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1003.疑惑の裏 3 (sideバスター)

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今日は有給にしておいたから、夕方前に家の前に着いてしまった。
シバはダーク様との打ち合わせと言っていたから帰りが遅いだろう、晩御飯なんかを簡単に作っておいてもいいな…主菜はもしかしたら何か用意しているかもしれないから、副菜や汁物なんかを用意しておいて…

そんなことを考えながら家に一歩踏み入れば、ぞわりっとしたものが背筋を走った。
何かが体に纏わりついているような感覚がする。それはあの薄暗い廊下で向けられた、淀んだ瞳の視線のような不快なもので、私達の幸せな住処にはとても許しがたいもので…

気持ちが悪い、黒いドロドロのタールでもへばりついたようで絶えられない!
鞄をリビングのソファに放り投げて、風呂場に飛び込んで体中を隅々まで擦り洗う

『あんたも俺と変わらないじゃないか!』

あの言葉が耳から離れない、私とアイツラダは変わらないのか?私が何か運命をかけ間違えていれば、あの場所にいたかもしれないのか…

体を洗って、頭を洗って、きっと情けないことになっている顔も二度洗えば、少しスッキリして肩の力が抜けていった。
大丈夫だ…シバは私を愛してくれている。
私はあいつラダとは違うのだと、何度も自分に言い聞かせて気持ちを落ち着かせる。

はぁっと溜息を一つついてから浴室から出れば…ビクッとなった!そこにはシバがいた。
私の服を持ち上げて凝視していて、やばい何かあったのだろうか?


「あっ!シバ…あぁ…帰ってたのか、気づかなかったよ、んっ?私の服がどうかしたか?」

「あっ…いやぁっ、あのっ…この服のボタンが取れそうだなって思って、つけ直したほうがいいかな?って、後で直しておきますね…」  

「そうか、この前に買ったばかりの服なのだが…ありがとう、シバが気づいてくれてよかったよ、ボタンを落としてしまうところだった。」


明らかにいつもと違う行動をする私を疑っているのだろう、シバは勘がやや鈍くて勘違いをすぐするが鼻が利く、何かの臭いがついていたか?もしかしたら、あいつラダの臭いでも付いていた…?


「帰ってきてすぐにシャワーなんて珍しいですね?何かありましたか?」 

「何かって…何もないよ?今日は少し暑かったからな、汗をかいてしまってな、さっぱりしたかったんだよ…なんだ?一緒に入れなくて拗ねてるのか?夜は一緒に入るか?」


服の臭いよりもシャワーのことを気にしている。鉄格子越しだったから、臭いまではつかなかったみたいだ
まだ訝しげな顔をしているが、このまま雰囲気で流してしまえば誤魔化せれるだろうか?


「どうした?私とは入りたくないか?
そんな寂しいことをシバは言うのか?」

「えっ?そんなわけないじゃないですか、俺は毎日でもバスターさんと入りたいですよ!」

「ふふっ…ならよかったよ、そういえば今度の休みなんだが…」


訝しげな顔から慌てた顔をしてすぐに私を安心させまてくれる。シバには申し訳ないが、私はどうしてもシバにあいつラダと合わせたくないんだよ!


「あとっ…、シバにこの書類を…、会社で整理をしてきたらよかったんだが、ちょっとバタバタしててっ貰ってきて…、ちょっと待ってくれな……ほらっ、これなんだが、シバなら興味があるかなっと思ってな!」


シバの目がリビングの鞄に止まった瞬間に私の口はスラスラと回っていく、自分でも嫌になるくらいに疑惑をかわすのが上手いと思う
これも冒険者チームを束ねてきた経験からか、違うな…今の私はシバに気づかれないように必死なのだろう

ありがとうございます。っと財形貯蓄の用紙を受け取って、まだ少し不満気な顔だが晩御飯の準備を始めている。


シバにバレてはいけない…せめて、あいつラダをこの世から消し去るまでは…
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