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第9話:準備不足
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転送ゲート潜ったタクヤ一行はといえば……
「ぎゃあああああああああ――――――!? 高い!死ぬっ!お、お母さぁああああああんっ!!」
「うっひゃあああああ!? 落下の空気抵抗で私のおパンツが全開よぉ!!ほらったっくんっ! これを見て落ち着きなさい、って無視すんなぁ――!」
「お前のおパンツガン見してる場合か――!」
「なんならここでまるだしになってもいいのよぉ!」
「頼むからR指定にはしないでくれ……」
「落ち着いてください、タクヤ様! グラビティ・リモート!」
タクヤたちはゲートの開放先がまさかの上空である可能性を考えてはいなかった。
タクヤとフレデリカは各々うろたえていたがたがルゥルゥは、冷静に重力魔法“グラビティ・リモート”の呪文を詠唱した。
タクヤ・フレデリカ・ルゥルゥの身体を貫くように魔法陣が形成され、次第にパラシュートのごとく落下速度を緩めた。
「ひゃっはあああああ!地面に向かって反発の音撃ィいいいいい!」
「パラシュートくらい常備です、な……」
他のギルドの面々は各々用意周到に“手段”を持っていた。
要するにタクヤたちのギルドは準備が不十分だったのだ。
「くぅうううううう! あいつら、私たちによりも先に肝心な情報は仕入れていたのかしらぁっ」
「ふう、ぐ、グッジョブだ、ルゥルゥ……、どうやら今回のクエスト案件は俺らが最後の登録ギルドだったみたいだな。クエスト探し手間取りすぎだ、フレデリカ」
「だってぇ~、ドラゴン類討伐とかコツさえ掴めば割と楽だけど目立つやつはみ~んな大手ギルドに仕事取られちゃうんだもぉん! あいつらクエスト受注のために予約金金ジャブしているみたいだしぃ」
「これだから中小零細ギルドはだめなんだよ。やはり世の中資金力が全てか……、糞がっ……」
「うんっ! ウンコだわぁっ!」
ルゥルゥの重力魔法によりふわりふわりと降下しながらタクヤとフレデリカは愚痴をこぼし合う。
――がさがさ――
「いだっ、枝が刺さった!」
「きゃあああ!? 新調したばかりの服がボロボロよぉ~」
重力魔法の使い手ではないタクヤとフレデリカは、体の落下をうまくコントロールできなかったためか、どこだかわからない森の茂みに突っ込む形で着陸した。
「……お二方、早速で恐縮なのですが、それにしても、とても異様な気配を感じるのですぅ」
ルゥルゥだけはストンと片足できれいに着地をしすでに周囲の気配を嗅ぎ取っていた。
タクヤたちの着陸地点の周囲はぱっと見ただの森林なのだが所々に砦か要塞かのボロボロに破壊された壁が茂みから顔を出していた。恐らく、人類か亜人種がここで争いを繰り広げられていたのだろうと、既にそれから多くの時間が流れているのだろうが生々しいことには変わりない。
(他のギルドの人たちはどこに着地したのだろうか……、一刻も早く合流しないと)
「ん? ここ森なのに石畳の通路がうっすら見えるわね。トロル類は人のように小屋を建てるか人間が作った建造物に住み着くから、多分これをたどってけば目的地に行けるんじゃない? たっくん」
「まあそうだろうな。俺は予約制のバリア魔法貼っとくから、念のために変身準備はしとけよ。アドバンス・ウォール!」
タクヤとフレデリカとルゥルゥの前方に半透明で薄いわずかに光る予約起動の防御壁が展開され、すぐさまその防御壁は透明へと不可視化された。
「これで準備は完了だな。くそぉ、俺もルゥルゥみたいにいろんな種類の魔法使えたらな……」
「そんなに苦労するものなのですか? タクヤ様ぁ?」
「お前、どうやって身につけたんだ? 俺には攻撃魔法や回復魔法を唱えるセンスがなくて学生時代のときにさじを投げてしまった覚えしかないよ」
「今度、コツをお教えいたしますね、タクヤ様っ!」
「ううっ、なんて頼もしい子供なんだ……。お兄さん涙で顔が涙でぐっしょりだよ……」
「教えたご褒美に、チョコバナナ食べたいですぅ」
「うん、うん! たーんとごちそうするよ」
タクヤは口に手を当て涙を流しルゥルゥを褒めた。
「しかし魔法学校卒業している大の男が幼女に魔法を改めて教わるなんて、なっさけないわねぇ、たっくん……、プークスクス」
「うるせっ、俺は早くフリーター冒険者と言う地獄から開放されたいんじゃ! 今は高度なスキル習得のために手段を選んでる場合じゃねぇ!」
タクヤは泣き顔をしながら拳を突き上げてフレデリカに言い返す。普段痛いキャラのフレデリカでさえも呆れ顔で見下していた。
「ま、別にたっくんのそういう清々しいところは嫌いじゃないわ」
「ここでまさかのツンデレっすか?」
「私がデレるのは、イケメン君に限るのぉ~。はぁ~、今回の共同参加ギルドの面々にはいい男いなかったわぁ……、残念」
「こんの、面食い女が――!」
フレデリカはがっくしと残念そうにうなだれていると、ルゥルゥは横から、
「タクヤ様、フレデリカさん、コントはいいですから早く目的地に向かうとしましょう。先程の他のギルドのお方たちはどこに着地したんでしょうか、きっとお空にゲートの出口を作ったのはなにか理由がありそうな気がするのですぅ、ってきゃあああああ――!?」
「ルゥルゥ!?」
「ルーたん!?」
がさがさ、とタクヤの周囲から何者かが数体姿を現す!
