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22.阻む君

599.狩り前夜  (sideマサト)

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「っっっ………はぁ…
俺が駄目だって言っても君はきかないだろう?
本当に俺の女王様クイーンはわがままなんだから!

痛み止めと抗生剤と解熱剤と、あと何を投与したらいいかな?
興奮剤とかはあまりしたくないんだけど、いるかい?」


「ふふっ、ありがとうございます。
僕の白兎さん!
興奮剤は自前で脳からバンバン出てますから大丈夫です。

とりあえず右手と右足をギブスか何かでガッチガチに固めてください
痛みがあってもいいので、動けるようにしてください。

あと谷口さん、僕の家から持ってきていただきたいものがあります。
鍵の場所教えるので、くれぐれも取り扱いに注意してくださいね!

ものすごく貴重なのものと、ものすごくヤバいポーションですからね?
あと警察には……あまり見つからない方がいいかもしれません」


駄目だ、唯一の防波堤になりえたシノダ教授が崩された…
もうこうなったアキラさんは誰も止められない

あと谷口に何運ばせようとしてるんですか?
麻薬か?違法薬物か?大丈夫なんですよね!


「わかりました、大切に扱って取ってきます。
どれくらいの大きさですか?」


谷口も二つ返事でよくそんな怪しいものを運ぶよな
まぁ…さっきの手を震わせていたときより断然いい顔をしている。
やばいサイコパス谷口の笑顔だけど!


「あと会長、申し訳ないですが…
玄関ホールがたぶんかなり壊滅します。
しっかりと弁償しますし、なんなら給料から天引きしてもいいので許していただきたいです。」

「別にそんなのかまわんわい! 
好きなだけ壊してくれ
はぁ……ワシ等も何かやらせるんじゃぞ?
指を咥えて見てるだけなんて、耐えられんからな?」


会長の言葉に苦笑ぃを返すアキラさんは、やはりいつもの弱々しさも儚さもまったくなくて


「マサトさんは、ジョンの見張りをお願いしたいです。
ありえないと思いますが、僕があいつを取り逃がしたときはジョンを守ってやってください。

いいですか?マサトさんが抜かれたら……ジョンは本当に戻ってこない恐れがありますから!
本当に、本当にお願いしますね」


ただその必死なところはいつもと変わらなくて
たぶん俺の実力を汲んでジョン君を任せてくれたことに喜びを感じる。


「わかりました。
僕が後方っていうのが、ちょっと気にいりませんが…
あなたの期待は裏切りませんよ。
死ぬ気でジョン君を守ることを約束します。」


俺の返事に満足したのか、小さく笑顔で頷いてくれる。
はぁ…この中では一番アキラさんに囚われていないっと自負していたが…
どうやら俺ももう駄目な気がしてきた。
俺ももうとっくに、アキラさんの信者になっていたってわけか……


とりあえず各々の持ち場の説明を受けて、俺は自分の武器を選びに会長宅の地下に向かった。



地下の階段を下りながら今晩の狩り場は激しくなりそうで、自然と口元が緩んでいく。
やっぱり俺も冒険者あかりだ…この高揚感がたまらない…
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