デルモニア紀行

富浦伝十郎

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帝都デリドール

命令するゴブリン

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 階段を上がって二階は倉庫や武器庫のような感じで人の気配は無かった。
殆どモノが置いてない小部屋(牢屋?)や武道練成場みたいな広間もあった。
( 日頃あんまり ”戦闘訓練” とかはしてない感じだけども )
・・まあ ”居住区” ではない  ってことで。

 ガルドスのいる最上階への階段は一階からの階段と反対側にあった。
階段を上ってみると扉があり鍵が掛かっていた。 
・・・ここまでは "前回" と同じだ。

「よいしょ!」
俺は ”ゴブリンロック” を収納から召喚して頭上に持ち上げた。
「せいや!」
鍵の部分に投げ付ける。
激しい破砕音と共に扉が内側に開いた 。(ロックでロックを破壊、なんちて)



「・・・騒がしいのう」
部屋に踏み込むと奥のソファに腰掛けていたガルドスが俺の方に向いて言った。
「ノックぐらいせんかい」
なんか ”余裕” って感じを醸し出している。( こやつ、出来る! )
俺は気圧されそうになるのを感じつつ応える。

「喧しくしてすまんかったのう」
床に落ちたゴブリンロックを収納に戻しながら言う。
「けど、鍵を開けに来る手間を省いたったで? 感謝せいや」
ガルドスを差した示指をチッチッと振る。
( ビビッてないなら鍵なんか掛けてない筈だからな )

「・・何の用や」
渋い表情でガルドスが言う。
「ワシのタマを取りに来たんか」
ソファからゆっくりと立ち上がる。
「手下を倒したくらいで調子に乗っとったらいかんで?」
いつのまにか右手に半月刀シャムシールを持っていた。 
( かなり使えるようだ )
クエストで来た”前回”はフルプレで固めて突入したからな。
細かいダメは気にせずに兎に角 "ゴリ押し" で行けたのだった。
だけど今回は小手と脛当て以外は紙装甲(無いよりマシだけど)だ。

「お前ん処の者はホンマしょーも無かったわ」
俺もファルカタを構える。
「みーんな裸に剥いたったで♪」
「・・・!」
俺が ”挑発” するとガルドスは無言で打ち込んで来た。
確かに階下にいる手下達とは比べ物にならない技量だ。
しかし、俺も一度は剣士職をカンストしているのだ。
ファルカタで半月刀を弾き、柄頭でガルドスの右拇指を打った。
拇指を潰され堪らず半月刀を落とすガルドス。 それでも左拳を突いて来た。
小さな暗器を握っている。 フルプレなら気にも留めないような攻撃。
俺は右膝とファルカタの柄で上下からその拳を挟み潰した。
骨の砕ける音が部屋に響く。
ガルドスが両膝を着いた。

「・・・根性あるのう、 ワレ 」
俺はガルドスを見降ろして納刀しながら言う。
「そんだけ使えるんやったら手下にも教えたれや」

「・・・・殺せ」
破壊された両手も床に着けて呻くように言うガルドス。
( 男のクッコロは要らねぇよ )




『刃向かう奴はコロす』 と宣言はしたものの一味の頭であるガルドスは別だ。

「命を取りに来たのと違う」
俺はガルドスの後ろから襟首を掴む。
「お前の手下共と一緒に話がある。下まで降りるぞ」
無理やり引っ張り上げて立たせた。
「アシは何とも無いだろ。 歩け」
(  ”引き摺って行く” ことも今の俺なら出来るが )
黙って階段を下りて行くガルドスに背後から声を掛ける。


「俺は ”アキラ” という。 覚えておけ。 お前達の新しい頭だ」




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