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帝都デリドール
ゴブリン教官
しおりを挟む修練場に罵声と称賛が交互に響き渡る俺の ”基本教練” は小一時間続いた。
基本的な動作を叩き込んでからは指揮官をガルドスに交代してやらせたりもした。
「よ~し、 ”休め!” 」
頃合いだと判断した俺は教練を中断した。
( 何でも長くやり過ぎるとダレて来るからな )
「かなり良くなって来たぞ!」
実際の話、俺が思っていたよりもずっと皆の”飲み込み” は速かった。
当初とは動きのキレが全く違う。
「この動きを忘れるなよ。
いいか、 剣や弓の腕を磨くのと同じくらい重要なのがこれだ。
何人かで組んで仕事に当たる時は ”素早い連携” が欠かせない。
ちんたら・グズグズしてる奴がいたら皆が足を引っ張られてしまう。
攻撃や退避のタイミングを逃したら最悪全滅することもあるんだからな!
分かるだろう? 」
「「「「はい会長!」」」」
良い返事が響く。
ガルドスも組合員達もちょっと印象が変わった感じがする。
成果を実感した俺は傍らのガルドスに言う。
「いいか支部長。 お前とこいつらで、他の連中も鍛えてやるんだぞ」
「はい会長!」
( ・・よし、 それじゃ、いよいよ ”強くなる” 為の修練と行くか )
「皆、剣を持って俺に付いて来い。 朝までに今の ”倍” は強くなるぞ!」
俺は ”次の”ステップへの移行を告げる。
「「? ・・はい 会長 ・・?」」
返事がバラけた。
無理も無い。
”強くなる” のは(どの世界でも)簡単な事じゃないからな。
・・でも此処にいるのは誰だ?
オンラインでは剣士ジョブをカンストし、今回はLv1の雑魚モンスターから始めて半日でここまで来た俺様だ。 その俺がガチで”押し”てやるんだからな。
飲み込みの速いこいつらならイイところまで上がってくれるさ。
「心配するな。 キツいことはキツいが痛い思いをする訳じゃない」
互いの顔を見合わせ騒めいている男達に声を掛ける。
「 安心しろ。 俺は ”強くなる方法” を知ってるんだから」
一同の顔に安堵の表情が浮かぶ。
全員が戸惑いながらも剣を手にした。
それを確認した俺は宣言する。
「これからお前達を ”剣士” にしてやる。 全員納刀して外に出ろ」
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