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2.戦士との旅
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ジャージというズボンは変わった布を使っているらしく、背中に乗せたときにも不思議な触感があった。
「この変わった服……よく奪われなかったね」
「長く使っていることを奴らも知っているからね……奪っても二束三文だと思われたんだよ」
そう言いながら青年は、遠くを見てため息をついた。
小生の前では気丈に振る舞ってはいるが、やはり仲間たちに裏切られたことは相当ショックだったのだろう。実際に背中に乗せてみると、元気がないことがわかる。
「今頃、連中は君がどれだけ有能だったのか、思い知っている頃だと思う。だからもし、冒険者を続けるのなら……実績よりも人格に気を付けるようにすればいい」
青年は元気はないが、明るい声で答えてくれた。
「そうだね。僕は転生者の子供なんだ……だからこそ、しっかりしないと!」
やはりそうだったのかと思いながら、小生は視線を青年に向けた。
「へぇ……ご両親のどちらかが異世界人なんだね」
「うん、お父さんが異世界のニホンという国から来て、仲間に裏切られて死にかけていたところをお母さんに……」
そこまで答えると、青年は恥ずかしそうに頬をかいていた。
「恥ずかしいな……親子そろって同じ目に遭わされるなんて」
「あなた~ 私たちもケッコンしましょ~」
軽口を叩いてみると、青年はにっこり笑いながら抗議してきた。
「お父さんとずいぶん扱いが違うな!」
2人で笑いあうと、少しだけ青年の身体に力が戻った。
「でも正直、君と一緒にいると……まだやれるんじゃないかって思えるよ。一緒に冒険しないかい?」
小生は少し考えると答えた。
「どうしても……見つけたい人がいるんだ」
「見つけたい人? それってどんな人?」
青年が不思議そうに聞いてきたので、小生は青年に言った。
「今この状態で、小生の角は見えるかい?」
彼は正直者だ。だから小生の見立て通りに残念そうに答えた。
「見えない……」
「小生が探している人は、少し特殊な人でね……もしかしたらもう、この世にはいないかもしれない。何もないモノを探し求めているかもしれない」
そこまで言うと、小生は戦士を見た。
「だけど、見つけることを諦めて……ただ待っているよりは見つかる確率はあるよね?」
そう伝えると、青年は微笑んだ。
「強いな……君は」
彼はつぶやいた。
「僕はね……ずっと偉大な父親と張り合おうとしてきたんだ」
その気持ちはよくわかった。
小生の父親も、ユニコーン界隈では伝説の一角獣だ。母親も優れた牝馬だったから、なんでこんな簡単なことがアイツはできないんだとずっと言われ続けてきた。
はっきり言って、小生は兄弟の中でも一番ダメなヤツかもしれない。
「子供の時はただの親だと思っていたけど、大人になってから両親の凄さがわかることって……あるよね」
「うん。父を越える戦士になるんだって、家を飛び出して……正体を隠して一端の冒険者として自分の力を試してきた。だけど……」
彼は体中の力を抜いた。
「どこの町に行っても、父さんの伝説があるんだ。母さんに救われた人たちがいるんだ。僕が思っていたよりはるかに……彼らは凄かった……」
「確かに、強いことも優秀なこともいいことだよ。でも……小生はこうも思う」
「なんだい?」
「できなくったっていい。できることだけやればいい」
「…………」
「誰かと比べると、他人の良いところばかりが目について、自分は苦しくなる……だから」
小生はそういうと、視線を青年に向けた。
「君らしく行こうよ」
何だか照れくさく思えてしまった、自分で自分を励ましているように感じる。
青年もまた、笑ってくれた。
「僕の名前はアレックス……いつか君の角が見える状態になったら……」
少し考えると、アレックスは表情を引き締めた。
「いや、今はそれ以上のことを言うのは止そう。僕はこれからこの身体1つでやり直さないといけないんだ!」
その力強い言葉を聞いて、小生もまた身が引き締まる思いがした。
彼の生まれ故郷に戻ると、野良仕事をしていた彼とにおいの似た夫婦がアレックスを見て驚きどまっていた。アレックスは照れくさそうに言った。
