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第十章 不穏
11 疑惑のあの子
しおりを挟む告発チラシがばら撒かれた件は『軒軒偽者事件』として取り上げられた後、ぱったりと続報が途絶えた。しかし、大学内ではファンやアンチ、もしくは褒賞目当ての人たちが密かに目を光らせている。学園祭が近いことも相まって、大学の構内にはそわそわと落ち着かない空気が流れていた。
三日連続で李浩然が夢に出てきていた呉宇軒は、授業の最中やちょっとした休憩時間はずっと彼にぴたりと寄り添い、今日は泊まりに来ないの?とねだる毎日を送っていた。彼の中では『偽者事件』はとっくに終わっていて、目下の課題はどうやって幼馴染を部屋に引っ張り込むかだった。
というのも、最近の李浩然は少々様子がおかしいのだ。
少し前、図書館で彼と話していた黄鈴沙。近頃の李浩然は彼女との距離が縮まっているような気がする。
「なんっか怪しいんだよなぁ……」
昼食後に美男美女コンテストの打ち合わせがあったせいで幼馴染と別行動を取らざるを得なかった呉宇軒は、前回と同じように本棚の陰から李浩然の様子を窺いながら呟いた。彼はいつものように図書館で本を読んでいて、呉宇軒がまだ終わったと連絡していないため周りには目もくれていない。
一緒についてきていたイーサンが、彼の真似をして物陰から顔を出しながら尋ねる。
「何がだ?」
「何って、あいつ最近妙にコソコソしてるんだよ。うちのクラスに黄鈴沙って女の子がいるんだけど、俺がいない間に話してるっぽいんだ」
コンテストでパフォーマンスをするため、その練習をしている間はどうしても別行動になってしまう。ただ、そうは言っても李浩然はいつも彼の帰りを待っていてくれた。
大抵は図書館に居るのだが、呉宇軒は迎えに行った時に偶然、彼女と幼馴染が話している場面を二度も目撃している。三日の間に二度もだ。しかもそのうち一度は、彼女から何かメモのようなものを手渡されていた。
「話すくらい良いんじゃないか? 同じ学部なんだろ?」
話を聞いてもごくごく普通の光景で、イーサンは何がおかしいのか分からず不思議そうに首を傾げる。
確かに同じ学部の生徒なのだから、会話があるのは当然だろう。しかし、その『当たり前』に当てはまらないのが李浩然なのだ。
「浩然は今まで一度だって女子と積極的に話さなかった男だぞ? あいつ基本的に話を弾ませようとか思わないから、いっつも二言三言話した後はだんまりだし」
小中高と同じクラスだった呉宇軒は、当然普段の李浩然をよく見ていた。
彼は滅多に自分から誰かに話しかけることはなく、それが女子相手だとその頻度はもっと少ない。おまけに色恋沙汰には一切興味を示さなかったため、女の子相手に笑顔の一つも見せることはなかった。あまりにも素っ気なくて話が続かないので女子たちはおいそれと近寄れず、遠巻きに見守って密かに胸をときめかせていた。
それが不思議なことに、黄鈴沙相手だと何故か長い間会話し込んでいるようなのだ。今までの女子たちと何が違うのだろう。
呉宇軒の説明を聞いたイーサンは、やっと変だと思い始めたようで、本に視線を落とす李浩然へ目を向けて眉を顰めた。
「確かに、それは少しおかしいな」
「だろ? どうしよう……俺、捨てられちゃうのかな」
まだ付き合ってもいないのに振られる心配をする彼に、イーサンは呆れ半分の冷ややかな目を向ける。だから早く告白しろって言ったろと小さく呟いたが、残念ながら幼馴染のことで頭がいっぱいな呉宇軒の耳には入らなかった。
部屋に泊まりに来るように誘っても、近頃はずっとやんわりと断られ続けていて、それが彼の不安な気持ちに拍車をかけている。そのため、こうして物陰から李浩然を見張って決定的な瞬間を目にしてやろうと息を潜めているのだ。
「もう話終わった後なんじゃないのか? さっさと合流して寮に戻るぞ」
こうして物陰から様子を窺い始めてまだ五分足らずだが、イーサンはとっくに痺れを切らせていた。何が楽しくて男が本を読む姿を見続けなければならないのか。
小声で引き止めるのも構わず、彼は李浩然の元へ行ってしまった。一緒に打ち合わせに行っていたのに別々に来るのは不自然なので、呉宇軒も仕方なく彼に続く。
ところが、イーサンから少し遅れて本棚から出てきた呉宇軒は、横から来た人と危うくぶつかりそうになってしまった。
きゃっと可愛らしい悲鳴が上がる。彼は慌てて足を止めると、咄嗟に手を出して転びそうになっていた女の子を受け止めた。
「大丈夫か? よく見てなくて、ごめんな」
「ううん、こっちこそごめんなさい。ちょっと早歩きしてたから……」
ふんわりとしたショートカットの女の子が、そう言ってゆっくりと顔を上げる。図書館の明かりの下に顔が晒され、呉宇軒は驚きのあまり目を見開いた。
「あっ、軒軒」
「さっきぶりだな。怪我はないか?」
運がいいのか悪いのか、彼女と来るタイミングが被ってしまったらしい。そして呉宇軒は、彼女が一瞬だけ困ったように李浩然へ視線を向けたのを見逃さなかった。
