夢から覚めるなら殺して〜虐待を受けてきた白狼、天才科学者はなんとか助け出すが、歪んだ性知識と無知な性知識、いつになったら幸せになれるの？

30.新たな番

847.喧嘩 (sideバスター〉

喧嘩になった。まさかの付き合って初めての喧嘩がチョーカー…

「私の美意識からしたら、それはありえないんだよ！持ってる服からしても絶対に合わないし、第一に私がそれを付けたら危ない人物にしか見えないだろう？」

「なんで？絶対にバスターさん似合うよ、強く見えるよ！そっちの可愛くて綺麗な方だと誘ってるようにしか見えないじゃん！
絶対に外でとか付けないで…こっちのトゲトゲ付けててくださいよ！」

「誘ってるって…私がコレをつけたからって誘うように見えるわけないだろう！
だいたいそういう考え方ってどうなんだ？」


…もうお互いに一歩も引かない喧嘩になってしまった。シバに自分好きなモノを否定された気がして、ついカッとなって言い合いになってしまった。

シバも、私に何故か必死であのパンクチョーカーを付けさせようとする。私も意地になって拒否をしてしまったから…


もう次の日になっても気まずい空気のまま、出される朝ご飯を食べて出社してきたが…
いつもよりずっと美味しいと思えない朝ご飯で、いつもはするおかわりは断ってしまった。

今は自分の執務室で、どんよりとした気持ちで書類仕事に励んでいる。そんな気持ちをぶつけるようにパソコンのキーを叩いていると


「……バスターさん！もしかして僕のこと気づいてない感じですか？大丈夫ですか？」

「えっ！あぁ！！アキラさん、なんでこちらに？えっ…すいません、集中していたものですから…」

「珍しいですね？バスターさんが周りの気配に気づかないなんて…何かありました？さっきのバソコンを打つ顔は酷い顔でしたよ？
話せることなら聞きましょうか？少しはスッキリしますよ？」


屈託なく笑うアキラさんの手には書類の束があって、きっとこれを届けてくださったのに、私が全然気が付かなかったのだろう…
でも、確かに少し話してみればスッキリするかもしれない…


「あぁ…実はシバと喧嘩をしてしまって、本当に些細すぎることで恥ずかしのですが…」


事の顛末を話していくと段々と自分の気持ちがわかってくる


「私は、シバに綺麗なモノや可愛いモノが好きなのを受け入れてもらえて、嬉しかったんです。
なのに…私が選んだチョーカーは誘う__・・__#ようなモノだと…結局はあんなパンク調の厳つい方が私に似合うと」

「なるほど…それはいけませんね！
バスターさんはせっかく可愛らしくなろうとしてたのに…」

「そう…私は、またシバには素敵ですっと言われたかったのに…
なんで誘う・・みたいだから外では付けるななんて、そりゃあの厳つい方が私には似合うだろうさ！でも…私は…」


アキラさんの手がポンっと肩に置かれて、思わず顔を上げれば柔らかな笑顔のアキラさんがニィィっといたずらを仕掛ける猫のように表情になっていった。


「もう、今日は飲みに行きましょう！復職祝で、僕が奢るから二人で飲んじゃいましょう？
シバさんとジョンの愚痴り合いしましょうよ？
ふふっ…バスターさんもストレス溜まってるでしょ？」

「えっ？いや…私はそんなに…シバに比べたら…」

「溜まっですよ！独身貴族でずっときてたのに、いきなり押し掛け女房ができちゃったんでしょ？ちょっとくらい羽を伸ばさなきゃ、ねっ？」


アキラさんが素敵な笑顔で私を誘ってくれるから…まだ少しシバが待っている我が家には帰る気にならないから…その誘いを受けてしまった。