人探し探偵

第四話

撃沈

「よし、依頼完了だな。」
俺は大和と裕貴の方を見て、ニコッと笑った。
「帰るぞ。」
大和たちはホッとしたような表情になっていた。
俺が拳銃をその辺に投げ捨て社長から離れると、秘書が社長のもとへと向かった。
それを横目に俺たちは社長室から出て、エレベーターを待っていた。
エレベーターが最上階に着き、乗り込もうとしたとき背後に気配を感じた。
さっきの秘書だった。
手にはナイフが握られていた。
俺に向かって突進して来ていた。
俺は完全に油断していて、反応が遅くなってしまった。
あれ、これってやばいやつじゃないか。
こんな仕事だから、こんなことがいつか起こるだろうとは思っていた。
俺は覚悟を決め、目をつぶった。
あれ？
なぜか、痛みも衝撃も感じなかった。
ゆっくりと目を開けてみた。
俺の前には人が立っていた。
裕貴？
裕貴は膝から崩れ落ち、その場に倒れた。
「裕貴！」
裕貴の腹部にはナイフが刺さっていた。
「大和救急車！」
「は、はい。」
裕貴は気を失っていた。
「死ぬなよ、裕貴。」