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7.出港準備を進める一行
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間もなく僕たちは、縛り上げた海賊船長を漁村の人たちに突き出した。コイツの首にも賞金がかかっているので、復興資金の足しくらいにはなるだろう。
「さすがだな兄ちゃんたち」
「これからどうするんだ?」
そう聞かれると、僕は迷わず答えた。
「これから、この船を使って大海原に出ます!」
僕の言葉を聞いて、村人たちは「おおっ!」と声を上げていた。
「いいねぇ……海賊を倒して海賊になるのか!」
「かっこいいぞ兄ちゃん!」
そんな話をしていると、奴隷として海賊船に使われていた人が言った。
「そういうことならワシも乗せてくれ。自慢じゃねえが……元は船大工だったんだ」
隣にいる黒人……いや、中東系の血も入っていそうな男性も言う。
「俺も頼む。こう見えて腕には自信があるんだ」
ミホノシュヴァルツ号も満足そうだし、僕としても彼らの助力は嬉しいものだ。
すぐに右手を差し出した。
「君たちを正式なクルーとして迎えよう!」
「おう! ワシの名はニッパー。ドワーフの血を引いている」
「俺の名はヤーシッチ。よろしく頼む!」
「僕はエッケハルト。ハルトと呼んで欲しい」
「あたしのことはマーチルと呼んで!」
そう言いながらお調子者のマーチルが歩み出ると、早速ニッパーが頭を撫でながら言った。
「おお、そうかそうか~ 可愛い子猫ちゃんだ!」
「こらぁっ! セクハラするなぁ!」
彼女の言葉を聞いて漁村の人たちは、どっと笑い声をあげた。
そろそろ出港の準備をしようと思っていたら、人垣のなかから「あの……」という声が聞こえてきた。
女性のようだが誰だろうと視線を向けると、出てきたのは素朴な感じだが素直そうな娘だった。
「私もご一緒させて頂けませんか。先ほどの襲撃で家も小舟も壊れてしまって……このままでは生活できないの」
その言葉を聞いて、何だか逆に心配になってしまった。
彼女の立場から見れば、僕たちは海賊を追い払ったと言っても、海賊志願の何を考えているのかわからない人間のはずだ。うかつについてきて大丈夫だろうか。
「助力はありがたいけど……危険な旅になると思うよ? 本当に大丈夫かい?」
「覚悟はできていますし、貴方がたが来てくれなければ……私は捕まって売り飛ばされていると思うの」
彼女はそういうと、少し視線を下げながら言った。
「それに、料理は得意だし……洗濯とか衣服の修繕とかもできるから、役に立てると思う」
まあ、確かに女の子がマーチル1人では、コイツもやりづらいだろうし、彼女のような女の子もいた方がいいかもしれない。
「わかった。歓迎するよ……何て呼べばいい?」
「リーゼです」
「わかった。よろしくねリーゼ!」
こうして僕たちは、いったん海賊船へと入った。
一角獣ミホノシュヴァルツ号。ネコ族マーチル。ドワーフの船大工ニッパー。黒人の剣士ヤーシッチ。料理人リーゼ。
僕も含めて仲間も7人に増えたのだから、最初の頃に比べるとずいぶん大所帯になったと思う。
「ふむ……船を動かすには、まだまだ人数が足りんな」
ニッパーが言うと、ヤーシッチも頷いた。
「この人数では、帆を張るのが精一杯だろう。沖合に出るには最低でもオールを漕ぐ班がいないとな」
『そのことなのだが……』
全員がミホノシュヴァルツ号を見ると、彼は角を光らせた。
すると……マストの中から緑髪のエルフが姿を見せる。
僕はてっきり、精霊耳と呼ばれる変わった耳をしているのかと思っていたが、彼女の耳は普通のエルフの代物だ。
「ほう……こりゃベッピンさんだ。耳が尖っていなければ更にいいんだがなぁ」
ドワーフのニッパーが言うと、エルフの少女は落ち着いた様子で答えた。
