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62.デンバー家へいらっしゃい
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「アリス様、ようこそいらっしゃいました」
笑顔で私を出迎えてくれるサブリナ様は、相変わらず上品でとてもエレガントだ。
キャロラインから誘拐するなんて言われた時は、どこに連れて行かれるのかと不安だったけどここなら安心だ。
ここデンバー家に来るのは今日で二度目、前回メイシー様に連れて来られた時以来だ。前回と同じく、私のために日当たりのよい部屋が用意された。窓から見える庭園は薔薇のアーチがとてもきれいで心が和む。
「ウィルバート様にはわたくし達がここにいる事は秘密にしてもらっていますので、すぐ迎えにいらっしゃることはないと思いますよ」
邪魔者が来ないと喜んでいるキャロラインには悪いけど、秘密にしてもすぐバレるんじゃないかしら? だって隠れているわけじゃないんだし。キャロラインの行き先を探すなら、ここは一番先に探される場所だろう。
それでもキャロラインはすぐには見つからないと自信満々だ。なんでも王宮にいるデンバー公爵が私達の居場所を誤魔化してくれているらしい。それに誘拐したと手紙まで出しておいて、普通に屋敷にいるとは思わないだろうというのがキャロラインの考えだ。
まぁそう言われたらそんな気もするけど……
「ウィルバート様がいらっしゃらない間に、ご自分のお気持ちを考えてくださいね」
キャロラインの優しさがありがたい。静かにゆっくりと私自身の気持ちを見つめてみよう。そんな事を思っている私に、「さぁ、ではまずは景気づけに、お着替えタイムですよ」っと、やけにはしゃいだ声でキャロラインが言った。
着替えるってことは服が入ってるのかしら?
キャロラインの侍女から渡された箱を受け取りリボンをほどく。箱を開けると中には予想通り服が入っていたけれど……
わーお、何だこれ?
中に入っていたのは、ふんわりとしたシルエットの白いワンピース型のパジャマだった。
「えっと……これに着替えるんですか?」
「はい。このナイトドレス、わたくしとお揃いなんですよ」
なぜいきなりパジャマが出てきたのかと戸惑う私とは逆に、キャロラインはウキウキしているように見える。
「せっかくお邪魔虫の来ない夜なんですから、お揃いのナイトドレスを着てお話しましょう」
まぁ別に構わないかと言われるがままに着替える。キャロラインから渡されたナイトドレスはゆったりとしていてとても着心地がよかった。生地はとても柔らかく肌触りもよい。胸元にレースとフリルがたくさんついて、とても可愛いデザインだ。
まるで映画の中のお姫様が着ていそうな可愛さだけど、着てみると一つだけどうしても気になることがあった。このナイトドレスは胸元が大きく開いているのだ。スタイルの良い人が着たら色っぽくて素敵なのかも知れないけれど、私にとっては貧相な胸がやたら強調されてなんだか切ない。
着替えて部屋に戻ると、同じくナイトドレスに着替えたキャロライン様が待っていた。
はぁ~。
その美しさに思わずため息が出る。綺麗な人というのは何を着ても絵になるものだ。ふんわりとしたナイトドレスに身を包んだキャロラインはとても無防備で、同性である私ですらドキドキしてしまう。同じ服を着ている私とは大違いだ。
「こうやってお揃いのナイトドレスで過ごすなんて、なんだかワクワクしますね」
無邪気に笑うキャロラインにつられて、私も思わず微笑んだ。
考えてみたら、私は今まで友達とこんな風にパジャマパーティーなんてしたことがない。そもそも元の世界ではパジャマパーティーどころか、おしゃべりする友達すらいなかったのだから。
それが今はこうしてキャロラインのような素敵な女性とお揃いのナイトドレスまで着て、笑いあってるのだ。楽しくないはずがない。
私が着替えている間に用意されたのだろう。テーブルの上には軽食とスイーツが並べられている。
時間がなくてきちんとした夕食がとれなかった私のために、キャロラインが私の好きなものをたくさん用意してくれていたようだ。
本当にキャロラインは素敵な人だ。私なんかのために、こんな気遣いをしてくれるなんて。この世の中にこんなに美しい人がいるのかと思うほどの美しさを持っているのにも関わらず、高飛車でもなければ私を蔑むこともない。いつも優しく私を友達として扱ってくれるキャロラインには感謝しかない。
本当に美しくて素敵な人……
そんな人に私ったらなんて迷惑をかけているんだろう。
あぁ、本当に恥ずかしい。なんてことをしてしまったんだろう。キャロライン様が親切だからってあんなに泣いちゃうなんて。今思い出したら、涙だけじゃなくて鼻水まで拭かせてしまったような気も……
「キャロライン様、色々とご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
頭を下げる私に、キャロラインはゆっくりと首を振った。
「迷惑な事なんてありませんよ。わたくしが好きでやっていることですから」
「……でもあんなに泣いちゃって……あきれてますよね?」
恐る恐る尋ねると、キャロラインは明るい声で笑った。
「いいえ。わたくしアリス様が心の内を見せてくださったことがとっても嬉しいんです」
胸の前で両手を組むキャロラインは、本当に嬉しそうな顔をして笑った。
嬉しい? そんな馬鹿な。
あんなに泣いてわけわからないことを聞かされたのに、嬉しいなんてことある? それでもキャロラインの表情を見ていると、言葉に偽りはないように思えた。
「アリス様がわたくしを信用して心を曝け出してくださったんですよ。今まで以上に仲良くなれたことを喜ぶことはあっても、あきれるなんて事あるわけないじゃないですか」
そういうものなんだろうか?
