白と黒の世界のアリス

momo

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一話

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私は、誰かに馬乗りになって手に持っている刀を今にも振り下ろそうとしている。
紅い刀身が妖しく光る。
下に居る少年が抵抗もせず、ただじっとこちらを見つめる。
表情は分からない。
諦めた様な、愛しい様な、なんと言えば良いのだろう?
殺されそうになっていると言うのに恐怖は見当たらない。
とにかく、優しい眼差し。
自分の意識は朦朧としている。か
ただ、駄目だと頭の中で警告する。
そんな思いも虚しく、身体は勝手に動く。
ザシュッと振り落とした刀は僅かにズレ、少年の顔の直ぐ傍に刺さった。
タラリと赤い線が滲む様に少年の頬に走る。
息荒く、私と少年は見つめ合う。
少年が私の頬に触れようと手を伸ばす。
親指で拭う。
どうやら私は泣いていたらしい。
少年は私の手を引いて、歩き出す。
近くの家に入る。
勝手に入っても大丈夫なのだろうか?
少年は奥へ向かった。
どうやらお風呂場に居る様だ。
少し待つ様に言われる。

私が傍に居るだけで不幸になってしまう。
この優しさに甘えてしまう訳にはいかない。
そう思って立ち上がった私は走り出した。
とにかくその場から逃げ出したかった。
私は村の奥の森目指して走った。
それは、何処かの村だった。
月が赤い。
どこもかしこも赤くて、血の匂いでむせ返りそうだった。
かつてヒトだったであろう肉片があちこちに散らばっていた。
木の幹やぬかるみにつまづきながらも走る。
後ろを振り返るとさっきの少年が追い掛けて来ていた。
早く逃げなきゃ。
あの少年に捕まってしまったら………。
















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