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【ソルディオside】勝手に期待、勝手に落胆

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朝食を取るため部屋に向かうとエルサ様がいた
エルサ様・・・




「エルサ様、おはようございます」

「あら・・・ソルディオ?・・・おはよう?」





何故俺がここにいるんだ?という顔だな
誘った事、騎士団長夫妻は伝えてなかったのか・・・
エルサ様は、騎士団にお見えになる際は騎士服など動きやすい格好で凛としていらっしゃるが、こうやってドレスやラフな格好をされていると、これはこれでクルものがある
とても可憐で、透明感のある白い肌、艶のある黒髪はつい触れたくなってしまう




「おはようございます」

「おはようございます、エルサ様、副騎士団長様」

「アバンス団長殿、夫人、おはようございます」




アバンス団長と夫人はとても仲良しで、いつも一緒にいる
羨ましくないと言えば嘘になるだろう
あんな風に素直に想いを伝えれたのならどれだけいいか
騎士団長であり、公爵家の嫡男
おまけにあの見目だ
全てを持っている
俺だって、もっと地位が高ければと何度思ったことか
いつだってそう、高位貴族は欲しいものを易々と手に入れる
俺には足掻いたって仕方ない壁があるっていうのに





「えっ!?ちょ、ちょっと!?」




何だ?
あぁ・・・
アバンス団長が夫人の椅子を寄せたのか
どれだけ好きなんだよ

・・・

あぁ、そういう事か
俺から少しでも離したいって事なのか
嫉妬さえわかりやすいんだな
しかし、あんまりしつこいと嫌われても知らないぞ?





「お二人は本当に仲がよろしいのですわね」

「ふふっ、羨ましいです?」

「う、羨ましくは!・・・ないですわ」






エ、エルサ様・・・
なんて可愛らしいんだ!
照れていらっしゃる
しかし、アバンス団長はもうフォークを手に持って
そんなに腹を空かせていたのか?





「騎士団長様、もうフォークを手にされて、随分とお腹が空いていらっしゃったのですね」

「ん?俺は後でいい」

「?」




後でいい?
では何故フォークをお持ちになられたんだ?




「き、騎士団長様!?」

「ま、まさか・・・」




嘘だろう・・・





「あーん」

「おいしいか?」






まさか目の前であーんというやつを見せられるとは・・・
これは・・・







「ウィルは食べないの?」

「食べたい」

「じゃあ、はい、あーん」

「あーん・・・」





う・・・羨ましいっ!






「どうされましたの?副騎士団長様もあーんを待ってますの?」

「は、はぁ!?い、いや!」




唖然として口をポッカリ開けていたらしい
恥ずかしいな






「シア、シアが食べさせるのは俺だけだぞ?いくら強請られたってダメだ」




ちょっと待ってくれっ!
なんだその体勢は!膝の上に?
しかも抱きしめて・・・






「誰も私が食べさせるなんて言ってないでしょう?ねぇ、おろしてくれる?」

「嫌だ」

「もう・・・でも、折角ですし、お二人もなさってみる?」





あーんをか!?
エルサ様にあーんして貰える!?
されたいっ!!






「はい!?け、結構ですわ!」

「え、えっと・・・?」





・・・あ・・・
俺、何勝手に落ち込んでいるんだ・・・
あーんして貰えるって期待なんかして・・・
エルサ様は照れているだけか・・・?




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