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王太子アルフレッドと元婚約者

王太子との出会い

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輝く金の髪、ラピスラズリのような青い瞳。レクノール国唯一の王子、王太子アルフレッド・レクノール、10歳。


ある年の穏やかな春の日に、王宮では、婚約者や側近の候補を集めたお茶会が開かれていた。


「きゃぁぁ、ドレスが!!」


どこかで令嬢の声が上がった。テーブルの横を通る際に、グラスが倒れ、令嬢のドレスに水がかかったのだ。小さな令嬢は、周りからの視線に泣き出してしまった。そこへ一人の令嬢がハンカチを出し、水を拭き取っていく。幸い水だった事もあり、大事には至らなかった。その光景を目にしていた令息の誰もが、ハンカチを差し出した令嬢に惹きつけられた。



(優しいご令嬢だな・・・)
(機転んが利く、すばらしい・・・)
(美しいご令嬢だ)
(所作も綺麗だ、彼女は誰だ?)



たくさんの令息が視線を向ける中、一人になった令嬢の元へ歩み寄る少年がいた。


「失礼する。名を聞いても?」

「王太子殿下・・・私はワルシャワ公爵家が長女、ナディア・ワルシャワにございます」


ナディアは綺麗なカーテシーを披露する。


「ナディアと申すか。僕の事はアルフレッドと呼べ」

「・・・アルフレッド様・・・」

「ナディア、話をしよう。あちらのテーブルに行くぞ」

「は、はい、かしこまりました」


アルフレッドは手を取り、会場の上座にあったテーブルにナディアを誘う。






「先ほどの令嬢の件、感謝する」

「感謝など・・・大した事はしておりませんので」

「いや、誰もが動かなかったのに、ナディアだけが彼女に手を貸した。僕のために開催されているお茶会だ。何かあれば僕の責任だからね。それに、誇らしかったんだよ?」

「誇らしい?」

「あぁ、きみは僕の婚約者にふさわしい!僕の婚約者になるナディアは素晴らしいご令嬢だと自慢したい気分であった」

「こ、婚約者・・・でございますか?」

「あぁ、僕は君を気に入った。父に進言するよ。僕の婚約者になってくれるかい?」

「わ、私でよければ・・・」



ナディアは驚いていた。公爵家の令嬢である自身は、いずれ政略結婚になるのは理解していたし、いつか家が決めた相手と有無を言わさず一緒になるものだと思っていた。貴族の結婚は、恋愛よりも家同士の利益、家格の問題、派閥などが関わってくる。好き合って結婚できるのはほんの一握り。爵位の順からも、王太子の婚約者になる可能性は高くはあったが、王太子本人から見そめられ、望まれるとは思ってもみなかったのだ。



屋敷に戻り、ナディアは今日の事を思い出していた。真っ直ぐに見つめる青い瞳。



その翌日、王家から王太子アルフレッドとナディアの婚約の打診がくると、公爵当主は大変喜んだ。







「ナディア、庭園の薔薇を見に行こう!」


婚約者となったナディアは、王太子妃教育の為、毎日王宮に登城していた。教育がひと段落すると、アルフレッドがやってきてお茶や庭園へと誘う。二人は少しずつ仲を深めていった。ナディアも王太子妃教育を受けていたが、アルフレッドも王太子教育を受けていて、互い時間のない中で、励まし合い、将来の国の繁栄を二人で語り合うなど、絆が芽生えていった。







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次回


そこに一々目くじらを立ててはなりません。そう思いませんか?


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