「褒め言葉として受け取らせて頂きます。さて……皆さん、私をこの海賊船から救出して下さってありがとうございます」
その緑髪のエルフ少女は、爽やかに微笑んだ。
か、可愛い……僕は仕事柄、色々な女の子に会ってきたけど、ここまで可愛い女の子はそうはいないぞ。
「私のことは、オフィーリアと呼んでください」
『早速だが、例の件について答えて欲しい』
「動力のことでお悩みなのですね?」
話題が変わったので、僕もシャキッとすることにした。いつまでもデレデレしていられない。
「ああ、オールを漕ぐ人手が確保できないんだ」
そう伝えるとエルフのオフィーリアは頷いた。
「それなら、木箱や廃材などを使ってゴーレムを作ってみましょう」
ゴーレムという話を聞いて、ヤーシッチやニッパーは「ほう……」と感心した声を上げた。
僕もゴーレムについては聞いたことがある。これは言うなれば魔導機械とも言われる、人間に似た動作をさせることのできるカラクリだ。
ヤーシッチは言った。
「この船は、最低でも20人のオール漕ぎがいないとまともに動かないんだ」
「なるほど……わかりました。なるべく多くのゴーレムを作れるように努力してみます」
ミホノシュヴァルツ号も言った。
『では、エッケハルト。船内の食料の残りをチェックして足りない分を調達してきてくれ』
「わかった。マーチルにリーゼ。ちょっと手伝ってくれ」
「うん!」
「案内するよ!」
こうして僕たちは、海賊船の出航に向けて着々と準備を進めているわけだけど、冒険者街にいるガンスーンチームでは、僕の代わりの冒険者が見つかったようだ。
【エルフの少女 オフィーリア】
海賊船の中に潜んでいたハイエルフの少女。
どうやら、住処にしていた木を伐採され、そのまま乾燥させることもなくマストの材料とされてしまったため、逃げるに逃げられなかったようだ。
ちなみに、普段はエルフの耳の姿だが、感情を高ぶらせるとニンフ特有の動物耳になり、霊力で人間の耳に偽装することもできる。
彼女の身に着けているローブも、纏っている霊力によってデザインや色も変化するようにできている。
「さすがだな兄ちゃんたち」
「これからどうするんだ?」
そう聞かれると、僕は迷わず答えた。
「これから、この船を使って大海原に出ます!」
僕の言葉を聞いて、村人たちは「おおっ!」と声を上げていた。
「いいねぇ……海賊を倒して海賊になるのか!」
「かっこいいぞ兄ちゃん!」
そんな話をしていると、奴隷として海賊船に使われていた人が言った。
「そういうことならワシも乗せてくれ。自慢じゃねえが……元は船大工だったんだ」
隣にいる黒人……いや、中東系の血も入っていそうな男性も言う。
「俺も頼む。こう見えて腕には自信があるんだ」
ミホノシュヴァルツ号も満足そうだし、僕としても彼らの助力は嬉しいものだ。
すぐに右手を差し出した。
「君たちを正式なクルーとして迎えよう!」
「おう! ワシの名はニッパー。ドワーフの血を引いている」
「俺の名はヤーシッチ。よろしく頼む!」
「僕はエッケハルト。ハルトと呼んで欲しい」
「あたしのことはマーチルと呼んで!」
そう言いながらお調子者のマーチルが歩み出ると、早速ニッパーが頭を撫でながら言った。
「おお、そうかそうか~ 可愛い子猫ちゃんだ!」
「こらぁっ! セクハラするなぁ!」
彼女の言葉を聞いて漁村の人たちは、どっと笑い声をあげた。
そろそろ出港の準備をしようと思っていたら、人垣のなかから「あの……」という声が聞こえてきた。
女性のようだが誰だろうと視線を向けると、出てきたのは素朴な感じだが素直そうな娘だった。
「私もご一緒させて頂けませんか。先ほどの襲撃で家も小舟も壊れてしまって……このままでは生活できないの」
その言葉を聞いて、何だか逆に心配になってしまった。