もしキャロラインの言葉が本心で、私の醜態を見ても友達だと思ってくれるのであれば、これほど嬉しいことはない。
「さぁ、アリス様。まずは思い切り甘いものをいただきましょう」
夜は長いのだからたくさん食べてたくさん喋ろうというキャロラインの誘いにのり、取り皿にのったガトーショコラを口に運ぶ。元気を出すには、やはりチョコレートがいいと、アナベルに半ば強制的に皿に取り分けられたのだ。
でもアナベルの言う通りかもしれない。しっとりと濃厚なガトーショコラが私の幸福指数を押し上げていく。
「でもアリス様にウィルバート様と結婚してほしいと言われた時は驚きましたわ」
キャロラインは「大丈夫、本気ではないと分かってますよ」っとおかしそうに笑っているが、私は恥ずかしくて笑う事なんてできない。できれば泣いてる時の事はもう忘れてほしい。
でも……あれは本気だったんだけどな……
あの時は本気でキャロラインとウィルが結婚すればいいと思っていた。
じゃあ今は……?
自分の心の中を覗こうとするが、アナベルの声によって思考の糸はプツリと切れた。
「あの……キャロライン様……グレース様のおっしゃっていた事は作り話ですよね?」
「グレース様のって、どのお話かしら?」
「春喜宴のパートナーの事です」
グレースがウィルのパートナーに決まったという話はアナベルの耳には入っていなかった。情報通の自分の耳に入っていないのだから、グレースの作り話なのではとアナベルは思ってはいるようだ。けれどグレースのやけに自信満々な様子が気になるのだとアナベルは言う。
「残念だけれど……パートナーの件は本当のことでしたわ」
キャロラインは私を誘拐する許可をもらうためロバート様を訪ねた際、春喜宴のパートナーについても確認をしたそうだ。その際間違いなく、次の春喜宴ではグレースがウィルのパートナーを務めると言われたらしい。
「そうなんですか……」
やっぱり事実なのかと思うとため息が出てしまう。っと目にうつるアナベルの悲しそうな顔と、キャロラインの申し分けなさそうな表情に胸が痛んだ。
「でもよかったです。ウィルバート様のパートナーなんて、私には荷が重かったですから」
そう、これは事実だ。本当の事でしょっと自分に言い聞かす。
「きっとウィルバート様もグレース様がパートナーになられて嬉しいと思いますよ」
私、上手に笑えてるよね?
