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16.聖なる夜が二人を包む

327.すごく甘いね

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「なんだったのアイツは?
僕のアキラに触りやがって腹立つ」


ベンチに座り怒りに任せてクレープをかじるジョンが、絵面的にすごく面白いなぁとアキラは温かいコーヒーをすする


花束のように片手で3つのクレープを掴んで食べる様は、器用だなぁと関心してしまう


もう片方の手はしっかりとアキラの手を握りしめている。


「離れなければよかった…
ごめんね、手をずっと繋いでるって約束したのに、怖くなかった?」


気遣うように、握られた手の親指で手を撫でられる


「うん、全然大丈夫だよ
だっていつもの僕の周りは、更にやばい冒険者だらけじゃん!
あいつらとは、ランクが違うでしょ…
昨日なんてそのやばい冒険者に鳩尾殴られて、絞め落とされたんだよ

流石にあの程度の冒険者じゃあねぇ?涙もでないよ…」


ハハッと苦笑いするアキラに、ジョンはほっとしたため息をつく


「でもジョンが来てくれてよかった。肩触られたときはどうしてやろうかって、ちょっと困ってたんだよね…

口で言い負かして心神喪失狙うか…
一発殴らせて警察に持って帰ってもらうか…
どっちにせよ目立つから嫌だったんだよね」


アキラはけっこう柄が悪い人たちの対応なれてるなぁと思いながら、イチゴクレープを食べきる

「………でもちょっとナンパされて嬉しかったけどね」
「はっ?何が?」

アキラの言葉に驚いて目を見開いてアキラを見る、つい力が入って残りのバナナアイスクレープとフルーツミックスクレープをグシャリ潰してしまった


「あ~…ウェットティッシュいる?どこかで洗えるかな?」
「違うよ!こんなことより、なんで嬉しかったか教えてよ!」
「イヤイヤ!明らかにそれが一番緊急事態だよ?
ほら危ないよ!アイス落ちるよ、食べて食べて」

アキラに指摘されダラリと落ちそうなクレープ達をハグハグと急いで食べる


「あっごめん、全部食べちゃった…アキラも食べたかったでしょ?」

急ぐあまりクレープを食べきってしまってクリームに汚れた手を、しょんぼりと垂れた耳で見つめる
前回みたいにアキラにもあげるつもりだったのに…

「あぁ…ふふっなら僕はこれもらおうかなぁ?」

アキラは笑いながらジョンの手のクリームを舐め取った
固まって見ているジョンを尻目にペロペロとなめとり、最後に軽くチュッとキスをして手を離した


「すごく甘いね…ごちそうさまでした!」


いい笑顔で言うと、そのあとはウェットティッシュで隅々まで拭いてくれた


「………ありがとう、もぅ夜は覚えといてね!」


何かちょっと悔しくて、赤く熱る顔のまま捨て台詞みたいに吐いた
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