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32.亀裂
962.救助 1 (sideバスター)
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ヴヴヴ…
アキラさんのスマホのバイブレーションがなり、アキラさんが確認をしてため息を吐いた。
「ヌキさんは一時間も持ちませんでしたね…
場所がわかりました。谷口さんのスマホに転送します。カーナビで確認してください、すぐに向かいましょう、ダークにはこちらから連絡を入れておきます。場所がちょっと厄介で、人狼自治区なんですよね…」
アキラさんがキビキビと指示を飛ばす。
人狼自治区ということは、人狼の法律がまかり通る。人間ももちろんそれに従う必要があって、人狼の縦社会は絶対で族長が絶対君主のような権限をもっているのだ
「たぶん場所からしたらダークの方が早く着くかな?あいつのことだから、正攻法でいくだろうから…」
アキラさんの思っていた通りに私達が犯人の拠点に着いたころには、周りは人狼族に包囲されていて、私達が交戦する必要などもなく完全に犯人側の負けは見えているような状態だった。
それでも胸当てをつけた堅い表情の人狼が案内をして、狭い応接間のようなところに通されれば、そこにはダーク様が長い足を組んで座り、向かいにはボリゾイ系人狼が強張った表情で座っていた。
「アキラ、やっと着きましたか
待っていたのですよ…紹介します。こちらは族長候補のトーマス君です。
大変に優秀な方でね?今は何番手くらいでしたか?10番手くらいかな…?ははっ、覚えていませんが…
私なんかとは違って純血主義、人狼絶対主義、他種族排斥を唱えてる。大変に固陋蠢愚で旧態依然な方なんですよ…本当に古臭くて仕方がない」
「ダーク、最後の方は取り繕う気なくなったんだね、はいっ!これでよかった?書類の原物だよ」
「えぇ、ありがとうございます。
さてとトーマス君、貴方には人狼の機密を人間族に漏らしたという嫌疑がかかっています。今回はそのための家宅捜索を行わせていただきます。こちらの紙が人間の領地の貴方が借りているオフィスから見つかりましてね?」
アキラさんがダーク様に渡したのは、私が乗り込んだ雑居ビルに残されていた旧人狼文字の書類で
「なっ、それは…しかし、内容なんて…第一私が人狼族の機密を人間なんかに!」
「あぁ…すいませんが、私は頭が悪くて新参者で、新しいことしか興味のない痴れ者ですから、旧人狼文字は読めないのですよ
ただ旧人狼文字で書いてあるくらいだから、大変に大切なことが書いてあるのでしょうね?
まさか仕事が終った後の、打ち上げ会のお知らせなわけがないでしょう?」
ダークさんの言葉に、貴族のような顔をしたトーマスさんが歯をギリリっと鳴らしている。
なるほどダークさんは別件容疑で家宅捜索をして、シバとカズマさんを見つけるつもりなのか
「そうでした。私の組の幹部が行方不明なんですよ…もしかしたらご存知ないですか?
万が一にも家宅捜索で何か見つかるようなら、こちらとしても手の納めようがない
貴方とは決闘したくありませんし、貴方の一族粛正も見るのは心苦しい」
「ぐぅぅ…貴様のような考え方が通っていけば、人狼族はダメになっていくのだ!それがわからんのか!!」
「はぁ、一時の感情で身を滅ぼしますか?貴方のお子様はまだ去年産まれたばかりですよねぇ…幹部にもしものことがあれば、私は赤子とて容赦はいたしませんよ?」
ダークさんの言葉も表情もどこまでも冷たく、本気だと言うのが伝わってくる。
トーマスさんがガタガタと体を震わせて、唇を噛んでジワリっと血が滲みでるのが見える。
これは…すぐに堕ちるな
「………お二人をお連れしろ、ダーク様…どうか、私はどうなろうと構いません…一族には御慈悲をお掛けください」
「それは、二人の様子を見てから決めます。早く二人を連れてきてください!もしも取り返しのつかないような扱いをしていれば…覚悟をしてくださいね?」
ダーク様の言葉に顔面が蒼白していく、二人の状態はそんなによくないのか!叫びだしたいのをぐっと我慢して、永遠のような時間を待っていれば…
