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36.人魚島の情勢変化
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僕たちことエッケハルト海賊団は、今日も安全な船旅をしていた。
現在は、ツノテン王国の南東部。だいたいツーノッパ北部を航行している。
ちょうどこの海域は、人魚たちの島の東部に近いと思っていたら、一角獣ミホノシュヴァルツ号がこちらを見た。
『エッケハルト。唐突にこんなことを聞くが……人魚島の北の連中を覚えているか?』
「ああ、イブリンたちとやりあった人魚たちでしょう。あれがどうしたんだい?」
『どうやら、赤ひげ海賊団とやり合っているようだ』
「え……?」
それは意外な話だった。
確か、僕たちが人魚島に上陸した時は、一緒になってイブリンたちの部族を襲っていたはずである。それがどうして仲たがいするまでになったのだろう。
「どうしてそうなった?」
『どうやら、直接的な原因は吾らに負けたことのようだな。長の妹が捕まった時にも我関せずの姿勢を貫き、さらに最近は、必要な武器や交易品との交換レートをつり上げられたことで、怒りが爆発したようだ』
「お姉さまは……どうお考え……なのでしょう?」
エリンが心配そうに聞いてくると、ミホノシュヴァルツ号は別の渡り鳥の鳴き声に耳を傾けてから答えた。
『どうやらイブリンは、北の部族の足元を見て……有利な条件での講和を結ぶことに成功したようだ』
さらに詳しい話を聞いてみると、イブリンは北の部族に薬にもなると言いながら、僕が売ったウイスキーなどを売りつけ、北の部族との取引で利益を上げたという。
なるほど。ということは赤ひげ海賊団は調査どころではないだろうし、イブリンたちはお宝を持っているということになる。
「ちょっと、人魚たちのいる東海岸に寄ってみるかい?」
特に反対する仲間もいなかったので、僕たちは少し寄り道をすることにした。
念のため、ミホノシュヴァルツ号だけでなく、僕もエッケザックスの宝玉で周辺海域を確認しながら進んだが、特に問題もなく人魚島の東海岸へと到着した。
イブリンたちは、以前とは違ってどこかゆったりした雰囲気で漁をしたり、貝の世話をしている。
「お久しぶりですね……皆さま!」
「イブリンさんもお元気そうで何よりです」
僕はすぐに、エディンペガで仕入れたウイスキーなどの酒を紹介すると、彼女は例によって真珠での取引に応じてくれた。イブリンはウイスキーなどの入った酒樽を満足そうに眺めると言った。
「あと……エッケハルトさん?」
「なんでしょう?」
「もし、銀貨や銅貨をお持ちでしたら……それらも真珠と交換していただけないでしょうか?」
詳しい話を聞いてみると、どうやら北の部族は武器の調達はもちろん、様々な物資を欲しがっているらしく、金貨、銀貨、銅貨などを必要としているのだという。
「なるほど。イブリンさんたちは真珠がお金の代わりになりますが……彼らにはそれがないのですね」
「はい。彼女たちも赤ひげ海賊との戦いが厳しいモノになっているようです」
確かに赤ひげ海賊団は、あちこちで暴れまわっている迷惑な集団だ。
北の部族とつぶし合ってくれれば、その間くらいは静かになるし、連中の数が減ればそれだけ襲われる村とか町も少なくなるだろう。
「待っててください。ちょっと小銭を数えてきます」
船に戻って、銀貨や銅貨を数えてみると、やはり大銀貨が一番多くあった。
エリンが頑張って水を作ってくれたこともあるが、元からあのウイスキーデビルが普段使い用として溜めていたのだろう。
僕ら自身も使うので、小金貨10枚。大銀貨50枚。小銀貨20枚。銅貨100枚を、布製の小さな袋に入れると、それを持ってイブリンの前まで持って行くことにした。
「日頃の取引などを考えると、これが精一杯です」
銀貨だけでなく小金貨も出すとイブリンはまず驚き、そして顔をほころばせながら喜んでくれた。どうやら僕は思った以上に小銭を持っていたようだ。
「ありがとうございます……真珠だけでは足りないので、琥珀もお受け取りください」
僕は真珠や琥珀を受け取ると、確かな手ごたえを感じた。
これだけ多くの真珠や琥珀が手に入れば、南でもかなりの利益を上げることができる。
その日は東海岸で1夜を明かすと、僕たちは出港準備を整えた。
「次はどこに出発なさるのでしょうか?」
「ツーノッパの南部を目指したいと思います。そこには更に珍しいモノがたくさんあると聞いています」
「なるほど……エリン」
「……はい」
「南では、水が腐るのも早いと聞きます。彼らが健康に暮らすためにも、ぜひ努力してください」
「もちろんです……お姉さま!」