「うごばぁ――! ゴブウグゴババッ!」
「ぎゃあああああああああ――――――!? 高い!死ぬっ!お、お母さぁああああああんっ!!」
「うっひゃあああああ!? 落下の空気抵抗で私のおパンツが全開よぉ!!ほらったっくんっ! これを見て落ち着きなさい、って無視すんなぁ――!」
「お前のおパンツガン見してる場合か――!」
「なんならここでまるだしになってもいいのよぉ!」
「頼むからR指定にはしないでくれ……」
「落ち着いてください、タクヤ様! グラビティ・リモート!」
タクヤたちはゲートの開放先がまさかの上空である可能性を考えてはいなかった。
タクヤとフレデリカは各々うろたえていたがたがルゥルゥは、冷静に重力魔法“グラビティ・リモート”の呪文を詠唱した。
タクヤ・フレデリカ・ルゥルゥの身体を貫くように魔法陣が形成され、次第にパラシュートのごとく落下速度を緩めた。
「ひゃっはあああああ!地面に向かって反発の音撃ィいいいいい!」
「パラシュートくらい常備です、な……」
他のギルドの面々は各々用意周到に“手段”を持っていた。
要するにタクヤたちのギルドは準備が不十分だったのだ。
「くぅうううううう! あいつら、私たちによりも先に肝心な情報は仕入れていたのかしらぁっ」
「ふう、ぐ、グッジョブだ、ルゥルゥ……、どうやら今回のクエスト案件は俺らが最後の登録ギルドだったみたいだな。クエスト探し手間取りすぎだ、フレデリカ」
「だってぇ~、ドラゴン類討伐とかコツさえ掴めば割と楽だけど目立つやつはみ~んな大手ギルドに仕事取られちゃうんだもぉん! あいつらクエスト受注のために予約金金ジャブしているみたいだしぃ」
「これだから中小零細ギルドはだめなんだよ。やはり世の中資金力が全てか……、糞がっ……」
「うんっ! ウンコだわぁっ!」
ルゥルゥの重力魔法によりふわりふわりと降下しながらタクヤとフレデリカは愚痴をこぼし合う。
――がさがさ――
「いだっ、枝が刺さった!」
「きゃあああ!? 新調したばかりの服がボロボロよぉ~」
重力魔法の使い手ではないタクヤとフレデリカは、体の落下をうまくコントロールできなかったためか、どこだかわからない森の茂みに突っ込む形で着陸した。
「……お二方、早速で恐縮なのですが、それにしても、とても異様な気配を感じるのですぅ」
ルゥルゥだけはストンと片足できれいに着地をしすでに周囲の気配を嗅ぎ取っていた。
タクヤたちの着陸地点の周囲はぱっと見ただの森林なのだが所々に砦か要塞かのボロボロに破壊された壁が茂みから顔を出していた。恐らく、人類か亜人種がここで争いを繰り広げられていたのだろうと、既にそれから多くの時間が流れているのだろうが生々しいことには変わりない。
(他のギルドの人たちはどこに着地したのだろうか……、一刻も早く合流しないと)
「ん? ここ森なのに石畳の通路がうっすら見えるわね。トロル類は人のように小屋を建てるか人間が作った建造物に住み着くから、多分これをたどってけば目的地に行けるんじゃない? たっくん」
「まあそうだろうな。俺は予約制のバリア魔法貼っとくから、念のために変身準備はしとけよ。アドバンス・ウォール!」
タクヤとフレデリカとルゥルゥの前方に半透明で薄いわずかに光る予約起動の防御壁が展開され、すぐさまその防御壁は透明へと不可視化された。
「これで準備は完了だな。くそぉ、俺もルゥルゥみたいにいろんな種類の魔法使えたらな……」
「そんなに苦労するものなのですか? タクヤ様ぁ?」
「お前、どうやって身につけたんだ? 俺には攻撃魔法や回復魔法を唱えるセンスがなくて学生時代のときにさじを投げてしまった覚えしかないよ」
「今度、コツをお教えいたしますね、タクヤ様っ!」
「ううっ、なんて頼もしい子供なんだ……。お兄さん涙で顔が涙でぐっしょりだよ……」
「教えたご褒美に、チョコバナナ食べたいですぅ」
「うん、うん! たーんとごちそうするよ」
タクヤは口に手を当て涙を流しルゥルゥを褒めた。
「しかし魔法学校卒業している大の男が幼女に魔法を改めて教わるなんて、なっさけないわねぇ、たっくん……、プークスクス」
「うるせっ、俺は早くフリーター冒険者と言う地獄から開放されたいんじゃ! 今は高度なスキル習得のために手段を選んでる場合じゃねぇ!」
タクヤは泣き顔をしながら拳を突き上げてフレデリカに言い返す。普段痛いキャラのフレデリカでさえも呆れ顔で見下していた。
「ま、別にたっくんのそういう清々しいところは嫌いじゃないわ」
「ここでまさかのツンデレっすか?」
「私がデレるのは、イケメン君に限るのぉ~。はぁ~、今回の共同参加ギルドの面々にはいい男いなかったわぁ……、残念」
「こんの、面食い女が――!」
フレデリカはがっくしと残念そうにうなだれていると、ルゥルゥは横から、
「タクヤ様、フレデリカさん、コントはいいですから早く目的地に向かうとしましょう。先程の他のギルドのお方たちはどこに着地したんでしょうか、きっとお空にゲートの出口を作ったのはなにか理由がありそうな気がするのですぅ、ってきゃあああああ――!?」
「ルゥルゥ!?」
「ルーたん!?」
がさがさ、とタクヤの周囲から何者かが数体姿を現す!
「うごばぁ――! ゴブウグゴババッ!」
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