「浩然に用だった?」
何気ない口調で尋ねると、彼女は何故かびくりとして僅かに声を上擦らせる。
「えっ? な、なんで?」
「最近、俺の然然と仲良さそうだから」
二人の間に隠し事でもあるのだろうかと怪しみ、呉宇軒は自分でも気付かないうちに『俺の』と付けてしまっていた。すると黄鈴沙は彼の妙な言い回しには気付かず、ぽっと頬を染めながら小さく頷く。
「ちょっと渡すものがあって……もしかして忙しかった? 渡したらすぐ行くから大丈夫よ!」
愛らしい微笑みが眩しくて、彼女に対抗心を燃やしていた呉宇軒は苦笑いするしかない。そういうことならと道を開けて李浩然に声をかけようと振り返ると、驚いたことに彼はもうこちらに来ていた。
「これ、頼まれていたもの」
そう言って黄鈴沙が差し出したのは、折り畳まれた印刷用紙らしき白い紙だった。よく見ればうっすらと文字が透けているが、逆さになっている上に薄いのでよく分からない。
李浩然は大切そうに白い紙を受け取り、先ほど読んでいた本の間にしまい込む。そして彼女と短い挨拶を交わすと、二人のやり取りを興味津々に見ていた呉宇軒に向き直った。
「阿軒、もう用事は終わった?」
「うん、もう何もないよ。ところで、それ何貰ったんだ?」
「大したものではない」
素っ気なく返され、呉宇軒は食い下がらずにふうん、と頷く。しかし、心の中では紙の中身が気になって仕方なく、図書館を出る間中も幼馴染の手の中にある本にチラチラと視線を注いでいた。
せっかくイーサンも一緒なので、呉宇軒は西館にある氷粉の店に寄って行こうと提案する。図書館前の駐輪場にはちょうど自転車が三台置いてあった。
自転車で風を切りながら西館までの道を真っ直ぐに進んで行くと、ヨーロッパ風の建物が見えてきた辺りで呉宇軒の上着のポケットにあった携帯が着信を知らせる。学園祭の後半にある仮装大会用の衣装を作っている謝桑陽からだった。
「桑陽からメールで、衣装の試着お願いしたいって」
衣装を着る三人が揃っているいいタイミングでの連絡だ。しかも服飾科のある建物は西館から近いので、氷粉の店で買い物をしたらそのまま向かうことにした。
高進率いる服飾科の衣装係たちの氷粉も一緒に買い、ついでに同じ教室に居る先輩モデルのLunaたちの分まで頼まれ、三人は両手に袋を下げて行商人のようになってしまった。
外の風は少し肌寒いが、建物の中は暖房が入っているのでちょうど良いだろう。
「衣装、もう完成したのか? 早いな」
袋をガサガサ言わせながら歩いていたイーサンは、うきうきしながらそう言った。というのも、少し前に試着をした時はまだ細かな装飾などは一切なく、仮止めされたものだったのだ。
「サイズの調整が終わったら縫うだけだからな。確かに早いけど」
そう返しながら、呉宇軒はあっという間に辿り着いた建物の扉に手をかけ、大きく開いて二人を先に行かせた。コンテストの打ち合わせがあったので、ここに入るのは今日二度目だ。
何度も来ているイーサンが先導して廊下を進み、ミシンの音が漏れ聞こえる教室へ足を踏み入れる。すると、謝桑陽たちが駆け寄ってくるより先に、先輩女子たちの集団がわっと彼らを取り囲んだ。
「軒軒に然然!」
「イーサン・チャンよね? お使いありがとう! これお金。ゆっくりしていってね」
「ね、ね、こっちで一緒に食べない?」
先輩女子たちはきゃあきゃあと嬉しそうにはしゃいでいるが、その後ろではLunaが腕を組んで仁王立ちしていた。目がハートになった女子の間から怒れる女王様の顔が見え、呉宇軒は反射的にうげっと顔を引き攣らせる。
「ちょっと、サボってないで戻ってくる! 一息ついたら再開よ!」
軍隊の長官のような彼女の言葉にも、先輩たちは慣れているのか怖がる様子もない。はーい、と呑気な返事をして、彼女たちは名残惜しそうに振り返ったり手を振ったりしながら戻って行った。その光景を唖然と見送りながら、イーサンが小さく溢す。
「びっくりしたな……」
「急に囲まれるんだもんな。カツアゲされるかと思ったぜ」
囲まれ慣れている呉宇軒は冗談めかして笑った。それから平和そのものな同級生たちの作業場へ向かい、持ってきた氷粉を配っていく。彼らは完成に向けて追い込みをしている最中だったのか、皆一様に疲れた顔をしていた。
「ありがとうございます。ちょうど少し休憩がしたくて」
早くも蓋を開けながら、謝桑陽が疲れた笑みを浮かべる。作業台の隅の方では、同じ学年の女子三人が恥ずかしそうにしながら一箇所に固まっていた。
「服飾科の子たちは相変わらず恥ずかしがり屋だな」
自分の分を開けながら呉宇軒が呟くと、すかさずイーサンが口を挟む。
「お前に取って食われると思ってるんだろ」
「そんなわけないだろ!」
すぐに否定して彼女たちの方を向いたものの、怯えた子羊みたいに身を寄せ合ってこちらを見ていた。確かに取って食われると思っていそうだ。
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