夢から覚めるなら殺して〜虐待を受けてきた白狼、天才科学者はなんとか助け出すが、歪んだ性知識と無知な性知識、いつになったら幸せになれるの？

20.胸のホールを埋めてください 3

528.会長宅では 〜自己嫌悪〜 (side会長)

コンコンッ




昨日の惨事があった部屋に付き、ノックをするが応答はない　


「ジョン君や？様子はどうじゃ？
じいちゃんじゃよ…少し話をしような？」


なるべく刺激しないように、優しい声で話しかける
扉を開く腕が知らずに力が入り、ジットリと手汗が滲んで気持ち悪かった……





扉を開くと、ジョン君の姿が見当たらない…
それほど広い部屋でもない


カウンセリングに使う向かい合わせのソファにその間の小さなローテーブル
体の診断に使うようのセミダブルのベッドにサイドテーブルが1つずつの元はシンプルな客間だが…


布団や枕は爪で裂かれ、中の綿や羽毛が部屋中に散れている…
同じく裂かれたソファに強化ガラスにヒビカ入ったローテーブル、壁紙もそこら中にでかい爪痕で裂かれている




小さくため息をつく…
よく見るとベッドと壁の間にデカい体を小さくさせるように膝を抱えて、顔を伏せているジョン君がいた



「ジョン君や、そこじゃったか…
ちょっとは落ち着いたようじゃのう？
昨日から何も食ってないじゃろう
じいちゃんと朝ご飯にしよう

さぁおいで…昨日はひどい一日じゃったな…」


「ゔぅゔゔぅぅぅああぁぁぁ！！
おじぃちゃ……アギラがぁ！！？」



ワシの声を聞いて、堰を切ったようにジョン君が泣き出した
泣かれるならまだ全然いいわい……



昨日は叫んで暴れるジョン君を二人ががりで抑え付け、何時間も説得して
とうとうジョン君の体力尽きて気を失うように眠りについたのだ


ワシも田中ももちろんジョン君ももうボロボロじゃった…




「おぉ…可哀想にのう
じいちゃんと話をしような…
大丈夫じゃよ、大丈夫じゃ！！」


まるで自分にも言い聞かせるようにジョン君に言い聞かせる…
これからどうなるかもわからんが


とりあえず、クソ腹立つが！
ジーザスの言うとおり、ジョン君を落ち着かせんことには、アキラ君とも話もできんじゃろう



「アギラがぁ消えだっでぇぇぇ、アギラがぁ言うんだよぅ！
なんでぇ？アギラがぁ！？
なんでだよぅ？」


ジョン君の中でのアキラ君の言葉は絶対で…そのアキラ君がジョン君のアキラ君・・・・・・・・・を消したという
とても受け入れられない現実を、突きつけられたのじゃ



号泣してワシに縋るジョン君の白い髪の毛を撫でる
アキラ君、これがお前さんを振ったジョン君の姿か？
お前さんの名前を子供のように繰り返して泣いとるじゃないか？



もっと、やりようはなかったのか！
あぁ……違った
あの子を責めるのはお門違いじゃ



ワシがあの子の耐えてた気持ちを
ジョン君への罪悪感と、もう一人の自分への嫉妬心と、自分自身への嫌悪感に耐えに耐えてた気持ちを
いらん言葉で、決壊させたんじゃ



本当…今、ワシはジーザス以上に
自分自身に腹が立つ！！
なんであのときあんな失言をしたのか…



アキラ君、君は今…何を思っておるんじゃ？
これからどうするつもりなんじゃ？



その場にはいないアキラ君を思いながら、縋って泣くジョン君の背中をひたすらに撫で続けた