退屈な日常の過ごし方

くだらない人生

「あ～高校生めんどくせぇ」と嘆息しながら華々しい高校一年生とは思えない重い足どりで歩く謙也

年齢15歳。細身で色白のせいか体調の心配をされるのが最近の悩み。
謙也は中学生の頃から妙に大人びており女子からの視線は集めたりするのだが色恋沙汰はほぼなかった。

とぼとぼ歩きやっとの思いで辿り着いた普堂高校に足を踏み入れキラキラ顔を輝かした新入生たちを横目に気怠げに歩いていった。

「えー初めまして担任の神崎といいます！」

いかにも熱血ぽいなと謙也はいきなり嫌悪感を覚えた。

「じゃあみんなも自己紹介おねがいしまーす」

次々と挨拶していき謙也の順番が回ってきた。

「朝倉中からきました、西浦 謙也です」と当たり障りない自己紹介をし自分の席に戻ってきた。

「西浦くん、よろしく！」隣からいかにも友達になりたそうな声が聞こえてきた。

「ん？あー、よろしく。え～田中くん?」と謙也は自己紹介なんて全く耳に入れてなかったのでとりあえず適当に答えた。

「おぉ！もう名前覚えたの！？早いね～」と田中 春人は嬉しそうに満面の笑みを浮かべた。

(いや田中かよ！どんなミラクル起こってんだよ)と謙也は口に出してしまいそうなのを必死に心の中にとどめて「ま、まぁな」とばつが悪そうに答えた。

「よろしくな！西浦 謙也くん！！」
爽やかな笑顔を浮かべる春人の目には確かな喜びと今後の学校生活への期待の灯し火宿っていた。
謙也はこれからの学校生活が激変の一歩をたどることなど知るよしもなく、田中 春人と対等な関係を結ぶこととなった