イブリンは妹とハグしあうと、やがて僕たちを見送ってくれた。
次は、ポルトイン地域を目指す。
「出港しよう!」
「おう!!!」
現在は、ツノテン王国の南東部。だいたいツーノッパ北部を航行している。
ちょうどこの海域は、人魚たちの島の東部に近いと思っていたら、一角獣ミホノシュヴァルツ号がこちらを見た。
『エッケハルト。唐突にこんなことを聞くが……人魚島の北の連中を覚えているか?』
「ああ、イブリンたちとやりあった人魚たちでしょう。あれがどうしたんだい?」
『どうやら、赤ひげ海賊団とやり合っているようだ』
「え……?」
それは意外な話だった。
確か、僕たちが人魚島に上陸した時は、一緒になってイブリンたちの部族を襲っていたはずである。それがどうして仲たがいするまでになったのだろう。
「どうしてそうなった?」
『どうやら、直接的な原因は吾らに負けたことのようだな。長の妹が捕まった時にも我関せずの姿勢を貫き、さらに最近は、必要な武器や交易品との交換レートをつり上げられたことで、怒りが爆発したようだ』
「お姉さまは……どうお考え……なのでしょう?」
エリンが心配そうに聞いてくると、ミホノシュヴァルツ号は別の渡り鳥の鳴き声に耳を傾けてから答えた。
『どうやらイブリンは、北の部族の足元を見て……有利な条件での講和を結ぶことに成功したようだ』
さらに詳しい話を聞いてみると、イブリンは北の部族に薬にもなると言いながら、僕が売ったウイスキーなどを売りつけ、北の部族との取引で利益を上げたという。
なるほど。ということは赤ひげ海賊団は調査どころではないだろうし、イブリンたちはお宝を持っているということになる。
「ちょっと、人魚たちのいる東海岸に寄ってみるかい?」
特に反対する仲間もいなかったので、僕たちは少し寄り道をすることにした。
念のため、ミホノシュヴァルツ号だけでなく、僕もエッケザックスの宝玉で周辺海域を確認しながら進んだが、特に問題もなく人魚島の東海岸へと到着した。
イブリンたちは、以前とは違ってどこかゆったりした雰囲気で漁をしたり、貝の世話をしている。
「お久しぶりですね……皆さま!」
「イブリンさんもお元気そうで何よりです」
僕はすぐに、エディンペガで仕入れたウイスキーなどの酒を紹介すると、彼女は例によって真珠での取引に応じてくれた。イブリンはウイスキーなどの入った酒樽を満足そうに眺めると言った。
「あと……エッケハルトさん?」
「なんでしょう?」
「もし、銀貨や銅貨をお持ちでしたら……それらも真珠と交換していただけないでしょうか?」
詳しい話を聞いてみると、どうやら北の部族は武器の調達はもちろん、様々な物資を欲しがっているらしく、金貨、銀貨、銅貨などを必要としているのだという。
「なるほど。イブリンさんたちは真珠がお金の代わりになりますが……彼らにはそれがないのですね」
「はい。彼女たちも赤ひげ海賊との戦いが厳しいモノになっているようです」
確かに赤ひげ海賊団は、あちこちで暴れまわっている迷惑な集団だ。
北の部族とつぶし合ってくれれば、その間くらいは静かになるし、連中の数が減ればそれだけ襲われる村とか町も少なくなるだろう。
「待っててください。ちょっと小銭を数えてきます」
船に戻って、銀貨や銅貨を数えてみると、やはり大銀貨が一番多くあった。
エリンが頑張って水を作ってくれたこともあるが、元からあのウイスキーデビルが普段使い用として溜めていたのだろう。
僕ら自身も使うので、小金貨10枚。大銀貨50枚。小銀貨20枚。銅貨100枚を、布製の小さな袋に入れると、それを持ってイブリンの前まで持って行くことにした。
「日頃の取引などを考えると、これが精一杯です」
銀貨だけでなく小金貨も出すとイブリンはまず驚き、そして顔をほころばせながら喜んでくれた。どうやら僕は思った以上に小銭を持っていたようだ。
「ありがとうございます……真珠だけでは足りないので、琥珀もお受け取りください」
僕は真珠や琥珀を受け取ると、確かな手ごたえを感じた。
これだけ多くの真珠や琥珀が手に入れば、南でもかなりの利益を上げることができる。
その日は東海岸で1夜を明かすと、僕たちは出港準備を整えた。
「次はどこに出発なさるのでしょうか?」
「ツーノッパの南部を目指したいと思います。そこには更に珍しいモノがたくさんあると聞いています」
「なるほど……エリン」
「……はい」
「南では、水が腐るのも早いと聞きます。彼らが健康に暮らすためにも、ぜひ努力してください」
「もちろんです……お姉さま!」
イブリンは妹とハグしあうと、やがて僕たちを見送ってくれた。
次は、ポルトイン地域を目指す。
「出港しよう!」
「おう!!!」
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