白と黒の世界のアリス

momo

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四話

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え?
何が起こってるの?
ちょっとうつらうつらしてる間に。
えっ、ちょっと待ってよ……。
転校生が隣に座って、
蒼空「オレ、白騎蒼空。よろしくな紫音ちゃん」
と笑いかけられた。
紫音「うっ、………うん。ヨロシクネ」
こっちはそれどころじゃない。
女子の視線が痛い。
今までなるべく目立たない様にしてたのに。
よりによって隣。
関わらないようにしようと思ってたのに……。
一時間目が始まる前、早速女子達が集まる。
そそくさと席を離れて逃げる様に移動教室へ移動する。
教室から出て、
紫音「あっ、ペンケース忘れた」
ちらりと教室の中を伺う。
紫音の席の周りにはクラスの女の子達が集まって蒼空を囲んで盛り上がったいる。
紫音「………ちょっと取ってくるね」
緋雫「じゃあ、先に行って席取っておきますね」
教室に戻り自分の席を見る。
「ねぇ、蒼空くん、どうして転校して来たの?」
蒼空「んー、人探し」
「人探し?」
蒼空「ここにオレの知り合いが居てな」
あー、せめて椅子に座って欲しいなぁ。
机に座るのはやめて欲しい。
白騎くん、イライラしてるなぁ。
あんまり騒がしいの、苦手なのかも。
ごめんね、と声を掛けての中を漁る。
蒼空「紫音ちゃん」
紫音「へっ?」
急に話し掛けられてびっくりする。
蒼空「学校、案内してほしいんだけど。昼休みにでも」
紫音「いや、私より他の人の方が………」
「えー、私達が案内してあげるよ?」
「そうだよ、私達いつでもしてあげるよ」
次々と立候補し始める。
よし、今だ。
騒ぎに紛れて離れようとすると、カタンと立ち上がって腕を掴まれた。
紫音「っ!」
蒼空「駄目?」
子犬の様な瞳。
紫音「……駄目じゃ……ない……けど………」
しどろもどろに答える。
掴んだ手はいつの間にか手の平を両手で握られていて、
蒼空「………出来れば、二人っきりで」
紫音の頭はパニック。
紫音「ふっ、二人っきりで?」
蒼空「うん。だめかな?」
あぁ、視線が痛い。
紫音「………考えておきます」
私は逃げる様に教室を出た。

緋雫「あら、どうかされました?顔が赤い様ですけど」
紫音「急いで来たからだよ」
誤魔化す様に教科書やノートを開く。
遅れて蒼空が女の子達に囲まれて現れる。
キョロキョロと辺りを見回す。
夏弥に脇腹をつつかれる。
夏弥「もしかして紫音の事探してるんじゃない?ほら、見つけて犬みたいに尻尾振ってる」
パタパタと見えない尻尾を振って紫音達の席に近寄る。
蒼空「ここ、良い?」
夏弥「どうぞどうぞ」
紫音「ナツくん………」
立ち上がろうとした夏弥の手を引く。
紫音「……向かいに座んなよ。空いてるじゃん」
緋雫「そうですね、私の隣どうぞ」
蒼空「うん。ありがとう」
紫音の斜め向かいの席に座る。
蒼空「紫音ちゃん足速いね」
紫音「……そう?」
素っ気なく返事する。
夏弥「蒼空くん、気にしないでね。ちょっと照れてるだけだから」
冬弥「紫音は人見知りなんだ」
紫音の両脇の双子がそうフォローする。
緋雫「私達も紫音さんとこうして仲良くなるのに一ヶ月は掛かりましたから。落ち込まないで下さいね」
緋雫が苦笑しながら更にフォロー。

夏弥「ねねっ、蒼空って呼んで良い?」
蒼空「良いよ」
夏弥「ってまだ自己紹介してなかったね。僕は双葉夏弥。こっちは」
冬弥「双葉冬弥だ」
夏弥「僕達双子なんだ。似てるからって間違ったらやだよ?」
緋雫「羽闇緋雫です。よろしくお願いしますね」

夏弥「蒼空って何処から転校して来たの?」
蒼空「イタリアだよ」
冬弥「へぇ、なんでまた日本に?」
蒼空「人探し」
夏弥「人探し?誰か探してんの?」
蒼空「オレの大切な人」
夏弥「なにそれっ!この学園に居るの?」
うわぁ、夏弥くんこういう話大好きだからなぁ。
大切な人を探しに転入なんて、ドラマとか漫画じゃあるまいし……。
蒼空「居るよ」
夏弥「えっ!誰誰?」
蒼空「……ないしょ」
チラリとこっちを見る。
紫音「……なに?」
蒼空「紫音ちゃんってさぁ、」
「おっ、一時間目のクラスやな」
蒼空が何かを言いかけた時に教師が入ってきた。
「村上八雲って言います。気軽にヤクモせんせって呼んでな?皆さんの理科を担当します」
理科の先生も新しく入った人らしく、簡単な自己紹介から始まり、授業の進め方等が主な時間だった。
京都出身とは言っていたが、どっちかと言うと大阪っぽい気がする。
時折くだらないダジャレを言ったりしてお笑い芸人みたいだ。


八雲「じゃ、次の時間からちゃ~んと授業するから、よろしゅうな」
バイバイと手を振って生徒達を見送る。
面白い先生来たなぁ。
教室に戻る為に教科書などを纏める。
紫音「あれ?ひなちゃん行かないの?」
緋雫「ちょっと八雲先生に用事がありまして、先に行ってて下さい」
紫音「うん、分かった」
緋雫を置いて、理科室を出る。
蒼空「紫音ちゃん」
声を掛けられて仕方なく振り返る。
紫音「……なに?」
蒼空「この学園広いね。教室まで一緒に行ってくれないかな?」
紫音「……まぁ、良いけど」
特に何か喋る訳でも無く教室に着いた。
ただ、何となく。
まだ一時間くらいなのに蒼空と居るとざわざわと落ち着かない。
はぁ、早くお昼休みにならないかな?
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