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想い合っていた恋人だった二人
心の約束と絶望
しおりを挟む「エリー・・・王命は覆す事はできない。互いに違う相手と結婚する事になる・・・なぁ・・・約束をしないか?」
「約束・・・?」
「あぁ、心の中は自由だ。誰を想っていたっていいと思わないか?誰かを好きになっても、家族を嫌いになる事はないだろう?それと同じさ。これから結婚する相手に情を持っても、愛は他にあっても許して欲しいと思うんだ・・・」
ハリーがエリアナの瞳をじっと見つめる。
「エリー・・・僕は君を想うよ・・・ずっと変わらず君を」
「ハリー、私も・・・私もよ」
「ねぇ、エリー、空を見て」
ハリーは空を指差した。そこには満点の星空。
「ねぇ、エリー。遠い場所でも空は繋がっているんだ。みんな同じ空を見ている。それはここだって王都だって変わらない。僕は毎日夜空を見上げるよ。エリーも見上げて欲しいな」
「えぇ・・・毎日見るわね」
「約束しよう・・・星に」
「星に・・・」
「夜空を見上げて互いを思い出そう・・・流れ星に願うんだ。僕は君の幸せを、君は僕の幸せを。その時だけは、誰にも邪魔されない、僕達だけの時間だ・・・」
「ハリー・・・わかったわ。あなたの幸せを星に願うわ」
二人は静かにキスをした。これだけは他の誰にも譲れない、二人の初めてのキス。
そして翌日、エリアナは王都へと向かった。
王宮での暮らしは大変だった。すぐに王太子妃教育がはじまり、過密なスケジュールをたどっていく。悲しみを感じる事暇もなく、とにかく必死に毎日を過ごしていた。王太子アルフレッドとの関係は何も進展しないまま。そのまま結婚式を迎える事になった。結婚式では近いの言葉。そして・・・キス。エリアナは唇が触れる瞬間、わずかに身をかがめた。参列していた者には、エリアナが照れ隠しに行ったものだと思われていた。エリアナにとっては照れなどではなく、ハリーとのキスの思い出を穢されたくはないというせめてもの抵抗であったのだ。
結婚後しばらくすると、ある話を聞くことになる。ハリー・ユリシールが結婚し、子どもが産まれたと・・・。
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次回
夜にお会いしましょう
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