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状況の変化
しおりを挟む「ほっんとうに申し訳ない!!」
起き上がり、慌てて身体を直角に曲げ、コルテオは平謝りしていた。何故目の前に、そして何故同じ寝台でエルサが寝ていたのか。簡単なことだった。事の顛末を聞いたコルテオはただただ平謝りするしかなかったのだ。
「もういいですわ。目が覚めましたでしょう?朝食を食べましょう。まずは着替えて、その寝癖くらいは直してきてくださいませね」
また情けない姿をさらしていたのかと、コルテオは慌てて両手で頭を押さえつけた。エルサはふふっと笑うとふいっと方向を変えて部屋から出ていった。コルテオは呆然とその姿を眺めていた。バタンっと扉が閉まる音がすると、コルテオはハッと気付き慌てて身だしなみを整えていた。それと同時に、はにかむような笑みを浮かべ、少し顔を赤らめながらコルテオの私室から出たエルサ。そんな彼女の姿を目撃した男がいた。
「・・・なぜあの部屋から・・・」
男はグッと拳を強く握りしめる。爪が食い込み、うっすら血が滲んでいた。
「何故なんだ・・・何故俺は誰からも選ばれない・・・何故、何故!くそっ!!!」
そう、コルテオの部屋からはにかむようにほんのり頬を染めながら出てきたエルサを目撃したのは、マクシミリオンだったのだ。マクシミリオンはその拳で壁を殴るかのように叩きつける。血が出ているのもかまわず、今はこうすることでしか収まりが着かなかった。それからと言うもの、どこに行くにも何をするにも、エルサはコルテオを伴い、コルテオがちゃんと食べているか、寝ているかはもちろん、何が好きか、何が苦手か、何に興味があって、何が得意なのか。観察し、監視と言う名のお世話もやく。コルテオはエルサから享受される日々のふれあいに心踊らせていた。そんな日々が過ぎていき、状況は逆転した。これまでエルサを追いかけまわし、愛をストレートにぶつけていたマクシミリオンが部屋にこもりがちになる。かわりにエルサに引っ張りまわされるコルテオは、自室にこもる事はほとんどなくなっていた。朝昼夕と食事はもちろん、お茶の時間、馬のフィーノの世話の時間、騎士団での稽古中、屋敷と騎士団の稽古場に限られてはいるが、エルサがいればコルテオがいるという状況になっていた。おのずと噂もかわってくる。
「エルサ様はおあの方のような方が好みでいらしたのね」
「なんでも出きる方よりやってあげたくなる方の方がいいって事かしら」
「マクシミリオン様もよかったんだけどねぇ」
「でも、よく見たらあの二人お似合いかも」
「でもソルディオ様はどうなるの?」
「そうよねぇ・・・」
メイドたちの噂話に遠慮はない。そしてこの二人の進展を決定的にすることが起きる。
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