デルモニア紀行

富浦伝十郎

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赤土帯

紅白戦

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 俺が名付けた6匹からなる第一分隊とヨーコの率いる10匹からなる第二分隊。
昨夕からの予定通り訓練の総仕上げとして分隊間で紅白戦をすることになった。
勿論だがお互い殺し合う訳ではない。 運動会の騎馬戦や棒倒しのようなものだ。
ルールは単純だ。 『引っ繰り返されたら退場』 これだけ。
但し、手段は問わない。 何でもアリ、だ。
零式で半身以上を切断されても死なない奴等だからまず大丈夫だろう。
俺とヨーコは指示は出さず判定と回復作業に専念する。

 広大な赤土の平野にワーム達が二群に分かれて対峙している。
第一分隊はワムタンを先頭とした三角形の"魚鱗"陣形。
第二分隊は5匹ずつが間隔を詰めて二列に並んでいる。
距離は50m。 

「はじめ!」
地平線から朝日が射した。
俺が紅白戦の開始を宣言するやいなやワーム達が突進する。
第二分隊の戦法はシンプルだ。
横一列に密に並んだ5匹が一塊となって第一分隊を蹴散らそうとする。
前列の攻撃で弾き飛ばされたり、横に躱したワームは後列の5匹が叩く。
それを完全勝利まで繰り返す、というものだ。
単純故に強力。 数で劣る第一分隊は正対して当たれば粉砕されてしまう。

 当初魚鱗陣形を採っていた第一分隊は戦闘開始と共に散解した。
集合すれば第二分隊の突撃ユニットの餌食になってしまう。 
逆にユニット両翼のワームを狙っていくのが第一分隊の戦法だ。
分散した個体が時にユニットを引き付け、時にユニット側面を襲う。
攪乱と急襲だ。
しかし第二分隊には突撃ユニットが二つあるから簡単には削れない。
二つのユニットによる絶え間ない波状攻撃は躱すのが難しい。
しかもヨーコはワーム達に明確なターゲット選定ロジックを授けたようだ。
ユニットの動きに淀みがない。 方向転換も素早い。
反転も5匹が密着した横一列が一瞬五輪形状になって各個に信地旋回している。

「・・こりゃ厳しいな!」
突撃を避けてユニット側面のワームを攻撃するという戦法が機能していない。
常に目標を更新して突撃を繰り返す二つのユニットに第一分隊は圧倒されている。
単一のユニットなら削る事も可能だったかもしれない。
しかし現状まだ一体も削れていない。
第一分隊も全員健在だが、第二分隊の攻撃精度が上がって来ている。
遠からず突撃を躱しきれなくなるだろう。
流石はヨーコだと云わざるを得ない。 第二分隊の連中の動きも素晴らしい。
"名無し" のビハインドなどまるで感じさせない。

「みんな頑張れ!」
それでも第一分隊は俺の "直属" だ。
俺がワムタン達を応援してしまうのは仕方あるまい。
そんな思いで眺めているとワムスケの回避速度が落ちて来ているのに気付いた。
( 確かに名前を付けたら各ワームが判別できるようになった ) 
遅くなったワムスケはロックオンされたようだ。
 ユニットが殺到する。

( ワムスケ~! ) 
立場上声には出せないが  思わず心で叫ぶ俺であった。






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