魔法学校卒冒険者の学び直し~ホワイト企業に就職したいけど魔法力が貧弱で無理ゲーなのでロリに魔法教えてもらってます~

梅星さん太郎

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第10話:鬼鍵

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「「「ゴブダダ!」」」

 人間の子供の背丈程しかないが、3体、いや7体か、耳は鈍く尖り、肌の色は淡い黄緑色をしている魔族、ゴブリンである。

 指示役らしきゴブリンがこちらを指差し、それに応対する部下らしきゴブリンは棍棒や短槍など各々が手に持つ武器をタクヤたちへ切っ先を向けた。

「し、しまった!この森はゴブリンの縄張りっだったのか――!?つまりあれか?」

「ええ、上空からの降下を強いられたのは、この森をできるだけ避けて直接目的地にうまくたどり着けってことのようね」

「ううっ、放してくださいです――! 何をするのですかっ!」

 ルゥルゥを取り囲むゴブリン数体はルゥルゥが持つ魔法杖を無理やり力づくで奪い取ろうとした。

「とりあえずルゥルゥを助けるぞ、フレデリカ!」

「言われなくても! サポート頼むわよ! “鬼鍵”!」

 フレデリカは懐から特殊な形状の鍵を取り出し、南京錠型のネックレスのパーツの鍵穴に差し込み回転させる。

『いよぉー、ポンポポポポポン、鬼はウチ~! 服は鬼!』

 すると、南京錠の部分に鬼の面のシルエットが青光りし、同時にフレデリカの足元に魔法陣が形成され、その魔法陣は彼女の全身を貫くように上方向へ登っていく。

 通過した部分からハイテクな鎧をまとっていき、頭部まで達すると、目元だけがむき出しになったフルアーマーとなり、カシャリとアイシールドが降りてきて目元が隠れる。

「さぁ、スーパーヒロインタイムはこれからよぉ――! どりゃああああああ!」

『超ウルトラ!鬼速い!』

 フレデリカが纏うアーマーから音声が流れる。

 アーマーの背中のブースタからエネルギーを噴出し、高速でルゥルゥにまとわりつくゴブリンの群れに突っ込んでいく。

「ぎええええええええええええ――――!」

 フレデリカのアーマーの高速移動に勢いにゴブリンたちは一気に吹き飛ばされ、ついでにルゥルゥを抱きかかえ、そのまま方向を反転しスライディングをするようにブレーキをかける。



「かかれ! エレキ・ネットワーク・リフレクター!」

 タクヤは素早くフレデリカたちの位置へ合流すると、呪文を詠唱した。

 すると、紫電の網で出来上がった壁がゴブリンを隔てるように形成される。



 タクヤたちに襲いかかるゴブリンの群れは一斉にタクヤが張った特殊結界になだれ込む。



「「「ごぶぁぎゃああああああああああああああ――――!」」」



 結界に触れたゴブリンは感電し、その場でばたばたと失神した。

 ギリギリのタイミングでストップできたゴブリンは冷や汗をかいている。彼らは後方の部隊に何やら指示を出し、後方の部隊のゴブリンたちはこくりと頷き、四方八方に散る。



 そう。



 ゴブリンはとても賢い。



 人類が持つハイテクな武器とは違い、ボロボロの棍棒や弓矢などを持ち、見た目こそしわだらけで貧相で醜い“彼ら”だが、人類以上の魔法のセンスを持ち、集団戦にも長ける。



「……やばい、なにか企んでやがるな、あいつら、さっさとずらかっぞっ。長期線になるとまずい! 目的地にたどり着けるどころじゃあなくなる」

「みんなぁ! 口をふさいでぇ!」

フレデリカは魔法銃“B・Bガン”に魔石をセットし、銃口をゴブリンたちに向け、

『うおおおおおん!超ウルトラ!鬼泣かせ!』

 音声と共に銃口から催涙ガスを噴射。

「ごぶあああああっ、ごはっ! ごふごふ!」

 ゴブリンたちはガスを浴びたため泣きながらむせ返した。

「あっ!目的地はあれなのでしょうか、ですぅ。“跳び”ますですっ! 皆さん!掴まってくださいです――!」

「ルゥルゥ、“跳ぶ”って、まさかこないだ使ったあれなのか?もうシッチャカメッチャカだが、うらあああああ!」

「あっ!ちょっと、待ってぇ――!」

 タクヤとフレデリカが慌ててルゥルゥに駆け寄り、押しくら饅頭状態となったところで、ルゥルゥは手に持つ魔法杖をカカンッ、と二回ほど地面にクリックすると魔法陣が出現。魔法陣は勝手に意匠をカシャリカシャリとジグソーパズルのような動きで高速に組み換え、虹色に輝き出す。



 刹那。



 タクヤたちの視界が中心を軸に渦を巻き、一瞬暗闇に。また逆方向に渦を巻くと、とある石造りの建造物の中に変わっていた。
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