召喚されたら聖女ではないと言われました

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6話 聖女じゃないとまた言われました

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ロラン様が、打ち解けてきて、言葉遣いも穏やかになった頃、他の王子達が聖女3人を連れて、私たちの近くに来ました。

「ロラン、そんな平民に構っていないで、もっと有意義な時間を過ごしたらどうだ?」

皇太子殿下ですね。……名前は知りませんが、お辞儀をしておく。

「サカエは聖女なのだから、気にしなくていいんだよ。兄様方も、サカエを酷く言わないでください。父上に怒られますよ?」
「ロラン、聖女はこの3人のことを言う。巻き込まれただけの平民に、何が出来るというのだ?そんな事よりも、騎士団長と魔導師長の模擬戦は、見苦しいな……もう年なのか?世代交代をした方がいいね」
「我々ならば、もっと華麗に動き回れましょう」
「派手な魔法も連発できます。節約して、体力を気にする戦いほど見苦しくはありません」

何だ??この戦いを見苦しいですと!?
冗談ですか?
頭脳を駆使して、考え抜かれた動きと相手との動きの読み合い。
ベテランの域に達しているですよね。
……これ以上の動きをするの??
化け物ですか?

「凄いですね。これ以上の動きを見せてくれるのですか?」

私は聖女達に向けて話を振る。

「よくはわからないけど、見てみたいな」
「私も、魔法を使っているところを見たいです」
「剣も使うんですよね。カッコいいだろうな!」

キャイキャイ言う娘達に感化されて、イケメンな騎士団長の息子さんと魔導師長の息子さんが、次に模擬戦をすることになった。

「最近、全くここに顔を見せていないお前が、やっとでやる気を見せたか?どれだけ強くなったか、見てやろう」
「魔法の一つでも覚えたか?格好つけてばかりいたお前が、どれだけの実力になったか、見てみよう」

模擬戦中断して、息子達に声をかける。

威厳からして、全く違うように見えますが?
気のせいですか?
もっと、二人の模擬戦が見ていたかったのにな。

残念に思っている私をおいて、他の聖女達は、応援の声援を送る。
……ダメでしょう?厳正なる戦いに、そんな声なんてかけるのは……。
そう思う私とは裏腹に、手を振り返す男達に、私は正直に呆れた。

ダメじゃね?こいつら……

私の思った通り、彼らは派手な技ばかり振りかざして、全くつまらない戦いをする。
派手な技ばかりなので、他の聖女達は、褒めちぎっていますが……

「サカエ、顔がつまらなそうだが……この戦いは、どう思う?」
ロラン様が、不意に聞いてきた。

私の声が他に聞かれると嫌なので、小声でロラン様に答える。
「体力が持たないですね。武器も直ぐに痛むでしょう。……何より、見所が無いです。隙だらけで、大技を仕掛けない方が、勝てそうですね」

何処から来たのか?その会話を聞いていたフラン様とコリン様は、にこやかに私のところにきて、話に加わる。
「サカエもそう思うか?……息子達に聞かせてあげたいところだ。身体能力に頼り切った動きのせいで、何も意味も成さない模擬戦になっている」
「無駄な体力、無駄な魔力、無駄な技、無駄な思考、無駄ばかり目立つ」
「やってられんわ。見てもいられんわ。これが、我が息子とは……情けない」
「騎士団長や魔導師長は世襲制ではないので、世代交代をしても、息子達に出番はない」
「悲しいかな……爺さんも、その前の爺さんも、ご先祖から、ずっとこの役職をもらっているが、ここまでだろうな。私の代で、その流れも切れるだろう」
「息子は他にもいるが、どれもパッとしない」
「平和ではなくなっているこの世の中で、力が衰えるのは、いい傾向では無い」

悲しそうな会話だ。

「サカエもそう思う?」
「ロラン様、人は何か事が起こるたびに、成長するものです。ある日突然変わることもあるかもしれません」
「変わらないこともあるよね」
「……それは、悲しいことですね。でも、周りに彼らを愛する人がいれば、目覚めるのもはやいかもしれませんね」

聖女達に模擬戦の報告をする彼らを見る。
息切れしながら、話をしている彼らには、正直興味が持てない。

体力無さ過ぎですって……。
親の1/10も戦えてなかったよね?

心でツッコミを入れていると、男どもが、私を睨んでくる。
やめてほしいです。
何もしていないのに……

「……父上達に取り入ってどうするつもりだ?聖女ではない癖に……」

聖女じゃなくていい。
自由に過ごしたいだけだ。

「……父上、その女をどうするつもりですか?」
「……何がいいたい?」
「聖女ではない女を我が家に迎えたくは無い」
「……サカエは聖女だよ」
「召喚されていても、女であっても、聖女ではない場合もあります。騙されないでください。召喚した我々が感じているのは、役にも立たない気配のみ、私にはわかるのです。構っても無駄ですよ?」

話をしても無駄だと悟ったフランは、私と向き合う。

「……息子は見る目がないな」
「……あんな小娘共よりも、ずっと良い女なのにな」

ないない。褒めちぎっても何も出ませんよ?
どうして、イケおじ様達は、私を甘やかすのでしょうか?
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