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20.胸のホールを埋めてください 3
543.会長宅では 〜祈り〜 (side会長)
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「ジョン君や…あのアキラ君もアキラ君なんじゃよ!
記憶をなくす前のアキラ君をお前さんが大事に思う気持ちはわかる
じゃが、あのアキラ君だってお前さんにとって大事な人じゃったじゃろう?
情を交わし合って、愛し合ってたんじゃろう?」
あの手紙がきた日から、ワシはひたすらにジョン君を説得している
たぶんあのアキラ君は、自分の存在をかけてでもジョン君のアキラ君を取り戻そうとしてるのだろう……
それなのに、このままジョン君に憎まれまま消えていくのはあまりに哀れだ!
「でもあのアキラが言ったんだよ!
僕のアキラを消したって…
どうしたらいいかわからないんだよ、あのアキラも愛してたよ
でもそれは、あのアキラが僕のアキラだって思ってて
でもそのアキラが!僕のアキラを消したって!!」
「そうじゃが、あのアキラ君だって好きでそんなことしたわけ、ないじゃろうが!
不可抗力もいいとこじゃ!!
あの子は病気に苦しんで、苦しみ抜いて…無意識に行ったことがこんな事態になったんじゃろう?
あのアキラ君はひたすらに不安に喘いで、お前さんとも必死に向き合って!
やっとお前さんを受け入れられたのに…
そのお前さんがあのアキラ君を拒否したらあまりにも、可哀想じゃ!」
耳を塞いで部屋の隅で丸くなって、聞きたくないっという姿勢にジョン君はなった
ジョン君は食事もほとんど取らずに、ワシが必死で渡す水だけは飲んでくれるが
それでも数日で毛はパサつき、顔は痩せこけて顔色は青ざめてまるで別人のようになってしまっている
「無理だよ!僕は許せない、あのアキラは受け入れられない…
あのアキラが僕のアキラを消したんだ!僕のアキラを苦しめていたんだ!
うぅぅ……うああぁぁーー!
うぅ…僕だって…あのアキラを愛せるなら愛したいよ……」
叫ぶような泣き声と共に出た言葉が、ジョン君の本心なのだろう……
ジョン君はやはり、記憶のあるアキラ君しか愛せない
それはあまりにも強い刷り込みのようで……
アキラ君……お前さんはなんて残酷な愛し方をジョン君にしてきたんじゃ?
お前さんの真綿のような優しい束縛が、ジョン君を苦しめておるよ…
もしアキラ君が戻らなかったら、そのまま絞め殺されてしまいそうなほどにな!
今はいないアキラ君に悪態をつきながら、哀れに泣き崩れ続けるジョン君を見る……
『一条 甲は乙に対しての脅威をすべて排除すること』
契約書のあの言葉を思い出す
決戦の日は決してジョン君は連れていけない…
もう少し落ち着けば、ひと目だけでも会わせられるかとも思ったが
とても大人しく見ていられるとは思えない
ワシはジョン君には何も告げることなく、二人を迎えることを決意した
約束の日は明日に迫っている…
アキラ君………お前さんは今は何を思っているんじゃ?
どうか……後生じゃから……この子に……
それがあまりに残酷で、自分勝手な願いだとしても
記憶をなくす前のアキラ君をお前さんが大事に思う気持ちはわかる
じゃが、あのアキラ君だってお前さんにとって大事な人じゃったじゃろう?
情を交わし合って、愛し合ってたんじゃろう?」
あの手紙がきた日から、ワシはひたすらにジョン君を説得している
たぶんあのアキラ君は、自分の存在をかけてでもジョン君のアキラ君を取り戻そうとしてるのだろう……
それなのに、このままジョン君に憎まれまま消えていくのはあまりに哀れだ!
「でもあのアキラが言ったんだよ!
僕のアキラを消したって…
どうしたらいいかわからないんだよ、あのアキラも愛してたよ
でもそれは、あのアキラが僕のアキラだって思ってて
でもそのアキラが!僕のアキラを消したって!!」
「そうじゃが、あのアキラ君だって好きでそんなことしたわけ、ないじゃろうが!
不可抗力もいいとこじゃ!!
あの子は病気に苦しんで、苦しみ抜いて…無意識に行ったことがこんな事態になったんじゃろう?
あのアキラ君はひたすらに不安に喘いで、お前さんとも必死に向き合って!
やっとお前さんを受け入れられたのに…
そのお前さんがあのアキラ君を拒否したらあまりにも、可哀想じゃ!」
耳を塞いで部屋の隅で丸くなって、聞きたくないっという姿勢にジョン君はなった
ジョン君は食事もほとんど取らずに、ワシが必死で渡す水だけは飲んでくれるが
それでも数日で毛はパサつき、顔は痩せこけて顔色は青ざめてまるで別人のようになってしまっている
「無理だよ!僕は許せない、あのアキラは受け入れられない…
あのアキラが僕のアキラを消したんだ!僕のアキラを苦しめていたんだ!
うぅぅ……うああぁぁーー!
うぅ…僕だって…あのアキラを愛せるなら愛したいよ……」
叫ぶような泣き声と共に出た言葉が、ジョン君の本心なのだろう……
ジョン君はやはり、記憶のあるアキラ君しか愛せない
それはあまりにも強い刷り込みのようで……
アキラ君……お前さんはなんて残酷な愛し方をジョン君にしてきたんじゃ?
お前さんの真綿のような優しい束縛が、ジョン君を苦しめておるよ…
もしアキラ君が戻らなかったら、そのまま絞め殺されてしまいそうなほどにな!
今はいないアキラ君に悪態をつきながら、哀れに泣き崩れ続けるジョン君を見る……
『一条 甲は乙に対しての脅威をすべて排除すること』
契約書のあの言葉を思い出す
決戦の日は決してジョン君は連れていけない…
もう少し落ち着けば、ひと目だけでも会わせられるかとも思ったが
とても大人しく見ていられるとは思えない
ワシはジョン君には何も告げることなく、二人を迎えることを決意した
約束の日は明日に迫っている…
アキラ君………お前さんは今は何を思っているんじゃ?
どうか……後生じゃから……この子に……
それがあまりに残酷で、自分勝手な願いだとしても
応援ありがとうございます!
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