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憂いのもとは
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けれどどれほど幸菜が嘆いても嫌がっても、それが聞き入れられることはない。ーー彰久が、興味を失わない限り。
何も知らない彼はいつもと同じように、踏み入れた先に幸菜の姿を認めてようやく顔の強張りを解いた。自分で押し込めておきながら何を不安がっているのかと、黙したまま彼が格子戸を潜る姿をぼんやり見つめる。
体を丸めたままの幸菜を軽々持ち上げ膝の間に座らせるのが彼のお気に入りの体勢らしい。今日も同じようにされて、口づけがうなじに幾つも落ちてきた。
擽ったくてそっと体を離そうとしても、彰久の腕から逃れることはなかった。逃げ損ねた肩を掴まれ、背後から抱きしめられて、彼の熱い息に身震いする。
ほんのりと色づいた首筋に彰久は機嫌良さそうに目を細めた。
「く、すぐった……」
耳まで真っ赤になった幸菜に、「そうか」と言いはしたけれど離すつもりはないらしい。袷から彼の手が入り込んできた。
偶然か必然か、彼の指先が突起を掠めた。思わず浮き上がりかけた腰を押さえつけるように彼の腕が回された。
「とのさっ、ぁ、ぅ……」
「どうした?」
耳朶に歯が押し当てられる。痛みはないが、吐息の熱と煽るように這う舌は緩やかに幸菜を刺激した。
触れられた瞬間から、肌が熱を帯びる。指も、唇も、歯も、舌も、何もかもがそれをする。
「そうだ、それでいい」
艶めいた低い声が鼓膜を打つ。ぎゅうっと心臓が締め付けられる。
何度も教え込まれた体は彼の望む通りに反応する。
弓なりにしなった背を指先でなぞられ、堪らずもがいた両手は容易く絡め取られ封じられた。
内腿を撫でられて思わず膝を合わせようとするが、すでに奥まで入り込まれたこの目立つ指が肉芽を擦った。
なのに仕置きとでもいうように胸の頂をきつく責められて、心臓が早鐘を打っていることがばれないかと怖かった。
「ひぅ……んんっ」
口を固く閉ざし、与えられる快楽に必死に耐える。少しでも気を緩めてしまえば淫らな声をはしたなく上げてしまいそうだった。
けれどそれが気に入らないのか、彰久は執拗に唇を重ね、啄むように食む。ちろりと唇の輪郭をなぞられて、うるりと目が熱くなった。
煽るばかりの触れ方に、もっと激しく貪られたいと思う貪欲で淫蕩な自分を目の当たりにさせられた。
もっと。足りない。もどかしい。
そんな飢餓感に近い胸の内を知られていることを、幸菜もまた知っている。
意地の悪い彼はこうして幸菜を焦らしまくって、彼女が根を上げるその時を今か今かと待っているのだ。
その証拠に、ぎらぎらと獲物を狙う獣の目が幸菜に熱い視線を注いでいる。
求められていると思い上がってしまいそうな強烈な眼差しに、思わず息ができなくなった。喉元までせり上がった言葉を奥歯を噛み締めて呑みくだす。
そっと閉じられた目蓋に、羽のように軽い口付けをされた。
何も知らない彼はいつもと同じように、踏み入れた先に幸菜の姿を認めてようやく顔の強張りを解いた。自分で押し込めておきながら何を不安がっているのかと、黙したまま彼が格子戸を潜る姿をぼんやり見つめる。
体を丸めたままの幸菜を軽々持ち上げ膝の間に座らせるのが彼のお気に入りの体勢らしい。今日も同じようにされて、口づけがうなじに幾つも落ちてきた。
擽ったくてそっと体を離そうとしても、彰久の腕から逃れることはなかった。逃げ損ねた肩を掴まれ、背後から抱きしめられて、彼の熱い息に身震いする。
ほんのりと色づいた首筋に彰久は機嫌良さそうに目を細めた。
「く、すぐった……」
耳まで真っ赤になった幸菜に、「そうか」と言いはしたけれど離すつもりはないらしい。袷から彼の手が入り込んできた。
偶然か必然か、彼の指先が突起を掠めた。思わず浮き上がりかけた腰を押さえつけるように彼の腕が回された。
「とのさっ、ぁ、ぅ……」
「どうした?」
耳朶に歯が押し当てられる。痛みはないが、吐息の熱と煽るように這う舌は緩やかに幸菜を刺激した。
触れられた瞬間から、肌が熱を帯びる。指も、唇も、歯も、舌も、何もかもがそれをする。
「そうだ、それでいい」
艶めいた低い声が鼓膜を打つ。ぎゅうっと心臓が締め付けられる。
何度も教え込まれた体は彼の望む通りに反応する。
弓なりにしなった背を指先でなぞられ、堪らずもがいた両手は容易く絡め取られ封じられた。
内腿を撫でられて思わず膝を合わせようとするが、すでに奥まで入り込まれたこの目立つ指が肉芽を擦った。
なのに仕置きとでもいうように胸の頂をきつく責められて、心臓が早鐘を打っていることがばれないかと怖かった。
「ひぅ……んんっ」
口を固く閉ざし、与えられる快楽に必死に耐える。少しでも気を緩めてしまえば淫らな声をはしたなく上げてしまいそうだった。
けれどそれが気に入らないのか、彰久は執拗に唇を重ね、啄むように食む。ちろりと唇の輪郭をなぞられて、うるりと目が熱くなった。
煽るばかりの触れ方に、もっと激しく貪られたいと思う貪欲で淫蕩な自分を目の当たりにさせられた。
もっと。足りない。もどかしい。
そんな飢餓感に近い胸の内を知られていることを、幸菜もまた知っている。
意地の悪い彼はこうして幸菜を焦らしまくって、彼女が根を上げるその時を今か今かと待っているのだ。
その証拠に、ぎらぎらと獲物を狙う獣の目が幸菜に熱い視線を注いでいる。
求められていると思い上がってしまいそうな強烈な眼差しに、思わず息ができなくなった。喉元までせり上がった言葉を奥歯を噛み締めて呑みくだす。
そっと閉じられた目蓋に、羽のように軽い口付けをされた。
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