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28.軽戦士ジルー
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間もなく、僕とビルとジェシカの3人は身構えた。
足音は、草や枯れ葉を蹴ったかと思ったら、一瞬のうちに枝の上に飛び移り、次の瞬間には僕の目の前まで迫っている。
だけど……目で追うことはできた。
僕はジルーの一撃を交わし、反撃にレフトナイフを突き出すと、ジルーはバク転しながら軽々と攻撃を交わした。
なんという身のこなしの速さだろう。
ジェシカは果物ナイフを、ビルは槍を構えたまま、僕の背後と側面の一部を守ってくれている。
3人でジルーを睨むと、ジルーは気に入らなそうに僕たちを睨んできた。
「ちょっと……どうしてカイトが人間に戻っているの? 確かに私たちの仲間にしたはずなのに……」
僕はもちろん答えなかった。
黙っていれば、ジルーのことだから、もう一人の強者である一角獣スティレットの存在が頭にちらつくはずだ。
「一体、どういうことなの!?」
「脳は使わないと退化するよ」
その言葉を聞いたジルーは、牙を剥き出しにして唸った。
「力づくで聞き出してやる!」
ジルーは、飛びかかりながらナイフを振り下ろしてきたが、僕はあくまで冷静に対処しながら、右手からもナイフを出した。
ジルーは、僕の能力を中途半端に知っているので、姿を隠すつもりだろうと言いたそうに牙を見せたが、僕の狙いは違う。
「くっ……そっち!?」
僕の【偽物の右手剣】は、得意の形状変化を用いて、ジルーの右足首を絡め取っていた。
さらに力づくで引き上げると、彼女はバランスを崩して倒れ、その胴体に向けて、【レフトナイフ】投げつけた。
これで勝負あったかと思いきや、ジルーは全身をバネのようにくねらせて飛び上がり、僕のレフトナイフを避けきっていた。
それだけでなく蹴りまで入れられたので、僕は右手のナイフを落として、戦いはジルー優勢の状況まで立て直されてしまった。
ジルーは畳み掛けるように、僕に連打攻撃を仕掛けてきたが、これは隣にいたビルが、タイミングよく槍を振り下ろしたので、ジルーはバク転して僕たちと間合いを取った。
僕はジルーと睨み合う。
ここで痛み分けに終わってしまったら、僕らが圧倒的に不利だ。ジルーはオオカミ族なので、夜間でも視界を失わないし、嗅覚を用いた追撃も厄介。
「…………」
「…………」
僕も多少は強くなったが、それでもジルーには及ばない。臭いで僕たちを捕捉しつつ、一撃離脱を繰り返されるだけで僕らはジリ貧だ。
彼女をここで倒し、かつ僕らの陣営に戻すには……
僕がそんなことを考えているとき、ジルーは耳を敏感に動かしてはじめていた。
恐らく、周囲の様子を確認してから、一旦引いて仕切り直しをするつもりなのだろう。
もし、撤収させれば、僕たちが圧倒的に不利になる。
僕は迷惑だと言わんばかりの表情で、ジルーを睨むことにした。
すると意味が伝わったのか、ジルーは不思議そうな顔でこちらを見てきた。
僕はあえて、ほっとした表情を無意識のうちにしているように装った。
すると、ジルーは少しいぶかしい顔をしてから、また耳をピクピクと動かして周囲の様子を探る動作をしてきた。
僕もまた、少し遅れてから、その行動をして欲しくないと言いたげな表情を送った。
すると、ジルーは険しい顔をしながら言った。
「いったい……何を隠しているの?」
「いちいち聞かないで、得意の鼻と耳で考えてみなよ」
苦し紛れという雰囲気を出して、誤魔化す感じを装おうと、ジルーは気にいらなそうに言った。
「なんだか、ザラザラとした嫌な感じ……!」
ザラザラという言葉を聞き、僕は視線を横に泳がせることにした。
