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帝都デリドール
ゴブリンの提案
しおりを挟む「天界からこの世界に来たのは俺が初めてだが・・・」
俯いてしまった男達に向かって俺は続ける。
「もう直ぐ、俺みたいな、いや俺よりも強い奴等が天界からやって来るぞ。
平和で退屈な毎日に倦んだ連中が ”盗賊退治” で気分を晴らす為に、な 」
・・・一同の顔が恐怖に引き攣る。
「ガルドス。 お前や手下達はそういう ”退屈凌ぎ” の為に造られたのさ」
「そ、そんなこと…」
否定しようと顔を上げるガルドス。 しかし言葉が続かない。
「思い出せるなら思い出してみろ。 お前は ”なりたくて” 盗賊になったのか?」
「・・・・・」
ガルドスは言い返せない。
「お前らはどうだ? ”人殺し” がしたくてこのアジトに集まって来たのか? 」
「・・・・」
他の男達も無言のままだ。
「天界人のチャンバラ相手をさせられるんだぞ。 いいのか?」
「・・・」
返事はない。
「・・俺が天界から 一番乗りで此方へ来たのは下見の為だ。
だから格好も地味なんだが、”本番”で来る奴らは違うぞ。 装備が凄いんだ。
お前達の武器じゃ まるで歯が立たないだろう 」
「お前よりも、か・・・」
ガルドスが呟く。
「ああ、俺程度にこのザマではどうにもならん。 あっという間に全滅だ。
ドラゴンだって倒してしまうようなのもいるからな」
「げぇっっ」
「マジかよ」
手下達が騒めく。
「・・・どうすりゃいいんだ?」
ガルドスが訊いて来た。
手下達も縋るような眼で見てくる。
「簡単なことさ」
俺は肩を竦めて言う。
「”盗賊稼業” をやめればいい。 廃業するんだ」
「!」
ガルドスも手下達もあんぐりと口を開けて固まった。
「天界人達は 『悪人共を退治する』 という名目で来るんだ。
お前達が堅気になれば ”退治” する理由は無くなるからな 」
「・・そ それだけで見逃して貰えるのか?」
ガルドスがきょとんとした顔で言う。
「天界の人間は悪人には容赦ないが堅気は手に掛けない。
一般人を暴行したり殺すのは ”あっち” でも物凄く忌避される行為なんだ。
だからこそ ”盗賊退治” が英雄的行為として称えられる訳でな 」
「・・やめる、 いうてもな~」
ガルドスが言う。
「 『盗賊はやめました』 て言えばいいんか? それで通るんか」
「・・お、俺達はどうなるんで ?」
手下達がざわついている。
「お前らが盗賊でなくなった事を天界人が来る前に分かるようにする」
俺は皆を見回して言う。
「”看板” を掲げるんだ」
ガルドスが怪訝な顔で俺を見る。
「看板? 何の?」
( 工務店、運送屋、食堂・・まあ 何だってイイんだが )
「お前のやりたい稼業があるならそれでもいいが 俺に考えがある」
俺はガルドスに笑顔を向けて自分の頭を指差した。
「盗賊の ”ガルドス一家” は店仕舞いだ。 頭をやめて ”組合長” になれ」
「 ・・組合だと? 」
「その通り!」
俺は得意顔でいう。
「 名前は ”冒険者組合” だ。 まあ万事屋みたいなものだと思えばいい 」
「・・・・」
ガルドスも一味も黙って聞いている。
「これからは ”悪事” ではなく ”人助け” をして行くぞ !! 」
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