夢から覚めるなら殺して〜虐待を受けてきた白狼、天才科学者はなんとか助け出すが、歪んだ性知識と無知な性知識、いつになったら幸せになれるの?

モスマンの娘

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30.新たな番

882.遠いあの日 (sideアキラ)

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「ほらっ…もう嵐がひどくなっちゃうから、気をつけて帰りなよ」

「アキラ…ぁあ…アキラっ…」


まだぐずぐずと泣き崩れるダークを急かして、家から追い立てるように帰路につかせた。
閉まった扉を見つめながら、ソファに一人力なく座れば、そのまま立てなくなってしまった。

ダークの夢を、族長になる夢を一番近くで見るという未来は、もう絶たれてしまった。
僕にはもうそんな時間はないと、わかってしまったから…なにもしなけれは5年生存率2%、スキル機能亢進症のデータではそうあった。

ダークに言えば、ずっと追い続けている族長の夢よりも僕を選んでくれるって自信がある。
きっと残された時間を、二人で安らかに過ごして苦しくても辛くても寄り添ってくれて…最後まで看取ってくれるに違いない。

でもダメだ、そんなの許せない!ダークのこれまで頑張りは僕なんか消費して言い訳がない!
それに僕が逝った後、ダークはどうなる
他種族の同性の僕に寄り添い、一線を退いた族長候補がほいほいと戻れるような世界じゃない…


「…ダーク…ダーク」


それでも…自分で引いた幕なのに…溢れ出る涙が止まらない


「ダーク…ダーク!」


『アキラ、アキラ…』
あの優しく名前を呼ばれて居心地よかった隣には、きっと他の誰かが立つのだろう、それがひどく苦しくて胸を締め付ける。


「ああぁぁ!ダーク…ダーク…」


今すぐ縋りついて、全てを打ち明けで側にいて欲しいと言ってしまいたい
それでも……それでも……
ひたすらに一人で泣き崩れて、ダークの名前を呼んでいた。
外の雨音が激しくなっていき、その無様な泣き声を掻き消してくれることが、今はすごくありがたかった。


=======



「アキラ?どうしたの?ぼぅっとして…なんかっ…考え事?ちょっと辛そうだよ…疲れてる?もう寝る準備しようか?」

「あぁ…大丈夫だよ、ちょっと昔のこと思い出しちゃって…一人だったときのこと思い出しちゃって、寂しくなっちゃったんだ
ジョンがギュッてしてくれたら大丈夫だよ、そのままお風呂も入れて欲しい…」

「ふふっ…そうなの?僕のお姫様は寂しがり屋だもんね、甘えん坊のアキラは可愛いな…
じゃあ今日もお風呂でいっぱいよしよししてあげるね?」


ジョンが優しく包み込むように抱きしめてくれる。あの時は一人で泣いて震えるしかできなかったけど…その寂しさも苦しさも、今は遠い昔のことで…

抱きしめながら擦り寄れば、すぐに察して唇にキスをしてくれる。
すぐに離れてしまうソレが嫌で、何度も何度も強請ってしまって…


「今日はどうしたの?本当に寂しがり屋だね…離してくれないとお風呂の準備できないよ?」

「今はまだ離しちゃ嫌だ、もっとちゅ~してて…ジョン…僕が恋多き恋人でゴメンね?」

「えっ?何?他の人のこと思い出して寂しくなってたの!ちょっと誰っ?浮気とか許さないからね!」


ジョンの抱きしめる力が強くなってちょっと苦しい…ぐぇってなる一歩手前くらいになってる。
でも、今はあのときとは違うのだ、こんなに強く愛されて孤独なんかとは程遠い


「ふふっ愛してるよ、ジョン…浮気なんかするわけないじゃない?もちろんジョンだけだよ…」

「むぅ~、最近はシバさんにも目移りしてそうだしっ、絶対に駄目だからね!アキラは僕の番なんだからね!」


はいはいっと笑いをこぼしながら、ヤキモチ焼きの若い唇を自分の唇で塞いでいった。
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