「失敗してしまったよ……母さん、それに父さん!」
再会を果たしたアレックス達をみて、小生は小さくつぶやいた。
「またね」
「この変わった服……よく奪われなかったね」
「長く使っていることを奴らも知っているからね……奪っても二束三文だと思われたんだよ」
そう言いながら青年は、遠くを見てため息をついた。
小生の前では気丈に振る舞ってはいるが、やはり仲間たちに裏切られたことは相当ショックだったのだろう。実際に背中に乗せてみると、元気がないことがわかる。
「今頃、連中は君がどれだけ有能だったのか、思い知っている頃だと思う。だからもし、冒険者を続けるのなら……実績よりも人格に気を付けるようにすればいい」
青年は元気はないが、明るい声で答えてくれた。
「そうだね。僕は転生者の子供なんだ……だからこそ、しっかりしないと!」
やはりそうだったのかと思いながら、小生は視線を青年に向けた。
「へぇ……ご両親のどちらかが異世界人なんだね」
「うん、お父さんが異世界のニホンという国から来て、仲間に裏切られて死にかけていたところをお母さんに……」
そこまで答えると、青年は恥ずかしそうに頬をかいていた。
「恥ずかしいな……親子そろって同じ目に遭わされるなんて」
「あなた~ 私たちもケッコンしましょ~」
軽口を叩いてみると、青年はにっこり笑いながら抗議してきた。
「お父さんとずいぶん扱いが違うな!」
2人で笑いあうと、少しだけ青年の身体に力が戻った。
「でも正直、君と一緒にいると……まだやれるんじゃないかって思えるよ。一緒に冒険しないかい?」
小生は少し考えると答えた。
「どうしても……見つけたい人がいるんだ」
「見つけたい人? それってどんな人?」
青年が不思議そうに聞いてきたので、小生は青年に言った。
「今この状態で、小生の角は見えるかい?」
彼は正直者だ。だから小生の見立て通りに残念そうに答えた。
「見えない……」
「小生が探している人は、少し特殊な人でね……もしかしたらもう、この世にはいないかもしれない。何もないモノを探し求めているかもしれない」
そこまで言うと、小生は戦士を見た。
「だけど、見つけることを諦めて……ただ待っているよりは見つかる確率はあるよね?」
そう伝えると、青年は微笑んだ。
「強いな……君は」
彼はつぶやいた。
「僕はね……ずっと偉大な父親と張り合おうとしてきたんだ」
その気持ちはよくわかった。
小生の父親も、ユニコーン界隈では伝説の一角獣だ。母親も優れた牝馬だったから、なんでこんな簡単なことがアイツはできないんだとずっと言われ続けてきた。
はっきり言って、小生は兄弟の中でも一番ダメなヤツかもしれない。
「子供の時はただの親だと思っていたけど、大人になってから両親の凄さがわかることって……あるよね」
「うん。父を越える戦士になるんだって、家を飛び出して……正体を隠して一端の冒険者として自分の力を試してきた。だけど……」
彼は体中の力を抜いた。
「どこの町に行っても、父さんの伝説があるんだ。母さんに救われた人たちがいるんだ。僕が思っていたよりはるかに……彼らは凄かった……」
「確かに、強いことも優秀なこともいいことだよ。でも……小生はこうも思う」
「なんだい?」
「できなくったっていい。できることだけやればいい」
「…………」
「誰かと比べると、他人の良いところばかりが目について、自分は苦しくなる……だから」
小生はそういうと、視線を青年に向けた。
「君らしく行こうよ」
何だか照れくさく思えてしまった、自分で自分を励ましているように感じる。
青年もまた、笑ってくれた。
「僕の名前はアレックス……いつか君の角が見える状態になったら……」
少し考えると、アレックスは表情を引き締めた。
「いや、今はそれ以上のことを言うのは止そう。僕はこれからこの身体1つでやり直さないといけないんだ!」
その力強い言葉を聞いて、小生もまた身が引き締まる思いがした。
彼の生まれ故郷に戻ると、野良仕事をしていた彼とにおいの似た夫婦がアレックスを見て驚きどまっていた。アレックスは照れくさそうに言った。
「失敗してしまったよ……母さん、それに父さん!」
再会を果たしたアレックス達をみて、小生は小さくつぶやいた。
「またね」
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