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プロローグ
しおりを挟む最初、何が起こったか分からなかった。
物音が聞こえて外に出たら、村は一面赤く染まっていた。
村は血の匂いで噎せ返りそうで、視界はどこもかしこも赤い。
少年「……なんだ、これ」
ふと、幼馴染の事が気になった。
少年「○○っ!どこだっ!」
慌てて走り出す。
血の海や肉の塊に足を取られそうになりながら必死に探す。
よく分からないけど、今なら出られる。
早くこの村から出て、二人で……。
そんな事を考えていたから前から誰かが走ってくるのに気が付けなかった。
避ける間も無くそのまま押し倒された。
誰だと、その人物を見る。
馬乗りになっていたのは幼馴染。
震える手には何処から持ってきたのか、刀が握られている。
涙をポロポロと流し、紅い瞳で見つめられている。
その瞳には光が無く、何処か違う所を見ている様だ。
少年「………○○?」
呼び掛けても聞こえていないのか、両手で握られた刀が今にも振り下ろされようとしていた。
だから、抵抗するのをやめた。
不思議と怖いなんて思わなかった。
どうせ殺すならそんな危ないモノじゃ無くて他のモノにしろよ。
どうせ殺されるなら、告白の一つでもしとけば良かったな。
ああ、こいつ一人で生きていけるかな?
なんて考えてたくらいだ。
ザスッ!
目を開けると刀の刃先は頬をかすってすぐ近くの地面へ刺さっていた。
少年「○○」
呼び掛けてみたが、放心状態の幼馴染。
とりあえず危ないと思い、ゆっくりとその手を離させる。
少年「○○、とりあえず着替えよう」
ここから逃げるには服や身体が汚れ過ぎた。
どうせその様子だと誰も生きてちゃいないだろう。
なら、そこら辺の家に入れば服くらいは見つかるかもしれない。
起き上がって、その手を引く。
少年「大丈夫だ。ココは地図にも載らない様な小さな村だ。山を降りれば何が起こったかなんてバレないよ」
ひとまず近くの家に入る。
真っ先にお風呂場を探す。
少年「お湯出るかな?」
春と言っても、夜はまだまだ寒い。
流石に水はダメだ。
蛇口を捻ると徐々にぬるくなってくる。
少年「ちょっと待ってて。すぐお湯出るから」
それにしても、長いな。
なかなか出ないお湯にイライラしていた。
不意にガラッとドアの開く音。
まさか……っ!
少年「おい、○○っ!」
急に走り出した幼馴染みを慌てて追いかける。
見失わないように必死に森へ逃げる幼馴染を追い掛けるが、とにかく速い。
あっと言う間に見失ってしまった。
気が付けば、森の中心部にある大きな桜の木の下に居た。
少年「くそっ!見失った。」
また、見失った。
いつまで経っても、あの手を掴めない。
何時になったらあの涙を拭くことが出来るのだろう。
あの泣き虫な彼女の傍に居ることが出来るのだろうか。
?「………ちょっと」
身体を揺すられる。
どうやら、夢だったらしい。
女性「起きた?そろそろ着くわよ」
女性に促され、外を見る。
大きな屋敷の前。
?「ここにアイツが居るのか?」
女性「そうよ。アンタは明後日からここに住むのよ。大まかな荷物は送ってあるから今日は店に泊まりな」
?「………ん」
屋敷から一人の少女が出てくる。
?「………やっと、見つけた」
夢よりも大人っぽくなったが、すぐにあの子だと分かった。
女性「……言っておくけど、あの娘はあんたの事なんて覚えてないわよ」
?「覚えて無くてもいい。傍に居たいだけ」
むしろ、思い出さないで欲しい。
思い出すという事は、『あの日』を思い出す事だ。
でも、思い出して欲しい。
思い出して、またあの日々の様に………。
?「……矛盾、してるよな」
女性「………まぁ、プライベートな事は口出す事じゃ無いからとやかく言わないけどさ、」
と、頭を撫でる。
女性「せっかくここまで来たんだから、頑張んなさいよ」
再び車を走らせる。
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