だって本当にそう思ってるんだから。
なのに、なぜウィルとグレースの事を考えると涙が出そうになるんだろう。
「……やっぱり私なんかじゃウィルバート様には釣り合いません。ウィルバート様にいいパートナーが見つかって、本当によかったです」
黙っていたら涙が溢れてしまいそうで、ただ喋り続けた。
「アリス様……」
私を見つめるキャロラインの瞳は何か言いたそうにゆらめいている。けれど特別な事は何一つ言わなかった。
「アリス様、うちのパティシエが作るシフォンケーキは絶品ですよ。是非召し上がってくださいね」
ただそう言って優しく微笑むキャロラインの心遣いが嬉しくて、私は一生懸命作り上げた笑顔を返すのだった。
笑顔で私を出迎えてくれるサブリナ様は、相変わらず上品でとてもエレガントだ。
キャロラインから誘拐するなんて言われた時は、どこに連れて行かれるのかと不安だったけどここなら安心だ。
ここデンバー家に来るのは今日で二度目、前回メイシー様に連れて来られた時以来だ。前回と同じく、私のために日当たりのよい部屋が用意された。窓から見える庭園は薔薇のアーチがとてもきれいで心が和む。
「ウィルバート様にはわたくし達がここにいる事は秘密にしてもらっていますので、すぐ迎えにいらっしゃることはないと思いますよ」
邪魔者が来ないと喜んでいるキャロラインには悪いけど、秘密にしてもすぐバレるんじゃないかしら? だって隠れているわけじゃないんだし。キャロラインの行き先を探すなら、ここは一番先に探される場所だろう。
それでもキャロラインはすぐには見つからないと自信満々だ。なんでも王宮にいるデンバー公爵が私達の居場所を誤魔化してくれているらしい。それに誘拐したと手紙まで出しておいて、普通に屋敷にいるとは思わないだろうというのがキャロラインの考えだ。
まぁそう言われたらそんな気もするけど……
「ウィルバート様がいらっしゃらない間に、ご自分のお気持ちを考えてくださいね」
キャロラインの優しさがありがたい。静かにゆっくりと私自身の気持ちを見つめてみよう。そんな事を思っている私に、「さぁ、ではまずは景気づけに、お着替えタイムですよ」っと、やけにはしゃいだ声でキャロラインが言った。
着替えるってことは服が入ってるのかしら?
キャロラインの侍女から渡された箱を受け取りリボンをほどく。箱を開けると中には予想通り服が入っていたけれど……
わーお、何だこれ?
中に入っていたのは、ふんわりとしたシルエットの白いワンピース型のパジャマだった。
「えっと……これに着替えるんですか?」
「はい。このナイトドレス、わたくしとお揃いなんですよ」
なぜいきなりパジャマが出てきたのかと戸惑う私とは逆に、キャロラインはウキウキしているように見える。
「せっかくお邪魔虫の来ない夜なんですから、お揃いのナイトドレスを着てお話しましょう」
まぁ別に構わないかと言われるがままに着替える。キャロラインから渡されたナイトドレスはゆったりとしていてとても着心地がよかった。生地はとても柔らかく肌触りもよい。胸元にレースとフリルがたくさんついて、とても可愛いデザインだ。
まるで映画の中のお姫様が着ていそうな可愛さだけど、着てみると一つだけどうしても気になることがあった。このナイトドレスは胸元が大きく開いているのだ。スタイルの良い人が着たら色っぽくて素敵なのかも知れないけれど、私にとっては貧相な胸がやたら強調されてなんだか切ない。
着替えて部屋に戻ると、同じくナイトドレスに着替えたキャロライン様が待っていた。
はぁ~。
その美しさに思わずため息が出る。綺麗な人というのは何を着ても絵になるものだ。ふんわりとしたナイトドレスに身を包んだキャロラインはとても無防備で、同性である私ですらドキドキしてしまう。同じ服を着ている私とは大違いだ。
「こうやってお揃いのナイトドレスで過ごすなんて、なんだかワクワクしますね」
無邪気に笑うキャロラインにつられて、私も思わず微笑んだ。
考えてみたら、私は今まで友達とこんな風にパジャマパーティーなんてしたことがない。そもそも元の世界ではパジャマパーティーどころか、おしゃべりする友達すらいなかったのだから。
それが今はこうしてキャロラインのような素敵な女性とお揃いのナイトドレスまで着て、笑いあってるのだ。楽しくないはずがない。
私が着替えている間に用意されたのだろう。テーブルの上には軽食とスイーツが並べられている。
時間がなくてきちんとした夕食がとれなかった私のために、キャロラインが私の好きなものをたくさん用意してくれていたようだ。
