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第十四章 トラブルは付きもの
18 取り消せない約束 ※R15
しおりを挟む結果として、呉宇軒の懸命なお願いは李浩然の興奮を煽るだけとなった。
腰を激しく打ちつけられ、押し寄せる快楽の波に飲まれてもう喘ぐことしかできない。なんとか彼を先にイかせようと頑張って堪えていたが、体はすでに言うことを聞かなくなっていた。我慢しようとすればするほど、甘い痺れが腹の奥を蕩かしていく。
「はっ……あ、んっ……やだっ、や……あぁっ」
ガクガクと膝が震え、渦巻いていた甘い快楽が弾けた。飛び散った白濁が太ももにかかり、とろとろと肌を伝って滴り落ちていく。我慢しようと思っていたのに、また先に果ててしまうとは。
彼が達したと同時に、李浩然は昂りを素早く引き抜き、あろうことか呉宇軒の柔らかな蕾に先端を押しつけた。
僅かに押し広げられるような感触があり、まだ快楽の名残りに翻弄されていた呉宇軒はびくりとする。まさかこのまま挿れるのか?と驚いていると、李浩然は押しつけたまま深く息を吐き、それと同時に熱いものが蕾を濡らした。
全てを出し切ったのか、押しつけられた昂りが離れていく。しとどに濡らされた蕾から、たらりと粘り気のある液体が滴った。中にも少し入ってしまったかもしれない。
「……ちょ、今挿れた?」
ベッドに突っ伏したままの状態で息を整えていた呉宇軒は、後ろの李浩然に恐る恐る尋ねる。すると、背後で息を呑む音が聞こえ、急に静かになった。
「…………挿れてない」
かなりの間を置いて、李浩然が声を振り絞る。どう考えても怪しい。
分かりやすい反応に笑いを堪えつつ、呉宇軒はわざとらしく不思議そうに再度問いただした。
「本当に? なんか中に入った気が……」
「それはさっき入れたローションだろう?」
食い気味に答えられ、呉宇軒はますます可笑しくなった。どうやら李浩然は自分のしたことを有耶無耶にして、ローションに責任を押し付ける気らしい。まるで悪戯の発覚を恐れる子どものようだ。
呉宇軒はベッドの上に敷いたシーツを見て汚れていない場所をなんとか探し出し、よろよろしながら腰を下ろした。座った途端に尻の蕾から何かが滲み出てきたが、彼は気付かなかったことにして李浩然を見る。
下着こそ上げたようだが、ベッドの上で膝立ちしている李浩然のズボンの前はまだ開いたままだ。ベージュのパンツにはよく見るとローションがついていて、薄っすらとシミを作っている。
「然然、怒らないから正直に話して?」
おいでと両手を広げると、怒られるかもと怯えているにも拘らず、李浩然は触れ合いたい気持ちに負けてのこのこやって来た。
彼は一瞬、気まずそうに動きを止めたものの、誘惑に負けてすぐに覆い被さってくる。呉宇軒はのしかかってきた彼の体を受け止め、逃げられないようにぎゅっと抱きしめた。熱の引いた体には、彼の温もりが心地いい。
「で、挿れたのか?」
改めて尋ねると、李浩然は蚊の鳴くような小さな声でぽつりと呟いた。
「……少しだけ」
「やっぱり挿れてんじゃねぇか! 何隠そうとしてんだよ」
彼に嬲られて感覚が少し鈍くなっていたものの、さすがに中に入ってきたら分かる。どんな顔をしているのか拝んでやろうと体を離すと、李浩然はバツが悪そうな顔をしていた。そして恨めしげに呉宇軒を見て、むっと唇を尖らせる。
「怒らないと言ったのに……」
「別に怒ってねぇよ。全く、とんだ悪い子もいたもんだな」
すっかりヘソを曲げた李浩然の頬をつんつん突き、クスクスと笑う。しかし、茶化されて面白くなさそうに眉間にシワを寄せていた李浩然は、何を思ったか急に呉宇軒をベッドに押し倒した。
突然の攻撃になす術もなく倒れ込む。何をするんだと文句を言おうとして視線を向けると、脚の間に陣取った李浩然が嫌に真剣な顔で見下ろしていた。
「……ら、然然? お前、何企んでるんだ?」
嫌な空気を感じ、呉宇軒は俄かに警戒の色を強める。すると彼は怯える幼馴染を見下ろしたまま、にっこりと微笑んだ。
「阿軒、約束を覚えているか?」
「約束? えーと……なんかあったっけ?」
いつも色々と約束をしているので、心当たりがありすぎる。呉宇軒は必死になって記憶を辿っていたが、思い出す前に李浩然が丸出しになったままの彼のものをむんずと掴んだ。
「後で可愛がると言っただろう?」
適当にポイ捨てしてあったローションのボトルを片手に、有無を言わせぬ圧を掛けてくる。自身のものにローションがとろとろと垂らされていくのを見て、呉宇軒は顔を引き攣らせた。
「ちょっと待って! 俺もう今日三回もイってるから……あああっ!」
ダメだって!と叫ぶも、李浩然は止めるどころかますます激しく攻め立ててくる。滑らかな手に弄ばれ、呉宇軒のそこは自分の意思とは関係なくどんどん硬さを増していく。
急所を掴まれては抵抗もできず、呉宇軒は快楽に流されながらも悔しさを滲ませ、せめてもの抵抗で枕をぎゅっと顔に押し付けた。
四回もイかされたせいで、呉宇軒はしばらくの間足腰が立たなくなっていた。
