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帝都デリドール
ゴブリンの演説
しおりを挟むガルドスも、その手下も 「こいつ何言ってんの?」 て顔で俺を見ている。
・・・まあそうなるよな。
「ちなみに俺がこっちに来たのは昨日の昼間だ」
( もう真夜中は過ぎている )
「俺は天界から来た」
"天界" とはFQ世界の創造神たる女神 ”アスマイラ”の棲む世界だ。
( 強ち嘘とも言えまい )
「襲って来る狼を50匹くらい倒してデリドールについたのが日暮れ時だ」
俺は狼から回収した毛皮と牙、爪を収納から召喚し床の上に拡げて見せた。
山の様に積み重なった毛皮に一同が感嘆の声を漏らす。
「昨日の午後だけで? 嘘やろ・・」
ガルドスが呟く。
「別に信じなくてもイイぞw」
俺はリラックスした声色で返す。
「まあしかし、お前達が敵う相手じゃない、てのは分かってくれ」
「…そりゃあ、のう」
ガルドスが頷く。
「これは全部お前達にくれてやる。 手土産がわりだ」
床の上のアイテムを指してガルドスに言う。
市場で売れば金になるだろうと持っていたがもうその必要はないからな。
「さっきのこれも返してやる」
ガルドスの手下達から分捕った服や装備を収納していたフォルダを”解放”する。
床の上にもう一つ ”山” が出来た。
男達がどよめく。
「…ええんか?」
怪訝そうな顔でガルドスが訊いて来る。
「そのために来たんちゃうんか」
( こいつ、そんなに”悪人面”じゃないよな )
殺人・強盗集団の頭ではある訳だがガルドスの人相は悪くない。
アイドル風のイケメンではないがフィルム時代の映画スタアのような趣がある。
問答無用の殲滅戦だった”前回”は気にも留めなかった事を俺は思っていた。
「最初はお前らをひん剥いてやるつもりで来たんだがな」
俺は軽く肩を竦めて言う。
「気が変わったのよ。 お前らを手下にしてやろう、ってな」
椅子に腰掛けているガルドスの左横に立つ。
「ガルドス。 俺の下に就け」
「・・・・・」
沈黙するガルドス。 食堂を静寂が支配する。
「・・強盗・山賊。 お前達は ”役柄” としては”悪人”だ」
俺は食堂にいる全員に向かって話し出す。
「だが、今夜(俺が来てから)生まれたお前達の手はまだ汚れていない」
男達を一渡り指差して言う。
「お前達の ”魂” も汚れていない。 まだ ”咎人” じゃない」
ガルドスの肩に手を置いて語り掛ける。
「お前もだ。 ガルドス」
「・・・!」
ガルドスが無言のまま見返して来る。
ADサーバーの全演算リソースが今、この酒場に注がれているのを感じる。
「こいつらに悪事を働かせるな。 魂を穢すな」
そして俺は宣言する。
「そうすれば 俺がお前達を守ってやる。 命を懸けて」
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