない」


それを聞いたマクシミリオンの瞳が揺れ、兄である表情になったのをウィルフレッドは見逃さなかった。






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次回

イザベラ嬢の現状を知った師匠は、早かったよ


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