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帝都デリドール
暁に走る
しおりを挟む”疾駆” スキルの獲得条件は50mの全力疾走だということは把握している。
アジト前から中通りまでの距離はそれより一寸あるくらいだから丁度良かった。
「ビリの奴は尻を蹴とばすぞ」
と言ってあったから皆必死で走ったのは分かった。
それでも走る速さは各人違うものでビリになる奴は出てくる。
大体同着で二人いた。
「・・・セシオ、チコ。 ちょっと来い」
皆の息が整った処で 遅かった二人を呼び付ける。 怯えた表情で進み出る二人。
「お前ら二人でもう一回競走だ」
「「はい会長!」」
尻を蹴られずに済んだ安堵感が漂う返事。
「さっきより速く走れたら尻は蹴らないでやる♪」
俺は他の男達に向かって言う。
「皆、この二人が走るのを良く見ておけ」
”どっちが速いか” だと思うだろうが実は違う。
「スタートした所までだぞ。 よ~い!」
右手を挙げた俺の前で二人がスタンディング状態で構える。
「ドン!」
二人がスタートダッシュする。
「「「「 !?!? 」」」」
二人を目で追う男達の顔に驚愕の表情が浮かぶ。 明らかに先程より速い。
いや、前回一番速かった者をも凌駕するスピードが出ている。
( ”疾駆” が付いたな! )
ゴールした二人が両膝に手を付き上目遣いでこっちを見ている。
自分達自身でも速度上昇が分かったのだろう。 怪訝そうな顔をしている。
「 よ~し いいぞ~ 休んでいろ~」
両手で頭上にマルを作って離れた二人に呼び掛ける。
「皆、見たか。 これが ”訓練” の成果だ ! 」
スキルによる速度補正の効果を目の当たりにした皆は無口のまま一斉に頷く。
「さあ、お前達も走って戻るぞ! ・・一列横隊 ! 」
ガルドス達がさっと整列する。
「目標、第一支部入口前! よ~い!」
合図の為に右腕を挙げた時、東の空が白み始めているのが見えた。
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