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気安い男
レイドルートは、緩む頬を抑えるかのように、食堂で頬杖をついてぼんやりとしていた。
「・・・可愛すぎるだろう・・・天使か?驚く顔も可愛かったが、照れる様は、抱きしめたくなるほどだった・・・」
ぼそぼそと呟きながらも、女性の寝起きを見たことがなかったレイドルートはぼんやりとその姿を思い返していた。真っ赤になったローゼリア。照れているのが可愛いとまでは思ったものの、夫でもない男が、女性の寝起きの姿を目にし、ましてや部屋に訪れて夜着のままの姿を見るなど、普通ならありえない話なのだ。だが、レイドルートは、そういう事にとにかく疎かった。
「あ、あの、お待たせしました」
「ん?あ、いや、私の方こそ突然訪ねていったのでな。気にせずとも良い。それに、これは約束もしていない事だったしな」
レイドルートは向かいの席をローゼリアに薦めた。ローゼリアは使用人に椅子をひいてもらい、そこに着席する。
「ここの料理人は、派手な料理は作らんが、味は保証する」
自慢気に話すレイドルートの横に、料理長である体格のいい男が立った。
「派手な料理ではなくて申し訳ありませんね」
料理長である男はレイドルートに対して随分と態度が大きいようだった。
「あ、いや、別に料理にケチつけたわけじゃないんだ!そ、その・・・こんな可憐な女性と食事をとるんだ・・・その、雰囲気だったり、煌びやかだったり・・・女性はそういうものに惹かれるだろう・・・?」
「だったら王宮の料理人に頼めばよかったじゃないか」
「そ、それはな・・・」
レイドルートは気まずそうにそっぽを向いた。
「あ、あの・・・」
「あ、あぁ、すまない。どれでも好きなのを食べていいぞ?」
「ありがとうございます」
「じゃあ、俺はスープを用意してくるから」
「よろしく頼む」
料理長の男はキッチンへと向かって行った。姿が見えなくなった頃、ローゼリアがレイドルートに疑問をぶつける。
「陛下、あの方と随分と仲がよろしいのですね?」
「あぁ、あの男は元々騎士だったんだ」
「それであのように身体が大きいのですね」
「あぁ、大きな怪我をしてしまってな。騎士としてはやっていけなくなったんだ。だが、野営での彼の食事の評判がよかったのを思い出してね。彼を料理人としてこの離宮へと雇い入れた」
「そうだったのですか」
「ライルは私の護衛騎士だったからな」
「昔から大事な方ですのね」
「あぁ。気安い態度でいてくれるのがいいんだ。あいつの前では国王ではなく、ただの一人の男になれるんだ」
レイドルートはライルと呼ばれた料理長が去った後を、愛しむような目で追っていた。
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