蛇好き令嬢、魔界に嫁ぐ

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ナギリス・ヘポン・ナーガ

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ナギリス・ヘポン・ナーガ

魔界の宰相。

5000年も魔界に貢献して、未だ独身。

ナーガ族族長。

年寄りの様だが…とある魔道具を身につける事で、身体の時間を止めているらしい。

20代の若さで止めた時は…未だ衰えず。

金の髪をなびかせて、ロイヤルブルーの瞳に食らいつきたくなる口元が美男子を訴える。

ローブを着た上半身は、鍛えられた筋肉をスッポリ覆い隠す。

黄金の装飾がよく似合う高貴さ。

魔眼を封じる為に着けたメガネは、魔封じの魔道具なのだが…魅力を底上げしている。

老若男女全てをゾクゾクさせる様な…低いボイス。

下半身の蛇の尾は、太くて硬い。
それでいて黄金色の鱗で覆われている。
美しさと妖艶なエロさを出す。

魔界で一番結婚したい男ナンバーワンに…結婚話が上がる。



「ナギリス!どうして?私では不服ですか!?……私との縁談を蹴って、よりにもよって…人間の卑しい娘と結婚するなんて…どうか考え直して!」

これまた美しい魔界の姫君。

魔王の95番目の娘ヂィア・デス・バンパイヤ

バンパイヤの血筋を受け継ぎ、魔王の子種で生まれたヂィア姫は、ナギリス宰相のファンの1人で、長年の求婚者である。

「ヂィア姫は、私には勿体無い。龍人の王子から求婚されているではないですか?他にも、神族からのアプローチを受けているとか?知っていますよ?」

低いボイスで、ユックリ優しく語りかける声は…エロいのです。

「はわわわーあ!?……ナギリスぅ…私は、貴方にゾッコンなのです」

腰を抜かす姫君を軽くお姫様ダッコして、部屋に運ぶ。

「姫のお世話もこれからは…出来なくなりますね。今日は特別に、お部屋まで送って差し上げます」

「今日から、ずっと一緒にいて欲しいです」

「すみません。それは出来ません。私は、妻は生涯1人と決めているのです。その妻は、残念ですが、ヂィア姫ではありません。他の方と幸せになってください」

駄々をこねる姫を手玉にとって、ベットに寝かしつけると、自分の部屋にこもり、宰相の顔で書類を見つめる。

「ジモデンズ伯爵令嬢ミーシャ嬢。訳あり娘にしては、好条件過ぎる。浮気気質の相手の婚約者が悪いのに…破棄が、国の祭典のパーティだった事から、自国での結婚は出来そうにない。そかも、蛇狂いの為に…家庭環境も最悪?…頭脳明晰、趣味以外は性格良し。俺にとっては、好条件だ。もし、男なら伯爵家の当主だった令嬢を外に嫁に出す親に問題ありだな。傭兵からの報告書には、虐待の形跡があると…でも、本人はいたって健全とある。奇跡だな…」

毒耐性の文字に、顔が歪む。

「人間の国は、腐っているな。でも、これで…人間性に付いて学べる。150年前は、勇者だかいう人族に…精神面で負けた。黒魔術で、精神操作に長けた者を退くその強さを…間近で観察して、今度こそ、魔族が世界を統一する」

ナギリスには、人族を滅亡させるつもりはない。
ただ、人間の貴族の浅ましさは、毛嫌いしている。
ならば…人間を健全に導ける魔族の統治下に収めればいい。

100前は、実現出来なかった。
神たちもこちらの味方なのに…異世界から召喚された勇者に阻まれて、今の和平条約を結んだ。
そして…毎年、魔族から生贄を選ぶ。
その苦痛は、言いがたいものがある。

これ迄にこちらに送られて来た令嬢からわかった事は、貴族は腐っているという事だけだった。

「神たちも…人間を健全に導ける指導者を求めている。ナギリス殿には…世話をかけるな…」

神と交信のできる大蛇の神獣が、ナギリスをねぎらう。

「神獣様も心を痛めているのですね。…」

何かを言おうとして、ナギリスは止まる。

ジモデンズ伯爵令嬢ミーシャ嬢は…蛇狂い?
半身蛇の自分よりも…大蛇の神獣様を好いてしまったらどうしようか?

「出会う前から…嫉妬か?この俺が?」

神獣様も聞こえないほどの小さな声で愚痴る。

「神獣様…頼みがあります。ヂィア姫のことです。良い神族を紹介していただけませんか?」

「あんなに好かれているのだ。妾にしてあげればいいのではないか?」

「いいえ、姫には正妻の幸せを味わう必要があります。幸せを独占する様な幸福を、知ってもらいたいのです」

「うむ、わかった。神に相談しておこう」




こうして、魔王の95番目の娘が、劇的な出会いで神の1柱と結婚するのは…蛇狂いのジモデンズ伯爵令嬢ミーシャと魔界の宰相ナギリス・ヘポン・ナーガとの盛大な結婚式の後のことである。



「忘れているだろうが…ナギリス。主に、結婚を申し込んでいるのは…1人だけではないぞ?夜な夜な、忘れることなかれ。嫁の命を守りたくば…ナギリス自身で身辺整理をした方が良い。嫁が来るのは、まだ先じゃ。誠実さを見せるためにも、身も周りは綺麗に片付けよ。我も手伝おう」

「神獣様…ありがとうございます。では、早速ですが…手紙をしたためましょうか」

魔人らしく、脅しの手紙を送る。
それでも、あきらめない馬鹿は、魔界の貴族にふさわしくない。
容赦なく潰して、不安分子を潰して歩く事にする。

「嫁御の護衛は強化しておけよ。我が方でも、眷族で手配をしておこう」

大蛇の神獣様の眷属は…蛇?

「神獣様…嫁御は蛇狂いでして…蛇の護衛は、嫉妬してしまいます。控えていただけませんか?」

「蛇狂いとな?それは面白い。主と良い夫婦になるであろう」

「私も、そう思います。とても楽しみです。嫉妬心を抱くなど…初体験です」

「はははは!魔王が喜ぶぞ!やっとで恋をしたのだと!」

恋?

「ナギリスが、やっとで恋を覚えたか?」

爽やかな声が、ナギリスの部屋に響いた。
そこには、銀色の髪の赤目を持つ美丈夫が立っていた。
一目で魅了するその容姿と、限りなく溢れる膨大な力。

「これは、魔王様!この様な場所にお越し頂けるとは!」

「ナギリスが、政略結婚だと思ったが…初恋だったとは、喜ばしいぞ!世は、大歓迎じゃ!」

「はは~!ありがたき幸せ!魔王様に祝いの言葉を頂けるとは!」

「長きにわたって、よく仕えている。我頭脳とも言える。ナギリスよ。幸せになれ。細かき事柄は、世からもお触れを出そう!ナギリスの幸せに手を出す者は、世の怒りをかうであろう!」

空が黒く染まり、雷が鳴る。

「有難きお言葉!このナギリス!魔王様に一生仕えます!」

こうして、魔王様のお触れもあり、ナギリスにチョッカイかけることが出来なくなった魔界の娘たちは、密かにナギリスの幸せを祈った。

「「「ナギリス様と結婚できる人族の娘が、不幸になります様に」」」

呪いじみたその願いは、ナギリスをしばらく苦しめる事になる。
元々不幸の塊のジモデンズ伯爵令嬢ミーシャには、大したことでもないのだが…
無情にも、魔王のお触れは、独身女性のフツフツとした負のオーラをミーシャに向けさせただけであった。

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