デルモニア紀行

富浦伝十郎

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帝都デリドール

ゴブリンの話

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 こうして直接関わり合ってみるとNPC達の”作り込み”が浅い事が良く分かる。
クエストの討伐対象だからFPSの敵兵や、狩ゲーのモンスターと同じようなものだが
実力で圧倒してからなら 話は通じる。  会話が成り立つのだ。

 記憶や知識という”中身”の乏しさに比べると向かい合った時の会話のスムーズさは全く違和感を感じさせない程でプレヤー同士のそれと遜色ない。
俺と同じ様なボランティアのPCにモディファイを加え大勢のコピーを作り出したのかとも思ったがそれにしては ”中身” が空疎に過ぎる。
詳細は不明だが何か キャラクタ・エンジンのようなものがあるのかもしれない。
( 俺はTFが先端を競っているスマホエージェント関連の技術だと思っている )

 小さかった頃、親父の書斎のラックに整然と並ぶ十機以上のコンシューマ機をよく遊ばせて貰ったものだが、沢山のRPGの中に市街にいるNPCの一人一人全てに名前をはじめとするプロフィールが設定されていた作品があったのを覚えている。
文字にして数百字程度に過ぎなかったが 『偉く手間を掛けたな』と思ったものだ。
”名前を付ける” だけでも大変な作業なのは間違いない。
( しかし其処は手を抜いて欲しくないんだよな! )






「女神様がこの世界デルモニアを作ってから 天界ヒュモニアの俺達が目を付けた」
俺はガルドス達にゆっくりと話し始めた。
「 『面白い遊び場を見付けた』  ってな。 噂は天界で瞬く間に拡がった」
かなり脚色してるが”嘘”でもない。
「お前ら”人間” と同じ成りになってこの世界に降りて来て遊ぶようになった」
皆、黙って話を聞いている。

「"遊び" というのは "殺し合い" だ。 狼と戦ったりモンスターと戦ったりな。
 天界には野獣や化物はいないんだ。 人間同士も滅多に戦ったりしない。
 とっても ”平和な” ところだと思ってくれ」
「・・待てや、おかしいやろ」
ガルドスが口を挟んで来た。
「そないなエエ所に住んどって何で態々・・・! 」
( …まあ そう思うわな )


 これだ。 この ”ナチュラルな人間味” 。
( 他社ゲームのNPCならば優秀なエンジンでも精々『さよか?』 程度だろう ) 
もう ”仕組み” はどうでもいい。 俺は対等な”人間” としてこいつらと接する。
( 進藤がPCを人として遇してくれたように )


「 ”刺激” が欲しいんだな。 子供のチャンバラごっこみたいなもんだ」
俺は出来るだけ分かり易く(分ってくれるか?)説明する。

「平和で退屈だからスリルを味わいたいんだ。 英雄気分になれるってのもある。
 こっちでやられて”死”んだって天界で目が覚めるだけなんだからな!
 怖がって来るやつなんていないのさ」

「・・・遊び、 か・・・」
誰かが呟く。 セシオ、だったか。( 記憶は薄くても俺の話は分かるんだ )



「そうだ。 お前達は俺達が ”遊び” で退治する "悪い盗賊" なんだよ」






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