彼女の立場から見れば、僕たちは海賊を追い払ったと言っても、海賊志願の何を考えているのかわからない人間のはずだ。うかつについてきて大丈夫だろうか。
「助力はありがたいけど……危険な旅になると思うよ? 本当に大丈夫かい?」
「覚悟はできていますし、貴方がたが来てくれなければ……私は捕まって売り飛ばされていると思うの」
彼女はそういうと、少し視線を下げながら言った。
「それに、料理は得意だし……洗濯とか衣服の修繕とかもできるから、役に立てると思う」
まあ、確かに女の子がマーチル1人では、コイツもやりづらいだろうし、彼女のような女の子もいた方がいいかもしれない。
「わかった。歓迎するよ……何て呼べばいい?」
「リーゼです」
「わかった。よろしくねリーゼ!」
こうして僕たちは、いったん海賊船へと入った。
一角獣ミホノシュヴァルツ号。ネコ族マーチル。ドワーフの船大工ニッパー。黒人の剣士ヤーシッチ。料理人リーゼ。
僕も含めて仲間も7人に増えたのだから、最初の頃に比べるとずいぶん大所帯になったと思う。
「ふむ……船を動かすには、まだまだ人数が足りんな」
ニッパーが言うと、ヤーシッチも頷いた。
「この人数では、帆を張るのが精一杯だろう。沖合に出るには最低でもオールを漕ぐ班がいないとな」
『そのことなのだが……』
全員がミホノシュヴァルツ号を見ると、彼は角を光らせた。
すると……マストの中から緑髪のエルフが姿を見せる。
僕はてっきり、精霊耳と呼ばれる変わった耳をしているのかと思っていたが、彼女の耳は普通のエルフの代物だ。
「ほう……こりゃベッピンさんだ。耳が尖っていなければ更にいいんだがなぁ」
ドワーフのニッパーが言うと、エルフの少女は落ち着いた様子で答えた。
「褒め言葉として受け取らせて頂きます。さて……皆さん、私をこの海賊船から救出して下さってありがとうございます」
その緑髪のエルフ少女は、爽やかに微笑んだ。
か、可愛い……僕は仕事柄、色々な女の子に会ってきたけど、ここまで可愛い女の子はそうはいないぞ。
「私のことは、オフィーリアと呼んでください」
『早速だが、例の件について答えて欲しい』
「動力のことでお悩みなのですね?」
話題が変わったので、僕もシャキッとすることにした。いつまでもデレデレしていられない。
「ああ、オールを漕ぐ人手が確保できないんだ」
そう伝えるとエルフのオフィーリアは頷いた。
「それなら、木箱や廃材などを使ってゴーレムを作ってみましょう」
ゴーレムという話を聞いて、ヤーシッチやニッパーは「ほう……」と感心した声を上げた。
僕もゴーレムについては聞いたことがある。これは言うなれば魔導機械とも言われる、人間に似た動作をさせることのできるカラクリだ。
ヤーシッチは言った。
「この船は、最低でも20人のオール漕ぎがいないとまともに動かないんだ」
「なるほど……わかりました。なるべく多くのゴーレムを作れるように努力してみます」
ミホノシュヴァルツ号も言った。
『では、エッケハルト。船内の食料の残りをチェックして足りない分を調達してきてくれ』
「わかった。マーチルにリーゼ。ちょっと手伝ってくれ」
「うん!」
「案内するよ!」
こうして僕たちは、海賊船の出航に向けて着々と準備を進めているわけだけど、冒険者街にいるガンスーンチームでは、僕の代わりの冒険者が見つかったようだ。
【エルフの少女 オフィーリア】
海賊船の中に潜んでいたハイエルフの少女。
どうやら、住処にしていた木を伐採され、そのまま乾燥させることもなくマストの材料とされてしまったため、逃げるに逃げられなかったようだ。
ちなみに、普段はエルフの耳の姿だが、感情を高ぶらせるとニンフ特有の動物耳になり、霊力で人間の耳に偽装することもできる。
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