「失礼します!すいません、あの…人質がっ、いえ…あのお二人がいないのです。あんな状態だったのに、逃げ出したようで…」
アキラさんのスマホのバイブレーションがなり、アキラさんが確認をしてため息を吐いた。
「ヌキさんは一時間も持ちませんでしたね…
場所がわかりました。谷口さんのスマホに転送します。カーナビで確認してください、すぐに向かいましょう、ダークにはこちらから連絡を入れておきます。場所がちょっと厄介で、人狼自治区なんですよね…」
アキラさんがキビキビと指示を飛ばす。
人狼自治区ということは、人狼の法律がまかり通る。人間ももちろんそれに従う必要があって、人狼の縦社会は絶対で族長が絶対君主のような権限をもっているのだ
「たぶん場所からしたらダークの方が早く着くかな?あいつのことだから、正攻法でいくだろうから…」
アキラさんの思っていた通りに私達が犯人の拠点に着いたころには、周りは人狼族に包囲されていて、私達が交戦する必要などもなく完全に犯人側の負けは見えているような状態だった。
それでも胸当てをつけた堅い表情の人狼が案内をして、狭い応接間のようなところに通されれば、そこにはダーク様が長い足を組んで座り、向かいにはボリゾイ系人狼が強張った表情で座っていた。
「アキラ、やっと着きましたか
待っていたのですよ…紹介します。こちらは族長候補のトーマス君です。
大変に優秀な方でね?今は何番手くらいでしたか?10番手くらいかな…?ははっ、覚えていませんが…
私なんかとは違って純血主義、人狼絶対主義、他種族排斥を唱えてる。大変に固陋蠢愚で旧態依然な方なんですよ…本当に古臭くて仕方がない」
「ダーク、最後の方は取り繕う気なくなったんだね、はいっ!これでよかった?書類の原物だよ」
「えぇ、ありがとうございます。
さてとトーマス君、貴方には人狼の機密を人間族に漏らしたという嫌疑がかかっています。今回はそのための家宅捜索を行わせていただきます。こちらの紙が人間の領地の貴方が借りているオフィスから見つかりましてね?」
アキラさんがダーク様に渡したのは、私が乗り込んだ雑居ビルに残されていた旧人狼文字の書類で
「なっ、それは…しかし、内容なんて…第一私が人狼族の機密を人間なんかに!」
「あぁ…すいませんが、私は頭が悪くて新参者で、新しいことしか興味のない痴れ者ですから、旧人狼文字は読めないのですよ
ただ旧人狼文字で書いてあるくらいだから、大変に大切なことが書いてあるのでしょうね?
まさか仕事が終った後の、打ち上げ会のお知らせなわけがないでしょう?」
ダークさんの言葉に、貴族のような顔をしたトーマスさんが歯をギリリっと鳴らしている。
なるほどダークさんは別件容疑で家宅捜索をして、シバとカズマさんを見つけるつもりなのか
「そうでした。私の組の幹部が行方不明なんですよ…もしかしたらご存知ないですか?
万が一にも家宅捜索で何か見つかるようなら、こちらとしても手の納めようがない
貴方とは決闘したくありませんし、貴方の一族粛正も見るのは心苦しい」
「ぐぅぅ…貴様のような考え方が通っていけば、人狼族はダメになっていくのだ!それがわからんのか!!」
「はぁ、一時の感情で身を滅ぼしますか?貴方のお子様はまだ去年産まれたばかりですよねぇ…幹部にもしものことがあれば、私は赤子とて容赦はいたしませんよ?」
ダークさんの言葉も表情もどこまでも冷たく、本気だと言うのが伝わってくる。
トーマスさんがガタガタと体を震わせて、唇を噛んでジワリっと血が滲みでるのが見える。
これは…すぐに堕ちるな
「………お二人をお連れしろ、ダーク様…どうか、私はどうなろうと構いません…一族には御慈悲をお掛けください」
「それは、二人の様子を見てから決めます。早く二人を連れてきてください!もしも取り返しのつかないような扱いをしていれば…覚悟をしてくださいね?」
ダーク様の言葉に顔面が蒼白していく、二人の状態はそんなによくないのか!叫びだしたいのをぐっと我慢して、永遠のような時間を待っていれば…
「失礼します!すいません、あの…人質がっ、いえ…あのお二人がいないのです。あんな状態だったのに、逃げ出したようで…」
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