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Kaoru

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始まりの季節

page.1 二章

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「ぅ…んっ…?」
ピピピピと目覚ましが鳴り響く。
(今何時だ…?)
時計を見る。
「へ?嘘…もう夜…!」
急いで着替える。
「お母…!……あ、そうだった一人暮らしだった…」
慣れないなにもかも。
一人暮らしにも。学校も。未だに慣れないものが多すぎて、いつか倒れそうだ…
(はっ!ダメダメ!弱気になっちゃ…!)
今日どうしようか…
もうそろそろ9時だ…
大学は…無理だ。当たり前。
ちょっと出掛けようかな…
靴を履いてドアを開ける。
「行ってきます。」
夜の街へ…


「何かいいお店ないかな…?」
ふらふらと歩いて行くとちょっとお洒落な街並みが見える。
あ、あそこ行ったことない。
見る方は酒屋並び。
行こうかな…?
ゆっくりと歩いて行くと人気が少なくなってきた。
あんまり人が来ないのかな…?
ふと一つのBARが目に入った。
「わぁお洒落…!」
控えめなネオンの看板に、赤煉瓦の壁。
……この雰囲気好きだな。
何の躊躇もなくドアを開けた。

「いらっしゃいませ。」
凛と透き通る低い声。
酒の香りが店内を漂う。
中は意外と広く、カウンター席の他に机と椅子が並んでる。
「どうぞ。何にいたしますか?」
置かれたコースターも網目が綺麗で見惚れてしまう。
バーテンダーの方は…とチラリと見ると向こうも気付いたようで、
「どうなされましたか?」
と優しく微笑んでくれた。
まるで、儚く切ない紫陽花を見ているようだった。
彼から目が離せない。…違う離したくない。
「あの…お客様…?」
「へ?あ、っはい!」
「どうかなされましたか…?」
少し困り顔の彼。
困った顔も綺麗…。なんて思いながら俺は…
「オススメは何ですか?」
と聞いた。
「お客様はどのようなものが飲みたいですか?」
彼はグラスを拭きながら聞き返す。
うーん…どの………
悩んでしまった。
どうしよう。あれだけ沢山のお酒の種類を知ってるのに、彼の顔を見たら全て消えてしまったようだ…
「えっと…」
口が…。こういう時に口下手なのが嫌だ。
「そうですね…こちらはいかがでしょう?」
目の前に置かれたのはショートグラス。
「わぁ綺麗…あ、これって」
「はいXYZ cocktailです。」
「あ、ありがとうございます…」
グラスに口を付けゆっくりと飲む。
「ん!…美味しい!」
「左様でございますか。そう言えばお客様は cocktail言葉はお聞きしたことはありますか?」
「い、いえ…!」
「では少し話させていただいてもよろしいでしょうか?」
 「っ!はいっ!ぜひ!」
「ありがとうございます。では…花言葉や宝石言葉のように、お酒にも言葉があるんです。
お客様が今飲んでらっしゃるそちらのお酒、名前は…」
「XYZ。ですよね?」
「…!はいそうです。ではXYZの cocktail言葉は、…『今夜はこれで終わり』という意味があります。」
「へぇ~そうなんですね!」
『今夜はこれで終わり』か。……ん?
「へ!?どうして…!」
「どうかなさいましたか?お客様。」
今夜はこれで終わりだなんて、まるで帰ってくれって言われてる見たいじゃないですか…!
「早く帰って欲しいんですか…?」
「…はい。」
「っ!ならどうして…!」
「どうして…?何故そう思うんですか?」
「…っ!」
何で…?どうして…?
何で俺はここから帰りたくないんだ…!?
「お客様。」
「…っ!まだ!まだここに居させてください…!お願い、します…」
「…いいですよ。別に私も鬼ではありませんし、それにまだ未成年の方でしょう?親御さんが、」
「え!?ま、待って!待ってください!」
「何か…?」
「勘違いさせてしまっていると思うんですが…俺もう二十歳は超えてますよ…?」
「え…!?」
「…………」
「…………」
「そ、そうでございましたか…!申し訳ありません…てっきり迷子かと…」
「いやいやいや!それなら何故お酒なんかを…!」
「まさか本当に飲んでしまうとは…少しだけなら良いかなと思い…申し訳ありません…」
こ、この人やばいな…
「いえ…!大丈夫です!俺の方こそ紛らわしい見た目で…」
「いえ…私の方こそ申し訳ございません…」
「少し嬉しかったんです…お客様が来てくれて。」
「へ…?」
俺が…?
「この際子供でも良いかな。なんて思ってしまい…」
あ、誰でも良かったんだ…何だ…俺じゃなくても…
……いや!何だってなんだ!何でガッガリしてるんだ俺ぇぇぇ!
「あ、の…」
「はい…?」
「その…えっと…」
「?」
言え!言うんだ俺っ!
「あのっ!な、名前!教えて、ください…。」
よっし!言えた!
「え?あぁ、良いですよ。えっと私は、尽といいます。尽くすと書いて、尽。貴方は…?」
「え、ぁ、俺ですか…?えっと俺は要といいます。必要の要です。」
「いい名前ですね。」
あ、また笑った。
「尽さんこそいい名前ですよ!尽くすなんて…それにお酒にもありますしね!」
「はい!気に入ってるんです。」
あぁ、やばいこの顔…
抑えきれない…!
気付くと俺は口を塞がれていた。
「っん!?」
ゆっくりと離れた口は、また俺に近づいてくる。
「ちょ、ちょっと待った!」
な、何で…?
「な、何で…?」
「すみません。要さんを見ていたら、その…無性にしたくなって…。申し訳ございません…!」
そんな、尽さんも同じ気持ちだなんて…
「……い、いいですよ…?し、したい、なら…」
「っ!いいんですか…?」
「は、初めにしたのは尽さんじゃないですか!」
「で、ですが…」
「いいよ。しても…」
多分、いや絶対俺の顔は真っ赤だ。
「要さん…」
尽さんの長く綺麗な手が頬に触れる。
…くっそ!静かにしろ心臓!
ゆっくりと整った綺麗な顔が近づく。
ちゅっ
小さなリップ音が響く。
それを合図にしたように尽さんのイメージからは考えられないほど深いキスになった。
「ふっ…!ぅんっ……っは!…んむっ…!」
水音が響く…
少し節目な尽さんの目がさっきとは違って色っぽい…
恥ずかしいのと、苦しいので尽さんの胸を叩く。
「んっ!んっ…!」
やば、意識が…
遠くで尽さんの声が聞こえる。
その刹那自分の下の方が熱を帯びてるのに気づいたのもつかの間。
そのまま俺は真っ暗の闇に落ちていった。
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