ドロドロに汚れた体を李浩然が甲斐甲斐しく拭いてくれるも、彼はぼんやりと放心状態でベッドの上に大の字を作る。散々いじめられすぎて、裸の下半身を隠す力すらない。
「お前、加減知らなすぎだろ……」
文句を言う声すら弱々しく、おまけに喘ぎすぎて掠れていた。枕で抑えたので多少は小さくなっていたと思うが、部屋の外に聞こえてしまったのではと不安になる。
カメラと残ったローションを段ボールに詰め込んだ李浩然は、今度は着替えの用意を始めた。もう夜も遅いので寝巻きと替えの下着だ。
汚れたズボンや下着はまとめて洗濯に出すらしく、畳まずぐちゃぐちゃなままビニールのバックに押し込んでいる。そして着替えと新しいバスタオルをトートバックに入れて腕にかけ、仰向けで力尽きている呉宇軒の太ももをぴしゃりと叩いた。
「阿軒、そろそろ回復しただろう? シャワーを浴びに行こう」
「だっこ!」
両手を伸ばして甘えると、李浩然は苦笑を漏らしながらベッドに上がり、下に敷いたバスタオルで下半身を覆ってからお姫様抱っこで抱き上げてくれた。ローションが沁みて冷たかったが、丸出しのままはさすがにまずいのでグッと堪える。
呉宇軒は彼の頬にちゅっと口づけると、鼻にかかった甘い声で詰った。
「なあ、俺今日四回もイっちゃったんだけど。さすがにやりすぎじゃないか?」
弄んだ張本人の李浩然は、その言葉を聞いて満足げに微笑んだ。回を重ねるごとに、だんだん彼のSっ気が増してきているような気がする。
「君は感度がいいな」
「何嬉しそうにしてんだよ! あーあ、初体験当日はどうなっちゃうんだろ」
上機嫌な幼馴染の胸を拳で軽く叩き、呉宇軒は困ったように言ったものの、その声には隠しきれず期待が滲んでいた。前戯と下準備だけでこんなに気持ちがいいのだから、きっと体を重ねたらもっと凄いに決まっている。
「とりあえず、今日はもう寝よっか。俺もうクタクタ」
李浩然がそのまま運んでくれそうだったので、呉宇軒は上機嫌で彼をせっついた。ところが、そっと扉を開けて部屋の外の様子を窺っていると、李若汐が向かいの部屋から顔を出した。
「あっ、軒兄また来てたんだ。何してんの?」
部屋でずっと勉強をしていた彼女は、従兄弟に抱き上げられている呉宇軒に不審そうな目を向ける。どうやら今までずっと勉強をしていたらしい。
「ちょっとお風呂に行こうと思って……」
呉宇軒は自分の喘ぎ声を聞かれてやしないかとヒヤヒヤしていたものの、李若汐は特に気まずそうにもしていない。きっといつものようにヘッドフォンで何か聴いていたのだろう。
彼女はバスタオルに包まれた呉宇軒の下半身を見て、何を思ったかニヤリと笑った。
「軒兄、もしかしてお漏らし?」
別方向であらぬ疑いをかけられ、呉宇軒は「違う!」と思わず叫んだ。
「そんなわけないだろ! その……お茶をこぼしたんだよ!」
否定したはいいが、まさか鉢合わせるとは思っていなかったので誤魔化す言葉を考えていなかった。結果として、なんだか苦しい言い訳みたいになる。
李若汐はうんうんと大きく頷き、からかうような笑みを浮かべたまま口を開いた。
「分かってるって。お母さんたちには言わないでおいてあげる」
「だから違うって……ほら、これ見ろよ! 濡れてるのは浩然のズボンだろ? 漏らしたのはコイツ!」
あらぬ誤解は続いたままで、呉宇軒は中身の透けているビニールバックを指差し、李浩然に罪をなすりつけた。
しかし、なすりつけられた方は堪ったものではない。李浩然はすぐに抗議の声を上げた。
「俺は漏らしてない!」
「うんうん、軒兄が然兄の上で漏らしたのね。二人ともさ、そういうプレイはうちじゃない所でやってよね」
どうしたらそんな考えに至るのだろう。彼女は斜め上の解釈をして、やれやれと呆れたように言った。どうしても呉宇軒が漏らしたことにしたいらしい。
堂々巡りに絶句していると、李若汐はグッと親指を立てて笑った。
「お父さんとお母さんは私が引き止めておくから、二人は早くシャワー入ってきなよ」
「「助かる!」」
誤解を解かなければと思ったものの、願ってもない申し出に二人の声が揃う。結局誤解は解けないまま、李若汐は駆け足で階段を降りていった。
「俺、お漏らし野郎の汚名を着せられたんだけど?」
「ふっ……甘んじて受け入れよう。何をしていたか話すよりはいい」
笑いを堪える李浩然に、呉宇軒はムッとしたものの、確かにその意見も一理あると思い直す。二人がしていたことは、受験生の耳に入れるには刺激が強すぎる。
「どうにかしてお漏らし君の称号をお前に譲れないかな?」
不名誉すぎる称号をなすりつけたい呉宇軒はうーんと頭を悩ませていたが、李浩然が笑って言った。
「君が持っていて。そのうちすることになるから」
「ちょっと待て! そのうちってなんだよ。おい、浩然⁉︎」
聞き捨てならない言葉にハッとする。どさくさで爆弾発言を落とした李浩然はしかし、それっきり耳が聞こえなくなったかのように呉宇軒の呼びかけを無視し続けた。
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