僕がジルーに対して送った、口に出さないメッセージは【周りをあまり見て欲しくない】そして【藪の中が気になる】である。
その口に出さないメッセージを読み取ったジルーは、ハッとした様子で僕を睨んできた。
「近くにいるのね……スティレットが!」
彼女が、今の単語を口にするのを待っていた。
結論から言えばスティレットと合流してはいないのだが、ここではそんな事実などどうでもいい。ジルーの頭の中に、吸血鬼化を解除できそうな存在が、この近くに潜んでいるとインプットされればいい。
ジルーたちの立場から見れば、スティレットという存在はとても厄介なものだ。
それこそ、呑気に一撃離脱なんかで時間をかけてはいられない。そんなことをしていたらスティレットが別動隊となって、別の場所にいる操っている村人の吸血鬼化を解除しはじめる。
ユニコーンはそれだけ、機動力も戦闘力もある生き物だ。
【現在カイトの判明しているアビリティ】
【レフトソード】
レア度 A ★★★★
需要 B ★★★
習得難易度 A ★★★★
攻撃力 A ★★★★
防御力 C ★★
左手から出る剣。鋭利な切れ味を発揮する通常タイプに加え、呪いだけを斬り伏せるタイプの2種類が存在する。
また、出力を絞るとナイフとしても出せるので、投げつけるという戦い方もできる。
剣タイプも短剣タイプも、市販品と変わらない姿をしているが、呪いのみを斬り伏せる状態になると、刀身が白い光を放っている。
コールナイフ。コールソード。投てき。カースキリング。
【偽物の右手剣(フォールスライト)】
レア度 A ★★★★
需要 C ★★
習得難易度 S ★★★★★
攻撃力 C ★★
防御力 A ★★★★
右手から出る剣。カイトは主に短剣タイプを使うことが多いが、こちらも剣タイプと短剣タイプがある。
見た目は【レフトソード】と似ており、アビリティを使うと刀身が真っ黒に変色する。
コールナイフ。コールソード。ファントム。形状変化。潜望鏡。
足音は、草や枯れ葉を蹴ったかと思ったら、一瞬のうちに枝の上に飛び移り、次の瞬間には僕の目の前まで迫っている。
だけど……目で追うことはできた。
僕はジルーの一撃を交わし、反撃にレフトナイフを突き出すと、ジルーはバク転しながら軽々と攻撃を交わした。
なんという身のこなしの速さだろう。
ジェシカは果物ナイフを、ビルは槍を構えたまま、僕の背後と側面の一部を守ってくれている。
3人でジルーを睨むと、ジルーは気に入らなそうに僕たちを睨んできた。
「ちょっと……どうしてカイトが人間に戻っているの? 確かに私たちの仲間にしたはずなのに……」
僕はもちろん答えなかった。
黙っていれば、ジルーのことだから、もう一人の強者である一角獣スティレットの存在が頭にちらつくはずだ。
「一体、どういうことなの!?」
「脳は使わないと退化するよ」
その言葉を聞いたジルーは、牙を剥き出しにして唸った。
「力づくで聞き出してやる!」
ジルーは、飛びかかりながらナイフを振り下ろしてきたが、僕はあくまで冷静に対処しながら、右手からもナイフを出した。
ジルーは、僕の能力を中途半端に知っているので、姿を隠すつもりだろうと言いたそうに牙を見せたが、僕の狙いは違う。
「くっ……そっち!?」
僕の【偽物の右手剣】は、得意の形状変化を用いて、ジルーの右足首を絡め取っていた。
さらに力づくで引き上げると、彼女はバランスを崩して倒れ、その胴体に向けて、【レフトナイフ】投げつけた。
これで勝負あったかと思いきや、ジルーは全身をバネのようにくねらせて飛び上がり、僕のレフトナイフを避けきっていた。
それだけでなく蹴りまで入れられたので、僕は右手のナイフを落として、戦いはジルー優勢の状況まで立て直されてしまった。