本当にキャロラインは素敵な人だ。私なんかのために、こんな気遣いをしてくれるなんて。この世の中にこんなに美しい人がいるのかと思うほどの美しさを持っているのにも関わらず、高飛車でもなければ私を蔑むこともない。いつも優しく私を友達として扱ってくれるキャロラインには感謝しかない。
本当に美しくて素敵な人……
そんな人に私ったらなんて迷惑をかけているんだろう。
あぁ、本当に恥ずかしい。なんてことをしてしまったんだろう。キャロライン様が親切だからってあんなに泣いちゃうなんて。今思い出したら、涙だけじゃなくて鼻水まで拭かせてしまったような気も……
「キャロライン様、色々とご迷惑をおかけして申し訳ありませんでした」
頭を下げる私に、キャロラインはゆっくりと首を振った。
「迷惑な事なんてありませんよ。わたくしが好きでやっていることですから」
「……でもあんなに泣いちゃって……あきれてますよね?」
恐る恐る尋ねると、キャロラインは明るい声で笑った。
「いいえ。わたくしアリス様が心の内を見せてくださったことがとっても嬉しいんです」
胸の前で両手を組むキャロラインは、本当に嬉しそうな顔をして笑った。
嬉しい? そんな馬鹿な。
あんなに泣いてわけわからないことを聞かされたのに、嬉しいなんてことある? それでもキャロラインの表情を見ていると、言葉に偽りはないように思えた。
「アリス様がわたくしを信用して心を曝け出してくださったんですよ。今まで以上に仲良くなれたことを喜ぶことはあっても、あきれるなんて事あるわけないじゃないですか」
そういうものなんだろうか?
もしキャロラインの言葉が本心で、私の醜態を見ても友達だと思ってくれるのであれば、これほど嬉しいことはない。
「さぁ、アリス様。まずは思い切り甘いものをいただきましょう」
夜は長いのだからたくさん食べてたくさん喋ろうというキャロラインの誘いにのり、取り皿にのったガトーショコラを口に運ぶ。元気を出すには、やはりチョコレートがいいと、アナベルに半ば強制的に皿に取り分けられたのだ。
でもアナベルの言う通りかもしれない。しっとりと濃厚なガトーショコラが私の幸福指数を押し上げていく。
「でもアリス様にウィルバート様と結婚してほしいと言われた時は驚きましたわ」
キャロラインは「大丈夫、本気ではないと分かってますよ」っとおかしそうに笑っているが、私は恥ずかしくて笑う事なんてできない。できれば泣いてる時の事はもう忘れてほしい。
でも……あれは本気だったんだけどな……
あの時は本気でキャロラインとウィルが結婚すればいいと思っていた。
じゃあ今は……?
自分の心の中を覗こうとするが、アナベルの声によって思考の糸はプツリと切れた。
「あの……キャロライン様……グレース様のおっしゃっていた事は作り話ですよね?」
「グレース様のって、どのお話かしら?」
「春喜宴のパートナーの事です」
グレースがウィルのパートナーに決まったという話はアナベルの耳には入っていなかった。情報通の自分の耳に入っていないのだから、グレースの作り話なのではとアナベルは思ってはいるようだ。けれどグレースのやけに自信満々な様子が気になるのだとアナベルは言う。
「残念だけれど……パートナーの件は本当のことでしたわ」
キャロラインは私を誘拐する許可をもらうためロバート様を訪ねた際、春喜宴のパートナーについても確認をしたそうだ。その際間違いなく、次の春喜宴ではグレースがウィルのパートナーを務めると言われたらしい。
「そうなんですか……」
やっぱり事実なのかと思うとため息が出てしまう。っと目にうつるアナベルの悲しそうな顔と、キャロラインの申し分けなさそうな表情に胸が痛んだ。
「でもよかったです。ウィルバート様のパートナーなんて、私には荷が重かったですから」
そう、これは事実だ。本当の事でしょっと自分に言い聞かす。
「きっとウィルバート様もグレース様がパートナーになられて嬉しいと思いますよ」
私、上手に笑えてるよね?
だって本当にそう思ってるんだから。
なのに、なぜウィルとグレースの事を考えると涙が出そうになるんだろう。
「……やっぱり私なんかじゃウィルバート様には釣り合いません。ウィルバート様にいいパートナーが見つかって、本当によかったです」
黙っていたら涙が溢れてしまいそうで、ただ喋り続けた。
「アリス様……」
私を見つめるキャロラインの瞳は何か言いたそうにゆらめいている。けれど特別な事は何一つ言わなかった。
「アリス様、うちのパティシエが作るシフォンケーキは絶品ですよ。是非召し上がってくださいね」
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