デルモニア紀行

富浦伝十郎

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帝都デリドール

教練は続く

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 ”打ち込み” に次いで "突き" も同様に100回を熟したが剣技訓練は終わらない。
打ち込みからの突き、突きからの打ち込み、二連突き、と連続動作も叩き込む。
その後は8人ずつの二列に分けて向き合わせ、攻めと受けの動きを繰り返させた。
( 空手で言えば ”約束組手” だな  )

「ヤー!」
「タッ」
「トォ!」
「ハッ」
「ティ!」
攻守を違えつつ二列になった男達が一斉に進み、退く。
最初はイメトレ的に列の間隔を開けてのエア演舞から始めたのだったが、
今は実際に刃を交えての迫真の攻防が展開している。 
何処ぞの舞台で披露すれば金を取れる程に完璧にシンクロしている。
六手までの攻防シークエンスを3通りほどマスターさせた。


「やめ~っ!  納剣!  」
( 剣はここまでだ )
「 休め ! 」
( こいつら教える程上手くなるな! )
上級プレイヤーでも二人で組んでこれらシークエンスを演じられる者は稀だろう。
高レベルのプレイヤーでも超高性能な防具の防御力と武器の攻撃力に頼って戦う、
という者は珍しくない、というか一定数いる、いや寧ろそれが普通かもしれない。
”技術” にこだわるよりは装備にこだわる人間の方がずっと多いものな。

『NPCは(適切に)指導すれば強くなる』
・・これは重要な知見だと言えるだろう。



「分かるか!? これが ”訓練” だ ! 」
男達を前にして俺は声を張り上げる。
「自分で感じろ。  一晩でこれだ。 お前らはもっと強くなれるぞ ! 」
「「「 はい会長! 」」」
一斉に返事が上がる。

「今此処にいない奴等もこうして引き上げてやるんだ。 いいな、ガルドス ! 」
「はい会長!」
ガルドスが頷く。 これは”分ってる”顔だな。


「 よ~し、もう少しだから頑張れ!  ・・一列横隊  ! 」
俺の前に第一支部アジトを背にして14人が横一列に並ぶ。

「向こうの通りまで走るぞ。 全力疾走だ。 手を抜くなよ!」
俺も回れ右をして広場(路地)の端に開ける通りに向かってスタートの構えをとる。

「位置に着いて!  ・・・よ~い」


(  最後は ”走り込み”  だ ! )







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