ジルーは畳み掛けるように、僕に連打攻撃を仕掛けてきたが、これは隣にいたビルが、タイミングよく槍を振り下ろしたので、ジルーはバク転して僕たちと間合いを取った。
僕はジルーと睨み合う。
ここで痛み分けに終わってしまったら、僕らが圧倒的に不利だ。ジルーはオオカミ族なので、夜間でも視界を失わないし、嗅覚を用いた追撃も厄介。
「…………」
「…………」
僕も多少は強くなったが、それでもジルーには及ばない。臭いで僕たちを捕捉しつつ、一撃離脱を繰り返されるだけで僕らはジリ貧だ。
彼女をここで倒し、かつ僕らの陣営に戻すには……
僕がそんなことを考えているとき、ジルーは耳を敏感に動かしてはじめていた。
恐らく、周囲の様子を確認してから、一旦引いて仕切り直しをするつもりなのだろう。
もし、撤収させれば、僕たちが圧倒的に不利になる。
僕は迷惑だと言わんばかりの表情で、ジルーを睨むことにした。
すると意味が伝わったのか、ジルーは不思議そうな顔でこちらを見てきた。
僕はあえて、ほっとした表情を無意識のうちにしているように装った。
すると、ジルーは少しいぶかしい顔をしてから、また耳をピクピクと動かして周囲の様子を探る動作をしてきた。
僕もまた、少し遅れてから、その行動をして欲しくないと言いたげな表情を送った。
すると、ジルーは険しい顔をしながら言った。
「いったい……何を隠しているの?」
「いちいち聞かないで、得意の鼻と耳で考えてみなよ」
苦し紛れという雰囲気を出して、誤魔化す感じを装おうと、ジルーは気にいらなそうに言った。
「なんだか、ザラザラとした嫌な感じ……!」
ザラザラという言葉を聞き、僕は視線を横に泳がせることにした。
僕がジルーに対して送った、口に出さないメッセージは【周りをあまり見て欲しくない】そして【藪の中が気になる】である。
その口に出さないメッセージを読み取ったジルーは、ハッとした様子で僕を睨んできた。
「近くにいるのね……スティレットが!」
彼女が、今の単語を口にするのを待っていた。
結論から言えばスティレットと合流してはいないのだが、ここではそんな事実などどうでもいい。ジルーの頭の中に、吸血鬼化を解除できそうな存在が、この近くに潜んでいるとインプットされればいい。
ジルーたちの立場から見れば、スティレットという存在はとても厄介なものだ。
それこそ、呑気に一撃離脱なんかで時間をかけてはいられない。そんなことをしていたらスティレットが別動隊となって、別の場所にいる操っている村人の吸血鬼化を解除しはじめる。
ユニコーンはそれだけ、機動力も戦闘力もある生き物だ。
【現在カイトの判明しているアビリティ】
【レフトソード】
レア度 A ★★★★
需要 B ★★★
習得難易度 A ★★★★
攻撃力 A ★★★★
防御力 C ★★
左手から出る剣。鋭利な切れ味を発揮する通常タイプに加え、呪いだけを斬り伏せるタイプの2種類が存在する。
また、出力を絞るとナイフとしても出せるので、投げつけるという戦い方もできる。
剣タイプも短剣タイプも、市販品と変わらない姿をしているが、呪いのみを斬り伏せる状態になると、刀身が白い光を放っている。
コールナイフ。コールソード。投てき。カースキリング。
【偽物の右手剣(フォールスライト)】
レア度 A ★★★★
需要 C ★★
習得難易度 S ★★★★★
攻撃力 C ★★
防御力 A ★★★★
右手から出る剣。カイトは主に短剣タイプを使うことが多いが、こちらも剣タイプと短剣タイプがある。
見た目は【レフトソード】と似ており、アビリティを使うと刀身が真っ黒に変色する。
コールナイフ。コールソード。ファントム。形状変化。潜望鏡。
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