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待ち望むのは
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「お体の具合が悪いのでしたら、医師を呼んで参りますが……」
「問題ない。酒にやられただけだ」
心配そうに加減を伺う亜希に彰久が答えると、彼女は安心したように肩の力を抜いた。
彰久が幸菜の体を布団に戻す。離れ際にさらりとこめかみの辺りを擽って、もう少し寝ていろと言われた。
立ち上がった彼は亜希を下がらせて身支度を整えた。昨日も見た、かっちりとした袴姿だ。変に着崩さないからこそ体格の良さが見て取れる出で立ち。まっすぐに伸びた背筋は雄々しさを感じさせた。
「何かあったら亜希を呼べ。起き上がらずとも声を出せば聞こえるはずだ」
彰久が手をかけるまでもなく、障子が左右に開かれる。その間を通り抜けて背を向けたところで、障子は音もなく閉じられた。
僅かに響く衣擦れの音で、誰かが部屋の外にいることがわかる。それが気になるわけではないけれど、さっきまであったはずの眠気は無くなっていた。
もぞりと寝返りを打つ。腰が痛んだが、今度は声を堪えられた。
「亜希さん、いますか?」
呼んでみると、間も無く障子が開いて亜希が現れた。
声を張らなくてもいいようにと枕元まで寄ってくれた彼女に手伝ってもらって体を起こす。脇息という肘掛を当てられて、それに凭れると幾分か楽だった。
「ありがとうございます。……あの、拭いてくれたのって亜希さんですか?」
恥ずかしさに目を逸らして問う。彼女は微笑ましそうにはにかんだが否と答えた。
幸菜の顔の赤みが増す。だが、これはこれで良かったのかもしれない。他の誰かにされるよりは彼女の方が、と思ったけれど、恥ずかしいことには変わりないのだから。
困ったように眉尻を下げる彼女に、亜希は努めて平静な声で問いかけた。
「起きられるのでしたら、膳を運ばせましょうか。朝餉は食べられそうですか?」
「あ、はい。……でも、全部は食べきれないかも」
軽いが重い胃の辺りを撫でると、「では軽めに致しましょう」と亜希が察してくれる。
皆まで言わずとも汲み取ってくれる彼女を幸菜は期待の目で見上げた。
受け止めた彼女は、幸菜の予想通り仕方ないと苦笑交じりの笑みを浮かべる。
「朝餉が済みましたら、仔猫を連れて参りますね」
「やったっ。亜希さん、大好きっ」
満面の笑みを浮かべ、昨日たくさん構った仔猫の姿を脳裏に思い描く。
あの愛らしさも人懐っこさも、すべてが幸菜を癒してやまない。
早く会いたいという心を如実に表して動く手に、亜希はくすりと表情を和らげた。
𓆛𓆜𓆝𓆞𓆟
本日もお付き合いくださりありがとうございます。
明日また更新しますので、お付き合い頂ければ幸いです。
「問題ない。酒にやられただけだ」
心配そうに加減を伺う亜希に彰久が答えると、彼女は安心したように肩の力を抜いた。
彰久が幸菜の体を布団に戻す。離れ際にさらりとこめかみの辺りを擽って、もう少し寝ていろと言われた。
立ち上がった彼は亜希を下がらせて身支度を整えた。昨日も見た、かっちりとした袴姿だ。変に着崩さないからこそ体格の良さが見て取れる出で立ち。まっすぐに伸びた背筋は雄々しさを感じさせた。
「何かあったら亜希を呼べ。起き上がらずとも声を出せば聞こえるはずだ」
彰久が手をかけるまでもなく、障子が左右に開かれる。その間を通り抜けて背を向けたところで、障子は音もなく閉じられた。
僅かに響く衣擦れの音で、誰かが部屋の外にいることがわかる。それが気になるわけではないけれど、さっきまであったはずの眠気は無くなっていた。
もぞりと寝返りを打つ。腰が痛んだが、今度は声を堪えられた。
「亜希さん、いますか?」
呼んでみると、間も無く障子が開いて亜希が現れた。
声を張らなくてもいいようにと枕元まで寄ってくれた彼女に手伝ってもらって体を起こす。脇息という肘掛を当てられて、それに凭れると幾分か楽だった。
「ありがとうございます。……あの、拭いてくれたのって亜希さんですか?」
恥ずかしさに目を逸らして問う。彼女は微笑ましそうにはにかんだが否と答えた。
幸菜の顔の赤みが増す。だが、これはこれで良かったのかもしれない。他の誰かにされるよりは彼女の方が、と思ったけれど、恥ずかしいことには変わりないのだから。
困ったように眉尻を下げる彼女に、亜希は努めて平静な声で問いかけた。
「起きられるのでしたら、膳を運ばせましょうか。朝餉は食べられそうですか?」
「あ、はい。……でも、全部は食べきれないかも」
軽いが重い胃の辺りを撫でると、「では軽めに致しましょう」と亜希が察してくれる。
皆まで言わずとも汲み取ってくれる彼女を幸菜は期待の目で見上げた。
受け止めた彼女は、幸菜の予想通り仕方ないと苦笑交じりの笑みを浮かべる。
「朝餉が済みましたら、仔猫を連れて参りますね」
「やったっ。亜希さん、大好きっ」
満面の笑みを浮かべ、昨日たくさん構った仔猫の姿を脳裏に思い描く。
あの愛らしさも人懐っこさも、すべてが幸菜を癒してやまない。
早く会いたいという心を如実に表して動く手に、亜希はくすりと表情を和らげた。
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本日もお付き合いくださりありがとうございます。
明日また更新しますので、お付き合い頂ければ幸いです。
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